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ヒトガタ

えーっと……あのー……そのー……

読んでください!

ボスは病院に運ばれたが意識が戻らないままひと月ほどたった。


透は自分の弱さを噛み締め1人牢屋のある西側の部屋に閉じこもったまま出てこない。


有は情報を集めながら日々を過ごしていた。


「ねぇ、遊ぼうよ」


有に命が話しかける。


もうあの時の迫力はないが有はいつまたあの命に戻るのかと心配になっていた。


命も3日は意識がはっきりとしなかった。


「また後でね。 ナナさんは遊んでくれないの?」


「うん、忙しいんだってさ」


と少し寂しそうに命は答えるとリンを探しに行った。


ふと1人になるとこの前の戦いが頭をよぎる。


自分は何にも出来なかった。


透はあんな化け物達と対等に渡り合っていた。


自分はただ見ていただけだ。


「僕も神器が使えればな」


そんなことを呟いていると電話が鳴る。


「はい、どちら様ですか?」


「朱雀です。 タオさんを見つけました。 一緒にミトロンさんを探してくれるみたいです」


「そう、よかった」


「この電話にこれから電話してください。 世界中繋がるみたいです」


「わかっよ、気をつけてね」


少し嬉しいニュースだった。


気晴らしにコーヒーを飲もうと立ち上がるとナナがコーヒーを運んできてくれた。


「飲みたいかと思いまして」


「ありがとう」


有は少し驚きながらもナナの優しさを喜んだ。


「あの、有さんはなぜずっと暗い顔をされているのでしょうか?」


「大丈夫だよ。 それよりもコーヒー美味しいね」


「話を逸らさないでください。 私は何も出来ません。 でも話を聞いて気持ちを共有することは出来ます。 私も何かしたいのです」


「そうだよね。 僕も同じ気持ちだよ。 僕は何も出来なかった。 それで後悔しているんだ」


「透さんも後悔しています。 おふたりともボスさんの事が大好きなのですね」


と言うと微笑んだ。


有も微笑みを返した。


そこへ命がリンを連れて戻ってきた。


「ニュース見て」


と言いながらテレビをつける。


「昨夜現れた天使と名乗る女性がまた奇跡を起こしました」


「あ、あの女性です。 こんにちは、お話を聞かせて頂いてもよらしいでしょうか?」



そこに映ったのはリンにそっくりな女性だった。


「えぇ、私の名前はルシフェル。 神より人間を救済する為に遣わされた者です」


「すごく綺麗な日本語を話してる」


と有はリンを見て言った。


「そんな……」


とリンは言ったまま固まっている。


「どうしたの?」


命がリンの体を揺する。


「あの娘……生贄になったはずじゃ……」


「オオクニヌシを閉じ込める時生贄になった?」


「えぇ……なんで生きてるよ……」


「ルシフェルってなんだかルシファーみたいですね」


「そのとおりよ。 ルシフェルは堕天使と呼ばれる前の名前よ」


「じゃあ彼女はルシフェル、つまりボスの名を名乗っているって事?」


「そうなるわね。 でも何故生きてるよ」



「透に知らせなくちゃ」


と言うと有は席を立ったがそのまま動かなかった。


「どうしたの?」


命は心配して覗き込みながら聞いてみた。



「やっぱり透には言わない。 これは僕たちだけで片付けよう。 仲間ならここに連れてくる」


「敵ならどうするよ」


「その時考えるよ」


と有はリンに微笑んだ。


「わかったよ。 ボスにもまだ言えないしダーリン出てこないし。 みんなで行くよ」


有は頷くと車に向かって歩いた。


後ろにリン、命、ナナが続いた。


有達が出て言った頃透は西の部屋から出てきた。


「少し落ち着いた……おい誰かいないのか?」


見渡しても誰もいない。


携帯を取り出すが電池が切れていた。


「ボスの見舞いか?」


と言いつつ車に向かう。


しかしあるはずの車がない。


「おい、嘘だろ」


透は仕方なくバイクに乗ると病院に向かった。


病院の駐車場には車は停まっておらず病室に行くがみんなの姿はなかった。


ボスの顔を透は覗き込む。


「早く目を覚ましてくれよ」


そう言うと透は病室を後にした。


透が出た後ボスの目が開いた。



ーー北達は南米大陸に降り立った。


「ここにいるのか?」


「いや、ここにはいない。 でもここからは船で移動するんだ」


「どこに向かうの?」


「南極大陸だよ」


そういうと太公望は3人を連れて大きな船の前で止まる。


「この船で南極まで行く」


「南極なんて飛行機でいけるんじゃないのか?」


「最近は未確認生物が出ているから飛行機は出ていない。 船もほとんどそこには行かない」


「大丈夫か?」


「なんとかなると思う」


そういうと船に乗り込んだ。


船は順調に進んでいた。


北はなぜか船室には入らず外で震えていた。


「師匠、寒いと思うから中に入った方がいいのでは?」


太公望は心配そうに北の顔を覗き込む。


顔は青白い。


「大丈夫だ、俺は今寒さと戦っているんだ。 気にせず船室に入っているんだ」


「我は別に寒さは感じない」


「他のものを見てやってくれ。 見張りは俺がする」


そこへ朱雀が歩いて着た。


着込んで暖かそうな格好をしている。


「タイさん、ほっといていいですよ。 多分酔ってますから」


そう言うと太公望の服を引っ張って船室に戻ろうとする。


「なんだ、それならそうと言ってくれよ。 いい物ある」


そう言うと黒い丸薬を取り出した。


「これを飲むと三半規管が強くなって酔わなくなる」


北は目にも止まらぬ速さで丸薬を取ると呑み込んだ。


「オオオオオオ、これで俺は無敵だーー」


北は両手を上げ叫び続けた。



2人は北をその場に残して船室へ入った。



しばらくは静かな航海だったが船の動きが急に止まった。


「何が起きた」


船が騒がしくなり3人は船室から出る。


そこには大きな人の様な塊が船を止めていた。


「あいつはなんだ?」


「ヒトガタ。 最悪な生物」


と太公望は答えると懐から棒を出した。


「それで戦うのか?」


「あぁそうさ、我に任せろ」


太公望はヒトガタに近づく。


しかしヒトガタは他の物に集中している様だ。


その方向を見ると北が構えていた。


「こ……こい……」


明らかに全身が震えている。


「し……師匠」


と声をかけると北の震えは無くなり太公望をチラリと見た。


「ハハハハハ、この怪物め。 このノース・ダイスケが貴様を倒してやる」


北は跳び上がるとヒトガタの肩にのりパンチを繰り出す。


しかしヒトガタは気にもせず太公望を見た。


「師匠は面倒くさいやつに喧嘩を売ってくれた」


短い棒を一振りすると少し大きくなり横に取っ手が現れる。


「トンファーか」


とオオクニヌシは少し離れた場所で見ながら呟く。



太公望はすごい速さで振り回すとヒトガタの手に当てる。


しかし全く効果が無いようだ。


「そうか、ならこれでどうだ」


言うとトンファーはふた回りほど大きくなる。


また振り回してヒトガタの手に当てる。


少し痛みを感じたらしく手を離す。


しかし海の中に手を入れると何かを引き揚げた。


昔沈没した船をトンファーの様に振り回し始めた。


これで船を叩かれたら終わりだ。


そう感じた太公望は棒を振ると大きな盾を創り構えた。


ヒトガタが振りかぶると盾に当たる。


防ぎきれないと思った時盾が軽くなった。


「俺の仲間に手出しはさせん」


その言葉で太公望は盾を消す。


そこには船を押し返す北の姿があった。


「師匠。 素晴らしいです」


太公望は感動しながら言うと北は歯を少し見せた。


歯は光り輝いていた。


オオクニヌシは走り船を蹴り壊す。


更にヒトガタの腕の上を走る。


北はその後に続く。


「目を狙え」


オオクニヌシに言われ北は頷き目に突撃した。


しかし手が届こうかと言うとき北の体は吹き飛ばされた。


何が起きたのか分からなかったがすぐに辺りを見渡して理解した。


「ヒトガタは2人いたのか」


北はもう1人のヒトガタに捕まっていたのだった。


そのまま北は投げ飛ばされ空の彼方へと消えていった。


「師匠……さようなら」


太公望はそう言うと棒を構える。


「オオクニヌシどけ、我に任せろ」


オオクニヌシは声に気付き船へと戻る。


太公望は棒を横に振る。


するとヒトガタの体が横に切れた。


「これでどうだ」


太公望は棒をしまう。


しかし切られたヒトガタの下半身からは頭が生えてきた。


更に頭からは足が生えてきた。


「化け物……怖い」


と朱雀は船室の扉に隠れながら言う。


「どうする?」


オオクニヌシは太公望に聞いてみた。


「こうなったら、最強の技を使うしか無い」


そう言うと太公望は棒を取り出し遠くに投げた。


海に棒が浸かるとそこに全く一緒の船が現れ、中に太公望そっくりの人間が何人も現れた。


ヒトガタはたくさんいる方の船に標的を変えた。


「今の内に行くぞ」


と言うと船はすぐに動き始め南極大陸へと向かった。






読んでいただきありがとうございます!


北さんは基本的にギャグになってきました。


北さんと両津勘吉ではごぶごぶの生命力だと思われます。


今後北さんが勝つかって?


勝たせたいとは思いますがね……。。。

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