大和死す
お待たせいたしました。
もう無理よー
ボスが驚いていると大和は歩き始めた。
大和はボスに近寄るがボスは体を動かすことが出来ないほど体力がなくなっていた。
ボスの目の前に立つと大和は殴り飛ばした。
ボスは吹き飛ぶと受け身も取らずに倒れ込む。
透は急ぎ走り出すがロキが槍を投げるので一歩も動けない。
「邪魔をするな」
と透は怒りをぶつけるかの如く槍を掴むと投げ返した。
ロキは易々と避けたが透に向かって剣を大量に飛ばした。
透は叩き落とすとそのままボスに向かい走り始めた。
リンもボスの元へ駆け寄ろうとするが大和の部下が2人立ち上がり押し倒すとそのまま押さえつける。
大和はボスに覆い被さるようにすると右手を振り上げる。
右手は金色に輝きボスの視界にも入ったが体が動かない。
「さらば」
と言うと大和は拳をボスの顔面に向けて振り下ろした。
轟音とともに土煙が舞い上がり何も見えなくなった。
透は立ち止まると呆然としていた。
有とジンもただ見つめている。
土煙が晴れてくると大和の拳が途中で止まっているように見え、完全に土煙がなくなるとはっきりとボスまで届いていないのがわかった。
大和は何が起こったのかわからないと言う顔で自分の右手を止めている者を見ていた。
「何? そんなに驚くこと?」
と大和の腕を指一本で止めながら命が言ってみる。
さっきまでとは全くの別人の様に感じていると命はニヤリとした。
「まだ全力は出せないし久しぶりだから力の加減も出来ない。 不便ね」
と言うと少し指に力を加える。
すると大和の体が吹き飛んだ。
皆驚いているが一番驚いていたのがロキであった。
「ばかな……そんなはずは……」
すると命はロキの目の前に浮いていた。
「あなたは何も分かっていない。 素直に引きなさい」と笑顔で言うとロキは消えた。
正確には命に消されたのだがそれは命にしかわからない。
またそこから消えると、次はリンを押さえつけている2人に触れる。
すると2人は氷のように固まりそのまま砕けた。
「これでいいかしら」と言うと命は気を失い倒れた。
リンは慌てて命の体を支えた。
「終わったのか?」
と有は言うがジンは首を横に振る。
「大和はまだ死んでいない」と言うと大和が飛ばされた方を見た。
大和は歩いて戻ってきていた。
有とジンの横を通り過ぎると目の前に透が立ちふさがった。
「どけ」と大和が咆哮の様に吠えた。
「ここを通すわけにはいかない」と言いつつ刀を構える。
「いいだろう、死ね」と言うと右手は金色に輝く。
透もそれに合わせるかのように刀に力を込めた。
その時後ろから爆音が聞こえたかと思うと大和の体に穴が開いていた。
「何が……起こった」と言うと大和は倒れそのまま消えていった。
大和が消えた後に立っていたのはボスであった。
「ボス、よくも横取りしてくれたな」
と透は言いながら近づく。
「ボス?」と首をかしげながら言うと透の刀を見つめた。
「お前は蛇か……それは私の刀だ、返してもらおうか」
と言うと透に向かって歩き始めた。
「ダーリン逃げて、ボス違う、女媧よ」とリンが叫ぶ。
「訳の分からないことを言いやがる」
「きっと耳飾りが外れたよ。 それがなくなったら昔の人格と力戻るよ」
「本当かよ。 それで強さは?」
「かなり」
透は息を大きく吐き出すと刀を構える。
「人間風情が」と女媧は言うと透の目の前から消え背後に現れた。
しかし透はそれを読んでいたので振り向きながら斬りつける。
女媧はそれを受け止めるとそのまま奪おうとする。
「ふざけるなよ」
と言いながら透も踏ん張るが力では到底勝てないと思い蹴ってみたがすべてふさがれる。
更には蹴り返され骨がミシミシと音を立て何とか踏みとどまることしか出来なかった。
女媧は透から刀を奪うと少し振ってみた。
「懐かしい。 リン今は何をしているところだ?」
「今は敵を倒したところです」と地面に頭をつけて答える。
「そうか……それでこいつらは?」
「女媧様の仲間です」
「仲間?」
「仲間は共に戦う者のことをいいます。 その人に女媧様は刀をあげました」
「状況が読めん。 まぁやったと言うなら返さねばな」
と言うと透に刀を返してくれた。
「お前人間か?」
と透を見つめて女媧は言う。
「あぁ人間だ。 文句あるか?」
「いや……ない。 どこかで会ったか?」
「女媧様、記憶が混同しているのでは? 彼に会うなんてあり得ません」
「そうか……」
と言うと女媧は目線を外しジンを見た。
「あれは敵であろう?」
「いえ、彼女はジンです」
「あぁ、話に聞いたことがある。 リンの友達だな」
「はい」
「そうか……」
と少し不満そうに答えると女媧はウロウロと歩き始めた。
しばらく歩くと何かを拾い上げた。
「敵が現れたらまた呼ぶように」
と言うと耳になにかを付け倒れた。
透が走って近寄るとボスに戻っていた。
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