ホテル支部
明後日からは本格的に時間が無くなります!
だって職業ハンターにならなくてはなりませんから!!
有が手術室から出てきたがまだ意識は戻っていなかった。
後はどうなるかわからないと言われ三人は有の側に座った。
「透君車は返さなくて大丈夫?」
「あぁまだ大丈夫だ」
「そう……」
と言いながらボスは少し俯く。
リンはボスの背中をさすっている。
透は少し外に出ると言って病院の外まで行くと携帯を開く。
命からなにか連絡あるかと思ったが大丈夫みたいだ。
透は病室に戻る。
二人が有の左腕を見ている。
「おい、どうした?」
「何か浮き上がってきてるの」
と言われ透は覗き込む。
何か記号の様な物が浮かび上がってきた。
「鳥の絵? ヒエログリフ?」
「なぜそんなものが……」
「ピラミッドに関係ありそうだな」
「大丈夫かしら?」
「今は分からない、目がさめるのを待つしかない」
「そうね……そうよね」
その時有の体が大きく跳ね上がり目を覚ました。
「有君わかる?」
「あぁ……はい……いえ……」
「おい大丈夫か? 死んでなかったな」
「透? あぁ平気だ、なんとも無いさ」
「車で事故にあって有は意識無くなるし相手の運転手は溶けてるし、左腕にはアザができてる」
と指差しながら言うと有は自分の左腕を確認してアザを見つけるとため息をついた。
「何か知ってるの?」
「えぇ……ただ話は出来ないのです」
「攻撃か?」
「何も言えない……何か飲み物貰えないか?」
リンが慌てて紙コップに水を入れて渡す。
有は一気に飲み干すとリンをじっと見つめる。
「本物?」
「あたりまえよ、何言ってるのよ」
「ごめん」と有は謝るとまた左腕を見た。
「透と初めて会ったのは確か試験の時だったよね?」
「あぁそうだ」
「あの時小屋で飲んだものどうやって手に入れたんだ?」
「あれは最初から隠してたんだ、好きなもの三つまで持ち込んで良かったからな」
「後の二つは何を持ち込んだ?」
「ナイフとウイスキーとビールだけだ」
「ビールは何故僕が好きなのがわかったんだ?」
「店にあったのがあれしかなかった」
「なるほど」
「なんでそんなこと聞く?」
「夢でみたから……気になっただけ」
「夢か、楽しかったろ」と少しからかう。
「あぁとても楽しかった」と口元に笑みを浮かべ返す。
「じゃあ俺はレンタカー返してくるから後は頼む」と言うと透は出て行く。
「リン付いてってあげて」と言われリンは慌てて透の後を追った。
透が車に乗り込むとリンが走ってくるのが見えた。
しょうがなくくるのを待ちリンが乗ると車をだした。
「ねぇさっきの試験の話教えてよ」とリンが興味ありといった顔で聞いてくる。
「まぁ試験官を見つけて捕獲するだけの簡単な試験だよ」
「試験官は誰?」
「北さんって知ってるだろ? あの人が試験官だったんだよ」
「あぁ、あの人。 それでどうやって捕まえたよ」
「有が酔って木のそばに吐きに行ったら文字が彫られていたんだよ、そこにヒントと言うか答えが書かれてた」
「何て書いてあったよ」
「木の上にいるって書いてあって北さん四日くらい木から降りずに生活していたんだよ」
「それは可哀想よ」とリンは笑いをこらえながら言う。
「しょうがないだろ。 まずは相棒と打ち解けないといけないと思ったんだ」
「期限は何日だったよ?」
「一週間だったからまぁ二日位で見つかるだろうと思っていたがすぐに見つかった」
「すぐに倒せたか?」
「無理だった。 あの人はタフすぎる。 なんとか捕まえた時にはフラフラだったさ」
「すごいよ。 さすがはダーリンね」と言うとホッペにキスをした。
「おい。 やめてくれよ」と言いつつも透は少しにやけていた。
車をレンタカー屋に停めると受付に鍵を返しに行く。
それが終わると透は歩き始めた。
「歩いて病院まで行くの?」とリンが驚き言うと、透は指をさして付いてこいと言わんばかりに首を動かしたので付いて行った。
しばらく歩くとホテルがあり中に入った。
「ここ、高そうよ」とリンが不安そうに言うと、透は軽く笑う。
「大丈夫さ、今日は泊まって明日車を見に行く。 一緒の部屋でいいか?」
「えぇもちろんよ」と言うと透の腕を取り体を引っ付ける。
そのまま受付に行きスタッフに話しかける。
「部屋空いてるか?」
スタッフの小柄な女性が顔を上げて透を見る。
「あなた……」というとそのまま止まる。
そしてリンの事を見ると透を睨みつける。
「あなたはまた違う女性を連れて……」
「あのな、仕事仲間だよ」
「仕事仲間と腕を組むんですね」
「ダーリン知り合いか?」
「前に助けた娘だ」
「ダーリン? もしかして奥様でしたか? すいません……いつも一緒の女性を連れてきます」
と慌てて言い訳をするがおかしな言い訳になっていた。
「ダーリンは女とホテルに来るのが好きなのか? 私では不満か?」
「いやそうじゃねぇよ、ここは隠す時に使うだけだ……仕事だよ」
「そうやって言い訳するればよろし」と頬を膨らませながらリンが言う。
「あのな……とりあえず紹介しとくけどな、山田 咲と言って有の彼女だ。 咲ちゃん、彼女はリンと言って一緒の組織の人だよ」
「え? 有君の彼女?」とリンは驚き言う。
「違います、ただの友達です」と顔を下げて言う。
「ダーリンもしかして……」
「いや、ここは組織のホテルなんだよ。 そこで働いてもらっているんだ」
「え? ここ組織の関係だったんですか?」と驚きながら咲は言う。
「あぁ、有から聞いてないか?」
「全く……ところでその有さんは?」
「あー、奴は少し死んでる。 それよりも部屋の鍵をくれ」と手を出すと咲は不服そうに鍵を渡す。
二人は受付を離れエレベーターに向かった。
「言わなくていいのか?」
「あぁ言わなくていい、彼女の事を巻き込まない様にしたいんだろ」
「じゃあなぜここで働かせる?」
「それは守りやすいからだよ。 取り敢えず部屋に行って調べごとをするぞ」
エレベーターが到着すると二人は乗り込み透はエレベーターのボタンの下にある鍵穴に鍵を差し込むと回した。
するとエレベーターが動き出した。
「最上階か?」
「いや、地下だ」
しばらく乗っていると突然止まり二人は降りた。
そこは基地の様になっており武器や車などが置いてあった。
「アジトみたいね」
「あぁここは支部みたいなものさ」
「気になってはいたけどここのお金はどうしてる?」
「さぁ? ボスが集めた金みたいだぞ」
透はパソコンがある机に座りパソコンを起動させる。
リンは少し武器を見て回る。
「あった。 キャンピングカーはもうないけれど少なくとも四人乗れる車なら山程ある」
「今ここにあるのは?」
「四台だ。 ボスに怒られない様に普通の車を選ぼう」
透は車のキーを探しながら何か別の物も探していた。
「何探してるか?」
「あぁ有が前に作った深層心理を見抜く機械だよ」
「それがあれば何かわかるか?」
「あぁきっとな」
と言いながら透はガサゴソと探してようやく見つけ出した。
機械と鍵を持つとリンを連れて車に向かう。
エレベーターに乗ると鍵を回し次は3階を押すと少しエレベーターが上がり止まった。
「よし行くぞ」と言うと地下の駐車場に出てそのまま真っ直ぐ歩くと四台の車があった。
「これだな」と透は言うと何やらスポーツカーっぽい4つ扉のついた車に乗り込む。
「なかなかかっこいいだろ。 本当は2ドアなんだけれど特別に改造して4ドアにしたんだ」
となぜか嬉しそうに言いながらエンジンをかける。
エンジンの重低音が地下に響くと透は嬉しそうにアクセルを軽く踏む。
エンジンの音に加えてマフラーからも重低音が響くとゆっくりと走らせ外に出るスロープを上って行った。
読んでいただきありがとうございます!
今日は雪が降っていて大変な騒ぎとなっています。
東北では地震もあったみたいで、無事に寒波が消えてくれればいいのですが……。。。




