昔々……
暑いよー
「火事だ、逃げろ」
何軒かの家から火が出て街はすぐに火で包まれた。
パニックになった人々は慌てて逃げるがぶつかり合い押し倒して逃げて行く。
じっと見つめる男はため息を吐いた。
「また人間共は自分だけ助かろうとしているのか……なぜ学ばない。 本当に必要か? 天使の方がマシだ」
男は言うと街へ降りて行く。
何人もに踏まれて死んでいるものや死にそうなものが転がっていた。
「お前たちは弱すぎるのか善人なのか……治してやるよ」
男は1人ずつに触れて治していく。
街を一周する頃には全ての人を治したい様に思えた。
最後に見回っていると女の子が建物の陰に隠れていた。
「出てこい、怪我してるなら治してやるよ」
すると女の子は何かを抱えて出てきた。
「犬か?」
男が見るとそれは死んだ赤ん坊であった。
「弟か?」
女の子は首を横に降る。
「何故彼を拾った?」
「可哀想だから」
「君のお母さんとお父さんは?」
「私を置いて逃げちゃった」
男は愕然とした。
実の娘を置いて自分たちだけ逃げる親より、置いてかれた女の子の方が人助けをしている。
どっちが大人かわかったもんじゃない。
男は怒りに震えたが男の子に手を当てる。
すると男の子は息を吹き返した。
「あの……私たちはどうしたら?」
「親の元には戻らないのか?」
「この子の親も私の親もいなくなっちゃったもん」
女の子は泣き出しそうだった。
「わかった。 俺が2人の面倒を見てやるからついてこい。 赤ん坊は俺が持とうか?」
「いい、私が持つの」
男は女の子の背中に赤ん坊を縛ってあげた。
男は2人を連れて街を去る。
「そうだ、少し待っててくれ」
そういうと男は避難した先に跳んだ。
「お前たち、自分の子供はいるか?」
すると何人かが子供がいないと騒ぎ出した。
「街に残ったものは全員無事だ」
その言葉を聞き頭を下げるものがいた。
「ただお前たちは無事じゃない」
男が言うと人々はまるで砂になった様にサラサラと体が崩れ消えた。
男は女の子の元へ戻った。
「用事済んだ?」
「あぁ済んださ」
男たちは旅立った。
しばらく平穏に暮らした。
しかし2人の人が男の前に現れた。
「我々はやっと君を見つけることができた。 手を貸してくれないか」
「無理だ。 俺には俺のやる事がある」
「人間の子供たちを育てる事か? くだらん」
「そうか? お前たちの仕事よりはマシだ」
「その女の子可愛らしいね、私に頂戴」
「やめろ、2人は俺の家族だ。 誰にもやったりしない」
「そう……」
1人はそのまま帰っていく。
「彼女はいい素材になりそうだ。 だが君が手放さないのならそれでいい。 家族か……我々も家族かな?」
「そうかもしれないな……」
「まぁいい、君達にプレゼントをやろう」
男は立派な家を出した。
「これでいいかな?」
そう言い残し消えた。
「あの人たちは誰?」
「あぁ、大っ嫌いな家族だよ」
男は答えた。
またしばらく平和な世の中が続いた。
ある時世界の戦争が始まり巻き込まれてしまった。
男は2人を連れ出し逃げていたが逃げきれなくなった。
そこに1人の女が現れた。
「あなた1人では守りきれない」
そう言うと女の子を連れて消えた。
「ふざけるな」
男は叫びながらも男の子を連れて逃げ延びた。
この後の世界にこの男は現れなくなった。
混沌を嫌った男は消えたと信じたい。
ロキ・クロス
読んでいただきありがとうございます。
やばい。
北さんのひっさつわざの名前考えなくては!!




