幽霊ホテル
ホテル続きになっちゃいました。
しょうがない。
透とリンが病室に戻るとボスがベッドにもたれて寝ているのが見えた。
カーテンを開けると有が消えているのでボスを起こす。
「おい、有が消えた」
「え?」と言いながら目を覚ましベッドを見ると誰もいない。
「まだ動ける体じゃないと思うんけれど」とボスは言うと三人は慌てて病院を出て車に乗り込む。
「有の携帯のGPSを探してくれ」と言いつつも透は車を走らせる。
「どこに向かうか?」
「多分あそこだと思う」
ボスがパソコンを開き調べると昔試験をしたところだった。
「試験会場覚えてる?」
「やっぱりか」と言うと透はアクセルを深く踏みスピードをかなりあげた。
富士山の麓までやって来ると道路を外れ草むらの中を走らせる。
しばらく行くと小屋がありそこで車を停めると三人は降りた。
小屋の中に入ると箱が机の代わりにされビールの空き瓶が置かれていた。
「ここに来たのは確かなようだ」
と言うと床に携帯が落ちてるのを見つけ拾い上げる。
「どうやってここまで来たの?」
「車でも盗んだんだろ」
「有君が?」
「あぁ、きっと夢が原因だと思う」
と言うと透は小屋を出て近くの木に向かった。
リンとボスは小屋に残り話ししている。
透は木に彫られた文字を探した。
しかし何もヒントは無かった。
「どういう事だ?」と透は考えながら車に戻ると地図を広げた。
周りには特に何もない。
どこに向かっているのかも理解出来ない。
その時二人が車に戻ってきた。
「ジンの仕業だとしたら大変なことになるわ」
とボスがため息をつきながら言う。
「どうしてだ?」
「彼女は伏犠の弟子なの、中でも夢の創造主」
「夢の中で攻撃できるのか?」
「そういうこと」
「でも彼女は旦那様出来てから大人しくしてるよ」とリンが弱々しく言う。
「何か事情があるのかも」とボスも考える。
「とりあえずどこに向かう?」と透が話を変える。
「もしかしたら誰もいない所に行くんじゃないかな?」
「誰もいない所はこの辺りにはたくさんあるぞ」
「そうね」
と言うと三人は地図を見た。
有は一人車に乗り走っていた。
まるで悪人になった気持ちだがみんなを守るためには仕方がないと思うことにした。
どこに向かおうかと考えながら運転していると助手席に人が座っているのに気がつき慌ててブレーキを踏んだ。
褐色の肌で長いドレッドヘアの綺麗な人が座っていた。
「いつから?」
「最初からいたわ」
「あなたは誰?」
「私? 私の事は知ってるはずよ?」
「……ジンか」
「やっぱり知ってた」
「仲間は売れない」
「それは考え直して欲しいわ。 正直に言うとあなたの命なんてどうでもいいの……私は私の為に必要なのよ」
「どう言う事?」
「知らなくていいわ。 それより引き返して」
「もしかして……何か弱点握られてる?」
と言うと明らかに動揺して髪の毛をいじり始めた。
「君は嘘がつけないんだね」と言うとしっかり目を見る。
「人間には話しないわ。 それよりもあなたの仲間を私の仲間に渡さないと行けないの」
「わかった。 でも連絡が取れないから一緒に来てくれる? 君がいた方が話が進む」
ジンは少し怪しみながらも頷く。
有は車を反転させると近くの町まで走った。
町に入ると電話を借りる為ファミリーレストランに入るとコーヒーを二つ注文し電話を借りる。
「透? 僕だ、有だ。 助けが必要な状況になった」
「あぁわかった。 じゃあ中間にあるホテルで集合な」
と言い住所を伝えられると電話を切る。
ジンの元へ戻ると静かにコーヒーを飲んでいた。
「あなたの仲間には連絡取れたの?」
「あぁ、よくわからないけれど君を助けるよ」
「だからあなたには関係ないことよ」
「そうか? 君の問題を解決したら僕の問題も解決する」
「そうだと良いわね」と言いながらコーヒーを飲む。
有ももう何も言わずにコーヒーを飲んだ。
透達三人は先にホテルに着いた。
中に入ると薄暗い広間がありそこに受付があった。
ベルを鳴らすと奥から男が現れた。
「いらっしゃいませ、ご予約のお客様ですか?」
「いや、予約はしてないが泊まれるか?」
「えぇ大丈夫ですよ。 何名様ですか?」
「後から来るから……五人かな?」
「かしこまりました」というと鍵を二つ出した。
「3人部屋と2人部屋です。 お部屋は3階です」
透は鍵を受け取ると三人は階段を登り3階の踊り場に出た。
部屋は2つしかなくとりあえず3人部屋に入ると綺麗な部屋が見えた。
「よかった。 さすがに部屋は綺麗ね」とボスは言うとベッドに腰掛ける。
リンもそれにならいベッドに腰掛けると透は椅子を持ってきて座る。
「食事もあるかしら?」とボスが言うが正直透はあまり食べたくなかった。
「無いと困るがあっても困りそうだ」と言いながら電話機まで行くと受話器を取る。
するとすぐに先ほどの男の声がした。
「はい、受付ですが、何か御用ですか?」
「あぁ、飯もあるか?」
「はい、ございます。 しばらくお待ちください。 ご用意ができ次第ご連絡差し上げます」
「わかった。 よろしく」と言い電話を切る。
「飯は確保できたみたいだ」
「よかった。 でも何で3階は2つしか部屋がないのかしらね」
「外から見たらもう少し部屋ありそうだったがな」
と言いつつ窓から外を見てみると人が意外と歩いていた。
「外にこんな人いたかな?」と透は呟きながら見ていた。
有は言われた住所まで来たのだがホテルどころかなにも無い空き地であった。
「合ってるの?」とジンが不安そうに聞く。
「あぁ合ってる。 でもホテルはない」と言うと車から降りて辺りを見回すがやはりホテルは無かった。
車に戻ると車を出した。
すぐに雑貨店の様な店を見つけ中に入る。
「いらっしゃい」とかっぷくのいい男が出迎えた。
「すいません、電話を貸して貰えませんか?」
「あぁ良いよ、あれを使いな」と指さされた電話は古い電話だった。
有は受話器を取るとダイヤルを回す。
しかし透には繋がらない。
電話は諦め店主に話を聞くことにした。
「あのこの辺にホテルは有りますか?」
「無いよ」
「でもこの住所に来いと言われて……」と言いながら住所のメモを見せる。
「あぁここか。 これは幽霊ホテルと言われてる場所で30年前に無くなったホテルがたまにこうやって現れ人を泊めるんだ」
「それは大丈夫なのか?」
「あぁ問題はないよ。 ちゃんとしたホテルさ。 ただ君達はそこに辿り着けないと言うことは招かれざる客ということか……」
「パソコンは有りますか?」
「あ? コンピュータなら家にある。 来るか?」
「お願いします」
「じゃあ店閉めるから待っててくれ」と言われて2人は車に戻ると店じまいが終わるのを待っていた。
しばらく待つと店主が出てきてついて来いと手で合図をして車に乗り込むと走り出した。
有はその車について行くとログハウスが見えた。
2人は車を停めると中に通された。
「独り暮らしなんですか?」
「あぁ。 すまないね」
「いえ、パソコンは?」
「奥の部屋だ。 好きに使ってくれ」と言われて有は頷き奥の部屋に入る。
そこに置かれていたのはコンピュータが出来たばかりの頃の物が置いてあった。
「かなり大きいな。 これ使えるのか?」と言いつつも椅子に座り電源をつけてみる。
画面が映ったのでなんとか使えそうだった。
その頃リビングのソファーにジンは座らされていた。
店主はキッチンに行くと言い残し消えた。
読んでいただきありがとうございます。
いやぁ、どこに向かってるのかわからなくなってきた。
最終目的地までちゃんとたどり着けるのか?
謎です。。。




