透の試練
なんか読んでてよく分からなくなるかもしれません。
違和感もあるかもしれません。
でも大丈夫。なんとかなるさ!
「おい、こっちに人が倒れているぞ」
「なんだと、なぜこんなとろこに……」
「撮影は中止だ、とりあえず救急車呼べ、息はしてるのか?」
「息してないどころか体がボロボロだぞ、こりゃあ多分死んでるな」
「じゃあ警察呼べよ、スクープかも知れんカメラ回せ」
言葉が飛び交う中芸能人はレポーターの代わりをしている。
「こちらの現場に撮影に来たのですが昨日までなかったはずの遺体が倒れていました。 なぜここに? どうしてこんなことに?」
「今入った情報ですが身分証は全く身につけておらず名前は不明です。 顔を映すことは出来ませんので詳細を伝えます。 短髪でがっしりした男性、20代〜30代の間、シャツにジーパンを履いております。 近くには日本刀らしきものも落ちていたことから凶器だと思われます。 何があったのでしょうか?」
テレビ画面を見て有は止まる。
「透? 嘘だろ……」
そこにリンが歩いてくる。
有は慌ててテレビを消すと何事も無かったかのように酒を飲み干した。
「どうしたよ? なにかったか?」
「いや、今日もリンさんが綺麗だなと思って」
と笑顔を作り答える。
「ありがと。 有君はダーリンの次に好きよ」
「ありがと。 嬉しいよ」
答えるとすぐに酒を注ぐ。
「有君はウイスキー飲めるんだ。 知らなかったよ」
「あぁ、透の影響で……」
「どした?」
「いや、今透どうしてるかなって思って」
「ダーリンまだ閉じこもってるよ。 負けてから塞ぎ込んでたよ」
「そうだよね。 まだ出て来てないよね」
まるで自分に言い聞かせる様に有は言った。
リンは部屋を出て行く。
有は1人なのを確認すると電話の電源を入れ透に電話する。
しかし電話は繋がらない。
もし透なら誰が襲ったのか?
あの放送では助からないのかも知れない、こるから先透無しでどの様に戦うのか。
有は瓶ごと酒を飲み酔いつぶれて眠った。
朝3人に起こされると車に乗り込む。
まだニュースの事は知らないみたいだ。
良かった、そう思いながらルシフェルを探すためまた車を走らせた。
ーーボスは息を吹き返した。
今では起き上がる事も出来コードは無くなった。
「命ちゃんはもう助けてくれないだろうし……誰の力なのかしら?」
などと1人呟きながら窓を開け外を見て見た。
「風が気持ちいい」
ふと下をみると慌ただしく医者が出てきた。
しばらくすると救急車と警察車両が現れた。
降ろされる人は事件に関わった人なのだろうかなどと考えつつ見てみる。
遠くから見てもはっきりと分かる。
「透……くん……」
ボスは病室を出ると下に降りて行く。
自分の体もまだ全開ではないがそうも言ってられない。
下に着くと医者達が騒いでいた。
「まだ生きてるぞ。 あり得ない」
「肋骨折れてたんじゃないのか?」
そんな会話が聞こえてきた。
すっと消える影が見えたのでボスは慌てて追った。
しかし見失ってしまった。
「天使なのかしら?」
ボスは呟き透の元へ戻ろうと後ろを振り返ると1人の男が立っていた。
その男はくたびれたジャケットを羽織りその下にはスーツと紳士的な格好をしている。
少し季節感はなさそうな40代くらいの男だ。
「すまないが彼の事は治せなかった。 君と彼はその……恋人か?」
「彼は私の部下です」
「あぁ、それはすまない。 ところで彼はなぜ生きている?」
「彼は強いわ。 それよりもあなたは誰?」
「私の事は気にしなくていい。 それよりも彼は誰かに追われているんじゃないのか?」
「大丈夫、ありがと」
そう言うとボスは男から離れた。
人間じみていないあの男は絶対に天使かなにかだろう。
早足で透の元へ歩いて行くと後ろから男が付いてくる。
気にせずに病室に入ると透の姿は消えていた。
「透君をどこにやったの?」
振り向きながら言うと男は驚いた顔をしていた。
「知らない。 彼が勝手にどこかに行ったのではないのか?」
「そんなわけないでしょ」
ボスは部屋を出ると看護師や医者を捕まえて聞いてみるが誰も知らない。
「どうなっているの?」
「分からない。 だが彼は人間だ、だから探せる」
しばらく男はウロウロしていたがピタリと立ち止まる。
「彼はいない。 地球上のどこにも……」
ボスは慌てて電話を取ると有に電話をかけるが繋がらない。
ボスは外に出るとタクシーに乗り込む。
タクシーが走り出すと横からさっきの男の声が聞こえた。
「どこに行く? 彼は地球上にはいない」
「わかってるわよ。 それよりもいつ乗り込んだの?」
「今だ」
「そう。 付いてくるなら名前だけでも教えて。 呼ぶ時困るから」
「あぁ……なら、ナタと読んでくれて構わない。 それが今のところの名前だ」
「ナタ? 変わった名前ね。 それであなたは味方なの?」
「君の味方ではない。 消えた彼の味方となる為に来た」
「透君の?」
「あぁ、もし君が彼の味方なら私は君の味方ということになるね」
そういいながら手を差し出してくる。
「この手は何?」
「人間は仲間を見つけたら握手をすると聞いている」
ボスは呆れながらも手を差し出した。
ーー暗闇の中で透は横たわっていた。
起き上がるが何も見えない。
手探りで何とか壁を見つけると立ち上がって壁を伝って歩き始めた。
しばらく歩くとここが円で暗いということがわかった。
次に床に何かないか漁り出したが何も無かった。
「おい、誰か聞こえるか?」
叫んでみるが声は響き渡るだけであった。
「くそッ」
壁を叩くと体を投げ出しまっくらな空を見上げていた。
しばらくするとどこからか足音が聞こえて来た。
「おい、誰かいるのか?」
すると壁の向こうから返事があった。
「聞こえています。 あなたはなぜここに連れてこられたと思っているのですか?」
その声は男か女かもわからない。
「知るかよ。 それよりも元の場所に戻してくれ」
「やれやれ。あなたはもう少し賢いと思いましたけれどね。 ところであなたは何故戻りたいのですか?」
「まだやる事がある」
「そうですか……なぜあなたは戦うのですか?」
「みんなを守る為だ」
「そうですか? 本当は楽しいだけではありませんか? あなたは強い」
「俺は弱い。 それに楽しくはない」
「あなたの本音はわたしには解ります。 まぁ今はいいのですが……元の場所に帰りたいのなら自分で出て下さい」
それだけ言うと足音は遠かった。
「ふざけるな」
透は壁を叩くとまた空を見た。
しばらくして透はあることに気がついた。
蛇のアザの首が8個になっている。
じっと見つめていると少し赤く光った様な気がした。
透は立ち上がると腕に力を込める。
自分の体全体に力が湧いてくると共に蛇のアザが全身に広がる。
壁を殴るとヒビが入るが破る事が出来ない。
透は怒り、怒りに任せて右手に力を溜めた。
すると右手がだんだん黒くなっていきそのまま壁を殴ると粉々に砕け光が降り注いだ。
「やった……」
透はそのまま光に向かって歩き出したがすぐに落下し始めた。
すると光は消えまた同じような壁に囲まれた部屋へと落ちた。
「ここは地獄か?」
透は言いながらも立ち上がり壁を探すと力を込める。
殴ると壁は砕け光がまたもや現れた。
透は出ないで周りの壁も壊し始めた。
全ての壁が壊れる頃には光に包まれてた。
「足音が聞こえたんだ。 道はどこかにあるはずだ」
そう言うと光の中を手探りに動き始めた。
確かに道は存在した。
しかしどこまで続くか分からない見えない道をひたすら進むのは精神的に追い詰められていく。
何日か経ったような気がした。
透はひたすら前に進み続けていた。
光は消えることなく闇に戻りたいとさえ思ったが今は何も考えずただ進んでいる。
後ろを振り返るがもう既に自分がいた壁は見えない。
前を見ると遠くに扉が見えたのでゆっくりとしかし早く進んだ。
扉にたどり着くと大きな扉であった。
「ここが出口か?」
透はいいながら扉に触れると押してみるがビクともしない。
「クソ、なぜ開かないんだよ」
扉を叩くと背中を預け座り込んだ。
読んでいただきありがとうございます!
今後違和感が無くなっていくと思われます。
……多分。。。。




