第124話 看病してみた
今晩は!
金曜に日付が替わった夜中です!
今回が今週分の一話目な訳ですが。
やっぱり日曜日に本屋さんへ行くと
遅れ気味に成ります。
片道徒歩三時間だもんね☆
今度の日曜日は行きませんので
調子を取り戻します!………多分。(汗)
「ぅう~…ん……ぅうぅ………」
列王は具合の悪さに呻き声を上げる。
列王を村に保護して一晩。次の日の朝には高熱を発していた。
家は、夫婦が一組で後は子ども達、という構成なので。子ども達は一部屋で雑魚寝する様に成っている。本来此の家の子ではない者も混じってはいるが。
母サラが我が子と認めたからね。
子ども達の寝室というのは。部屋全体に敷物をし、後は各自が毛布を被って眠る様に成っている。ベッド等無い!人数が制限されちゃうからね!
敷物を使うのは。板の間に直接眠るのは物凄く、物すっごく!!体に悪いから
である。と或る作り話で、奴隷が主人公に、自分でベッド作るまでは板の間で
寝てますよ~とか気軽に言っているお話が有ったが。其の作者さんは
知らないんだなっ!!と、断言しよう!板の間で眠る等、キツいぞ?と。
精神的なものではなく。体を壊すのだ!ヒトは慣れるモノだとしても!!先ずは大怪我するとなれば気軽に言えるものではない!怪我って何かって?何処か関節が腫れ上がるのさあ!!
其れで思ったのだが。怪我が治ると言うのは、今有る傷口が塞がる事、ではなく!!体の内部から新しい部分が出来上がって、怪我をした古い部分を
廃棄する事、なのだな!と。新陳代謝、と言うヤツだ。
腫れた部分自体がカサブタの様に表面にこびり付くのだ!其れで確信した、と
言うか実例を目の当たりにしたと言うか。傷は塞がっても痕が分かる、詰まり
元通りではなく歪に成ってしまうのは。新しい部分を作る所から損傷してしまっている。という事なのだな、と。
ヒト混みに車で突っ込んだ挙げ句刃物を振り回してヒトを刺しまくったとかいう気違いの事件が二件程有ったが。刺されたが生きてはいた、というヒトが、
傷は塞がって何年か経った後も、痛み止めを飲まないと眠る事も出来ない、と
言っていた。犯人は罪深過ぎる。
兎に角、治ると言うのは元通りに成る訳ではなく新陳代謝が決め手なのだな、と。
で、何で其んな実例を目の当たりにしたかって?実際に板の間で寝た事が有る
からだよ!板の間は冷たいぞ?服を通しても、毛布の一枚や二枚位敷いても!
体温を奪われるって、此ういう事なんだなあって!!
何で板の間で寝る経験をしたかって?何でだろおねええ?
勿論、此の家では子ども達に其んな事はさせていない。部屋の敷物は充分
板の間の冷たさを防いでいる。其して掛け布団にしている毛布だが。
列王は、此の世界のヒトには想定出来ない程に体が大きいので、
毛布をどう被ろうと体が何処かはみ出した。ので。
自分の毛布と合わせて何とか全身に被れる様にし、自分は列王の上半身の所に
潜り込んで添い寝してやった。世話が焼けるなあ。全く!
其して朝起きてみたら列王が熱を出して居たのだった。
早速、診察の練習台にさせて貰ったが。
異物は発見出来なかった。体を破壊する病原体にしろ、体が拒絶反応を示す
アレルギー疾患にしろ、結局は病気の原因は異物の体内侵入、
という事に成るからな!
異物を発見出来なかった、と成ると。
「ストレス性の発熱かなあ?」
「ぅう……?」
列王の声は言葉には成っていないが。疑問顔ではあったので、説明を続ける。
「ヒトは精神に負担を感じると熱が出る事が有る。
最も分かり易い具体例は知恵熱だね」
列王は未だ疑問が有りそうな顔だ。
「大体三歳位、人格と呼べるモノが出来上がる頃。所謂物心が付く、と言われる
年頃。脳味噌が処理する情報が急激に多く成って精神に負荷が掛かると
熱を出すんだね」
「……う………」
列王は不満そうな顔をするが。
「別に、三歳児だけが熱を出す訳じゃないよ。新しい事を何か始めるとヒトは
ストレスを感じるものだ。
昔のテレビでだな?マジで外国に放り出される番組が有って。
やっぱり放り出された次の日の朝に熱出して寝込んだヤツが居たんだよ。
二人組のミュージシャンだったんだけどな?不思議なモンで、一人が寝込むと
もう一人はしゃっきりしちゃうんだな!精神的なもので寝込む事も有れば逆に
具合悪く成っては居られない!とも成るんだな。
昔から、貧乏暇無し!具合悪く成っている暇も無い!なんて言うしな」
列王の不満は晴れた様だ。(笑)
ネネも起きた時に毛布を借りて、折り畳んで適度な高さにした。其れを枕にして列王の頭の下に敷いてやる。首の辺りが高いのが良い枕なんだってね!
「ミュージシャンだっただけに、カラオケにも曲が出ていたぞ?カラオケって、
一度曲が出ればずっと残っているのかね?自分は良く知らんけど」
お一人様でカラオケに行く趣味なんか無えからね!
「精神的なものが原因なら、治るのに長くても二晩は掛からないだろうね!」
又不満そうな顔をする列王!(笑)
「二晩程度だったら早い方だろ?本当の風邪だったら一週間や二週間位はおかしな具合が残るじゃないか!」
其れよりも問題は、だ!
「ストレスじゃなかったとしたら、此の土地特有の病気かなあ?とも思わなくも
ない」
只単に自分が異物を発見出来なかっただけ、という場合も考慮しなくては
なるまい。と、思って言ってみた。
何しろ今まで診察の練習台にしたのは、別に異常を訴えた訳でもない
刀鍛冶の弟子達、と、村の子ども達、だけだからな。
病気と聞いて列王の顔には恐怖の色が表れるが。
「其んな大袈裟なものでもない。一生に一度だけ掛かる病気って、有るでしょう。水疱瘡とか、麻疹とか………麻疹って、罹るのか?水疱瘡は覚え有るが」
列王は言葉では答えないが。顔に「知らないよ!」と書いてある!(笑)
「予防接種小さい頃にするんだっけ?に、してはアメリカ辺りで大流行とか
言ってた事有ったよな?外国じゃあ貧乏人は予防接種していないって事も
有るかあ?」
何れにしろ、此の土地特有の病気だった場合は予防接種等存在しない!しかし。
「其の可能性は低いとは思うけどね。発熱が早過ぎる。病気には感染から潜伏期間が有って発病、と時間が掛かるからね。一晩は様子を見よう!」
列王は嫌そうだが。一晩で治まれば、回復は早かったと言えるものだ。
元々専門家だった訳でもなければ様子を見るのは仕方あるまい!
と、言うよりも!
専門家、詰まりは医者だったからって病気を取っ払える訳ではない!!
一寸考えれば分かる筈だが。治療とは、ヒトの手で病気を取っ払う事、ではなく!!本人の治癒力の働きをちょっぴりだけ手伝う事!!である!治癒を
邪魔するものを取り除く、其れだけしかヒトの手には出来ないのである!だから
本人の治癒力では治らない致命傷は医者にも治せないのである!
「様子を見ていて悪化するなら………其れは其の時に何とかする、しかないなあ。頑張るから。任せておいてよ!」
行き当たりばったり、に聞こえるかも知れないが。臨機応変だ。似て非なるものだ!心構えが違うのだ!様子を見る間にも頭は回転しているのだ!!
話に区切りが付いたと見て取ったか。ライナが口を出す。
「わたし、クロのお世話して良いですか?お姉ちゃんですからね!」
「駄目」
一言でバッサリだ。お人形さんみたいな感覚で言っているだろう!
「あんまり弄くり回してやるな?具合悪い時は鬱陶しいだろうから。
一寸道具作って来るけど、メイ、ライナを!見ててくれる?」
「何でわたしをなんですか!」
「ライナはお姉ちゃん大好きだろ?メイお姉ちゃんでちゅよ?」
はっきり言って腹を立てる相手も居る言い種だとは自覚して言うが。
ライナはメイを見詰めると。
「えへぇ~♡」
顔を緩ませる。メイも嬉しそう。誰も困らないだろう。良い事だ。
其して程なく作ってきた道具というのは。木製の吸い口だ。
吸い口、若しくは吸い呑み。病人等、横にしたヒトに飲み物を飲ませる道具だ。入院とか病院に関わる時目にするだろう。
作るのに苦労したのは口をつける細い部分だ。真っ直ぐ削れば良いというもの
ではない。曲がっているのだ。横にしたヒトに飲ませるのに急激には液体が出ない角度に、絶妙に。噎せない様に気を付けなくてはいけない。病人が噎せたりしたら踏んだり蹴ったりだからな!
其れから実際に口がつく先端部分は取り外し可能な部品にしてある。口がつくと、どう気を付けても臭く成る、汚れるからな!取り外して洗っても良いし、
何だったら先端だけ使い捨てにしても良い、と思って其う作ったのだ。
よくスーパーマーケットなんかに有る、使い回しの容器を買って水を汲める
自販機で。先ずは容器を濯ぐ為に少量だけ水が出るのだが。
其れを勿体ないと思ってだか、飲んでから設置し直しているおっさんが居たが。容器に直接口をつけて!
キタナいよ!濯いだ後に汚しているよっ!!アホだろ!!
信じられない事に。ケチャップ等調味料を押し出す、チューブ?と
言えるのだか、まあ幅が有る容器。
再現映像だが、調味料を出した後ちょっとはみ出しているヤツを、勿体ないとか言って舐め取っているオバちゃんが居たらしいが。舐めるなよ!キタねえよ!!
指で取れ指で!!
口は一番汚い部分と言って良い。バイ菌とて食べて排泄する生き物である。
人体で一番食べ物が有る部分と言えば…お分かりですね?
人体には体の九倍の菌が付いている、とか書いてある本が有ったが。内容は
見ていない。表面だけ、だが。筆者は外人さんで読み難そうだったし。
本人の部分は十分の一かよ!(笑)もし菌を除いたら中身スカスカの人体しか
残らないのかよ!!(笑)
まあ、全部が害の有る菌という訳ではなく。寧ろ健康を保つには必要な菌の方が多い様だが。
其う成ると人体で何処が一番汚いか、なんて言っていられない様だが。
だがしかし口には有害な菌だって集まって来るのだ!口をつけた部分は
汚れると思って貰いたい!!
兎に角!
吸い口に魔法で水を入れて列王に飲ませる。
と、メイが不思議そうに問うてくる。
「其れは?」
此の世界には存在しない道具なのだろう。さり気ない様だが吸い口も文明の利器と言える。
「吸い口。横になったヒトに飲み物を飲ませる道具。
熱出したヒトは汗搔くからね。水飲んで汗を出して貰わないとね!」
「わたしもやりたいです!」
又ライナが口出すが。
「玩具じゃないんだから!」
幼児を諭すみたいだな!(笑)見た目にはあべこべなんだが!
自分が幼女だもんな!
メイは口を出さないでじっと観察してくる。お勉強!って感じだ。
列王の額には濡れタオル等乗せはしないが。熱を測るかの様に手を乗せて
ゆっくりと撫でる。
「安心しな。明日には熱は下がるよ」
まあ、はっきり言って決めつけではあるが。今時聞かないが。戦争なんかで
怪我した味方とかに。
傷は浅いぞ!しっかりしろー!!…と、言うのだ。実際は深手だったとしても…否!本当に軽い傷だったら何も言わないな!気付け…と言うより気休めで
言うのだ。戦場なんか、碌な医療道具も施設も無いからな。
勿論列王は其処まで切羽詰まってはいないが。具合は精神状態で変わってくる
だろう。況してやストレスが原因だったとしたら。
「お………おっお母さん!!」
「いきなり何言ってんの?!」
又ライナがおかしな事口走り始めた!
「ちい様が慈愛に満ちたお顔をなさっておられるのです♡」
「メイも何言っちゃってんのぉおー?!!」
此の二人はぁ!!
其処へ母サラがやって来る。ああ、ライナは母が来たのを察知したのだな!
其うに違いない!!
「レオちゃんの具合はどう?」
母は本当に、初っ端から当たり前の様に本題を切り出してくる。どうやって
把握してんの?!
「えー…寝床を作って水を飲ませて…もういじらなくても良い状態であります。
はい」
トイレとかは寧ろいじられたくないだろうしな!
「其したらちいちゃん、広場に行ってらっしゃいな!
お昼にご飯用意するんでしょう?」
「えっ?!…左様で御座いますね、はい」
「今日は無し!とか、言えないでしょう?レオちゃんならままが見ているから♡
ね♡」
「でも言葉が通じないんじゃ…」
「ね♡」
行く事に成った。母は柔らかい雰囲気でいて強引だ!
先ずは町で買い出しから始めなければならない。結構な時間が掛かるだろう。
急がなくては!
「ライナ!メイ!行くよ!」
「「はい!!」」
揃って返事する。仲の良い事だ。
其してしばらくの後。昼食の片付けまで終えて帰って来ると。
母が喋る声が聞こえてくる。啜り泣く様な声?も。
子ども達の寝室を覗くと。
母が列王の上半身を抱えて語りかけていた。
後ろ姿を見ると服が捲れ上がっているなーという所だが。又母は胸を
丸出しにして列王を抱えているなあ?
母が語るには。
「大丈夫だからね。わたしがお母さんだからね。此処がお家なんだからね」
其う、繰り返し言っていた。言葉が通じないにも関わらず。
列王は嗚咽を漏らしていた。
郷愁…ホームシックって、ヤツかな?
自分とて、概念としては知ってはいるが。正直ピンとは来ない感覚である。
何しろ、記憶に在る現代日本の誰だかさんは。家族はロクデナシしか
居ねえ!!って家だから。懐かしいとも今見てみたいとも思わねえ!!
微塵もなあ!!
だから自分は何処であろうと取り敢えず食えるなら暮らしていけるのだが。
元の生活に未練が有るヒトは。事ある毎に気になってしまうのだろうなあ。
…と、理屈としては分かる。
幾ら此んな自分だからって。此れを茶化したら外道だ、位は分かるので。
見なかった事にはしておくが。
其して。
次の日の朝。
やはり列王の顔色は一晩で良く成った様だった。
おでことおでこをくっ付けて体温を計ってみる。………って、一寸見た事ある
気がするんだが………分かんねえ!!
コレって、ホントに体温計る積もり無えんじゃないの?!
と、思っていると。列王が目を開けた。何だか恥ずかしそうだ。
「なっ………何やってんの?!」
「此れで体温計れるのかなあ?って思って」
無理そうです!と結論した!うん!
「顔が近い!近いよ!」
「今更だろ?」
二晩添い寝したからな!因みにネネはナナと一緒に寝た。
「えーっと………不味いよ!俺、高校生で男だし!」
「ぷっ!(笑)高校生で男だし、一緒に女風呂に入ったし!(笑)」
「言わないでくれるぅ??!!」
お?否定はしたいが言い逃れはしない、か?偉い!(笑)
世の中言い訳や言い逃れしか言わないってヤツが多いからな!殆どって
言って良いな!
「自分、列王に毛布提供しちゃって、掛け布団無しで寝ろっての?」
「いや、其うじゃなくて………ちいにはお兄さんお姉さんが居るじゃない!」
「其れを言うなら列王は末っ子じゃない!(笑)」
「オカシイよね?其れ、ホントにオカシイでしょう?」
「母が決めた事だから!けど末っ子と見られているからこそ
未だのんびりしていられるとも言える」
「うっ……其れは、寝込みはしたけど……」
「具合悪いのまで文句言う程鬼じゃあないぞ?家の家族だって!
未だ生活の足しに成る役割出来ていないだろう?」
「ニニの世話……」
「未だ一晩すら見てもいないし、確かに一仕事ではあるけど其れだけで
認めて貰える訳でもないぞ?」
「うぅ………頑張るよ………」
「全快してからな。社会に出たらなあ、体調管理も仕事の内とか言われるぞ?
出来ちゃあいない奴の方が多い感じだけど!(笑)」
「何で社会に出たらとか知っている感じなの?」
「自分の記憶に在る現代日本の誰だかさん、社会人だもの!最期の記憶は
無いんだけど!」
「さいご?」
「最も、という字に期間の期と書いて死んだ時って意味に成る。
現代日本の誰だかさんが死んだって覚えが無いから、生活の途中で
何時の間にやらいきなり此処の赤ん坊スタートだあ?!って感覚だな」
「そ……其う」
「しかし死んだ時ってのが思い出せないだけって可能性も一応は意識している。
ヒトは心底辛い記憶は思い出せなく成ると言うし、辛過ぎる環境で
生きているヒトは、記憶を司る部分、海馬が縮小すると言うし」
「かいば?」
「タツノオトシゴ、という魚の一種を、英語圏ではウマに似ていると考えて、
海の馬、海馬と言う。
で、脳味噌の記憶を司る部分の形がタツノオトシゴに似ている、て事」
「ふうん?」
「其んな事はどうでも良いが。
二晩此処で過ごしてみてそろそろ、日本ではない此処に居るって事実が
夢じゃあないな、って、思えてきたかな?」
「初めっから夢とは思っていないよ」
「さて?其れはどうかなあ?」
自覚も出来ないだろうが。列王の目の色、というか力の籠り具合が
違ってきたぞ?
ヒトは認め難い現実に遭遇した時、此れは夢だ!!と誤魔化したがるものだからな!傍から見る分には、まっさかあ!!と、思ってしまう程に。
列王の目はやっと本気に成ってきた、という感じがするのだ。
「じゃ、病み上がりだから無茶は言わないけど。取り敢えず起きようか!」
やっぱり有りましたー!
あの本屋さんだけのオマケ!!
抑も
黒騎士さんがメイドちゃんに生まれ変わったお話は
見過ごしていたのですが
あの本屋さんでオマケが付いているのを見て
買っちゃったのでした!
オマケ強い!…何のこっちゃ!!




