中国大陸
長い長い道のりの序章がもうそろそろ終わりを迎えようとしております。
飛行機では二人は中国に行けない。
なぜなら武器の持ち込みが出来ないからである。
二人は車を使い九州まで走っている。
「武器諦めて飛行機で行こうよ、向こうでも調達できるんだし」
「俺はコイツがいいんだよ」と言うと愛刀を握った。
「でもそれ危ないんだろ?」
「大丈夫だよ、それよりお前も普通に戻ったな」
「アジトにいた時なんか頭がぼーっとしてたんだ、今はスッキリしてるよ」
「なら良かったよ、早く見つけちまおうぜ」
「だったら飛行機で行けばいいじゃないか」
「飛行機はダメだろ、武器は持ち込めないし逃げ場もない」
「もしかして怖いの?」
「怖くない」
「やっぱり怖いんだ」
「全然平気だ」
「そうかい、じゃあ今度飛行機に乗って旅行に行こうか」
「いいぞ、どこに行く?」
「北海道は?」
「キャンピングカーの方がいいぞ向こう着いてからゆっくりできる」
「やっぱり飛行機苦手なんだね」
「違う」と言っているが絶対に苦手だ。
有は諦め他の話題に変えた。
「そういえば新しい武器作ってみたんだけどどうかな?」
そう言いながら渡した武器は只の棍棒の様なものだった。
「これで殴るのか?」
「まぁそうだけど電気が流れる様になってて鬼にも効くはずだよ」
「鬼は雷平気だぞ」
「それは雷様の事?まぁいいけど他のUMAにも効くはず」
「まぁ有はそれでチマチマ倒しててくれ」
「助けてやらないぞ」
「あぁいいぜ」と軽く棍棒を振りながら答える。
有はそれを奪い取ると黙って走ることにした。
九州まで三日間かかった。
途中透があれを買うとかこれを買うとか言って立ち寄ったのが原因だと思う。
船は用意されていた。
二人は船に乗ると静かに出発した。
中には二人の他に客は誰もいない。
透は探検してくると言うとどこかに消えてしまった。
有は疲れていたので部屋のベッドで眠っていた。
しばらく眠っていると透が帰ってきた。
「大変だぞ、釣りが出来るそうだ」
笑顔だ。
「わかった、楽しんできて僕は寝るから」
「海だぞ、いいのか?」
「あぁいいよ」
すると笑顔の透は消えた。
それからは静かな船旅だった。
透は全く釣れず飽きてしまい酒を呑んでいた。
やっと大陸に着くと迎えが来ていた。
「こんにちは、私の名前はリンですよろしく」
と綺麗なお姉さんが立っていたので透は、
「君に会う為に日本からやって来ました」
と挨拶していた。
リンさんはとても素敵な笑顔で、
「そのまま日本に帰れこのクソ虫」と言った。
「あれ、何か罵声が聞こえたような、リンさん日本語苦手ですか?」
「お前の腐った頭よりは正確に理解してると思いますよ、ゴミ」
「リンさん怖い」と透は有を見ながら言った。
「すいません、有ですこっちが……」
話を遮りリンさんは
「結構です、有さんこの度は遠いところまでお越しいただきありがとうございます」
と言いながら頭を下げた。
そしてそのまま車に案内してくれたが透を見ると、
「お前乗る必要あるのか?」と笑顔で聞く。
「リンさん、彼がいないとダメなんだ」と有が言うと舌打ちした後、
「どうぞお乗りください」と透も車に乗せてくれた。
そしてリンさんは運転席に座ると猛スピードで発車した。
「目的地まで五百キロあるからね、でも安心してすぐにつくわ」と笑顔で言いつつもスピードメーターはどんどん上がって行く。
二人は黙ってシートベルトを締めた。
しかしすぐに警察が現れた。
当たり前だ、一般道を二百キロで走っているのだ。
後ろをパトカーが追いかけて来ると窓を開けて何かを投げた。
爆発音と共にパトカーが吹き飛ぶ。
「おい、どうしてこんな奴雇ったんだよ」
「僕に言われても知らないよ」
「おい下ろしてくれないか?」
「どうした?まだまだかかりますのでお客様静かにしてて下さい、手元狂ったら死ぬよ」
もう二人は黙るしかなかった。
車は高速に入ると更に加速しだした。
しばらくいくとリンさんは化粧を直し始めた。
「リンさん?大丈夫ですか?」
「あぁ大丈夫、真っ直ぐな道だからそれよりあと一時間で着くわよ」
「今一体何キロ出てるんですか?」
「三百キロくらいかしら」と笑顔のまま言う。
「リンさんは戦えるの?」
「私はか弱い女の子、戦えないわよ」
「どこがだよ」と透が小声で言うと、頬の横を何かが通った。
「おいそこのゴミ黙れ」
透がそっと見てみるとガラスにペンが刺さっていた。
結局二時間半で着いてしまった。
二人はフラフラしながら車から降りたがリンさんは平気そうだった。
「この先は砂漠になるから歩きます、ゴミが私に触れたら帰ります」と目を細め透を見て言う。
「触らせないようにします」と有が言うと笑顔になった。
トランクから荷物を取り出すと透に投げ渡す。
有には手渡しする。
「この砂漠には動物はいません、ただしUMAが出ます」
「砂漠の中って何がいたっけ?」
「デスアームだろ」
「ゴミの言う通りです、デスアームが出ます」
「やっぱりな」
と言いながら三人は歩きだした。
しばらくは日差しを浴びながら歩いた。
「暑いな」と透は言いながら水を飲む。
「あまり飲むとなくなるよ」と有が言う。
「そうだな」と言いながら更に飲んだ。
その時地面が揺れた気がした。
「地震か?」と透が言うと目の前の地面が盛り上がり大きなミミズが現れた。
「これか、デカイな」と透は見上げながら言う。
「この大きさ始めて見たよ」とリンが言う。
透は刀を抜かない。
「有、早速使ってみるか?」
「あぁわかった」と言うと、棍棒を取り出した。
「それでは倒せないよ」とリンは言う。
有から棍棒を受け取るとデスアームに飛びかかり殴った。
しかし全く効かない。
電圧を上げると更に殴ったがまったく効かない。
「こいつ電気効かないぞ」
「なら他の武器を使おう」と言うと有はポケットから手のひらに収まるくらいのピストルを取り出しデスアームを撃った。
命中すると当たった部分が光り始めた。
「離れろ」と有が言うと透は離れた。
次の瞬間体の中で爆発が起きた。
「すげぇ威力だ」と透は楽しそうに言うがデスアームは少し怯んだくらいで体液を流しつつも向かってきた。
「時間ないの」とリンが言うと何も無いはずの空間から槍を出した。
そのままリンは高く跳び上がるとデスアームの口を塞ぐように上から下に突き刺した。
更に剣を取り出すと高速で切り始めた。
これでデスアームは完全に動かなくなった。
「お前たち弱い」とリンは振り向き言う。
その時後ろからもう一匹のデスアームが飛び出した。
透は何も考えずに刀を抜くとリンの横を通り過ぎてデスアームを半分に切った。
リンはそれを見ると驚いた。
刀身は赤くなっており透のスピードは人間の限界を軽く超えていた。
「嘘でしょ、彼がそうなの……」
透は刀を一度振り刀をしまう。
「あなたの名前は?」
「ウサギ 透」と言って手を出す。
リンは両手で握りしめるとじっと透を見つめた。
読んでいただきありがとうございます!
二人は日本に戻ります。
そして戦いがこれから始まります。。




