河童
こんにちは。
投稿し直しです。
連載になりました。
夜中に酔っ払って歩いている男がいた。
彼は鼻唄を歌いながら家まで後少しの所まで来た。
今週もやっと終わったと思いながら近くの川の側を通りかかると子供が歩いていた。
「こらこんな時間に危ないじゃないか」と男は子供に言ったが反応がない、肩を掴むと何故かベタベタしていた。
「何をこぼしたらこうなるんだ」と言うと子供がこちらを向いた。
目が大きく、口は少し尖り髪は生えていない、そして鱗の様な肌をしていた。
男は怖くなって走って逃げ帰った。
次の朝ニュース番組、インターネットでは謎の生物が現れたと騒がれていた。
専門家と名乗る人たちが集まり話し合った結果河童ではないかと言う結論に達したことも報じられた。
キャンピングカーをパーキングに停めそこで二人はニュースを見ながら朝ご飯を食べていた。
「有河童も作れるのか?」
「河童が何を合成して作れるかわかればできるよ」
「そうか」と言いながらロックグラスを出し始めウイスキーを注いだ。
「朝だぞ」と有が言うと、
「だろうな、太陽が見える」と言って外を指差した。
有が呆れた顔で見ていると、
「いいじゃねぇかよ今日は仕事ないんだからよ」とグラスを傾けながら言った。
「でも透は気にならないか?」
「あぁ本当にキュウリが好きなのかどうか気になるな」と笑いながら言う。
「ふざけてる場合か、もしかしたら僕たちの仕事かも知れないだろ」
「じゃあ本部に報告して行ってみるか?この近くに美味い店がある」
有は何も言わずに運転席に座るとエンジンをかけた。
「座ってからにしてくれよ」と言うと座りながらウイスキーは飲み干した。
現場に近づくとマスコミが一人の男を囲っていた。
二人は記者の振りをして現場に近づくと質問をしてみた。
「その生物は何か言いましたか?」
「何も言わなかったよ、私も酔っていたから確かではないけれどもそれお宅のカメラ?」
と透を指差して言った。
透は全然違うところを撮っている。
「すいません」と有は謝ると透の事を小突いた。
「なんだよ、ちゃんと川撮ってるよ」
「インタビュー中は相手を撮れよ」
「特殊フィルター付きカメラだぞ、人なんか撮れないんだよ」
「振りだけでもしろよ」
「やめた」と言うとカメラを下ろし人混みから出て行った。
「おい、透」と言いながら後を追いかける。
追いつくとすでに機材を片付け始めていた。
「何か手掛かりがあるかも知れないだろ」
「何にもないよ、だって川には魚一匹すらいなかった」
「それ本当?」
「あぁ映像あるけど見るか?川底しか映ってないけどな」
「見せてくれ」
意味ないぞと言いたったが言葉を飲み込み映像をテレビに映し出した。
「ここの川には日本固有種の魚が住み着いていたはずなんだ」と食い入る様に画面を見ている。
透は酒をグラスに注ぐと隣に座り飲みながら、
「じゃあみんなでお引越ししたんじゃねぇのか」と軽口を叩く。
「そんな事あるわけない、大学でも毎月調査しているんだ調査は昨日のはずだし……」
「その大学近いのか?」
「あぁすぐ近くだ」
「じゃあ行こうか」と言うとキーを有に渡した。
「また僕かよ」と言いながら酒を飲んでるのに気付き、
「わかったよ」と答えキーを受け取った。
二人は大学にやってきた。
「ここの研究者の坂井教授が調査をしているんだよ」と言いながら廊下を歩く。
「魚博士か」
「魚だけじゃない、水草や貝や水質だって調査してるんだぞ」
「すげぇ川の主だな」
「もういい」と言うと有は扉の前で止まった。
ノックをすると中から男子学生が現れた。
「どちら様ですか?」
「烏 有です」
「烏先生ですか、論文読ませて頂きましたあえて光栄です、僕は工藤 弘樹って言いますどうぞヨロシクお願いします」と握手を求めながら言った。
有は軽く笑顔で握手をしたが、
「もう僕は研究者じゃない」と付け加えた。
その時研究室の奥から人が出てきた。
その男は五十代くらいで白髪だが色が黒く短パンに白衣ととても動きやすい格好をしていた。
「工藤くん何事ですか?」
「坂井教授、烏先生が来ました」と興奮気味に言った。
「おぉ、有君じゃないか久しぶりですね」と笑顔で出迎えた。
「知り合いかよ」
「あぁ大学時代にお世話になったんだよ」と説明すると、
「いやいやお世話になったのは私の方だよ」と坂井教授は付け加えた。
そして二人を招き入れると、
「仕事仲間かい?」と聞かれ、
「はい、同僚の透って言います」と有が紹介したのでどうもと言いながら頭を下げた。
「それで仕事は順調ですか?」
「えぇ、この前もベアウルフ を回収しました」
「それは良かったです、それで今日の用はなんですか?」
「実は河童の件を調べていまして、先生が調べている川の直ぐそばなんです」
「えぇ知っていますよ、今日も調査に行こうかと思っていましたから」
「その川の事で、取り敢えず映像を見てください」
と言うと先程撮った映像を見せた。
「魚どころか水草もないですね、河童は雑食なんですね」
「そうですね、そして鱗の様なものも持っているとなると……」
「やはり爬虫類ですかね」
「じゃあ簡単に言うと恐竜か?」
「恐竜は鳥類に近いからどちらかと言えば歩ける蛇?」
「またはトカゲか」
「何か怖いな」
「本当だよ、ただ皮膚がベタベタという特徴は両生類に多いんだよね」
「じゃあそいつは爬虫類と両生類の間の子供って事か?」
「わからないけど夜現場に行ってみよう、先生は危険なので来ないで下さいね」
「私は邪魔になりそうですからね」と微笑んで言った。
二人は大学を出てキャンピングカーで川のそばに来た。
「マスコミだらけで出ないんじゃないのか?」
「爬虫類だとあまり気にしないかも知れない」
「なぜ?」
「爬虫類なら人間すらも餌にするから」
「なるほど」と言うとイスに寝転がり、
「寝るか」と言った。
「よく寝れるな」と呟きながら有も眠った。
夜二人は目を覚ますとコーヒーを飲み車を降りた。
外はマスコミと野次馬で溢れかえっていた。
「多分まだ河童は人間の恐さを知らないから出てくるよ」
「河童で決定か?」
「他に呼び方がないだろ」
「あるさ、鱗少年とか気持ち悪いやつとかなんかさ」
「いいよ河童でその方が分かりやすい」と呆れて言った。
しばらく待っているとソレは現れた。
しかし一匹ではなく十匹以上いた。
「すげぇ河童みたいだ」と透ははしゃいでいるが有は身構えた。
「違う、レプティリアンだ」と有が言った。
「河童じゃないのかよ」と悔しそうに透が言うと、
レプティリアン達が武器を出した。
「あれ刀じゃないのか?」
「それに槍もある」
二人は顔を見合わせるとすぐに銃を構えた。
「あの変な銃は使わないのか」と透が言うと、
「あれは使い道なかった」と有が答える。
二人が前に進むとレプティリアン達は人を襲い始めた。
「おいマジかよ」と透は言い隙間を見つけると銃を撃った。
命中したのだが血が出ない。
「今当てたぞ、ずるいじゃないか」と言いながら数発撃ち込むが弾が入らない。
「全身が鎧になっているんだ」と有が言い関節を狙い撃つがそれも弾かれる。
レプティリアン達は人を数人狩ると一匹を残し帰って行った。
「ふざけるなよ、こっちは二人がかりだ」と言って横を見ると有が居ない、
「やっぱ一対一だよ」とレプティリアンに言うと銃をどんどん撃ち込む、少し体を仰け反らせるくらいで何も感じて居ないようだ。
レプティリアンは持っていた刀を構えると突っ込んできた。
それを銃で受けるが銃身に傷が入った。
「これじゃあもう撃てないじゃないか」と言い銃を捨てると短いナイフを取り出した。
「あの馬鹿後で殺す」と言いながらナイフを構えるがレプティリアンは止まっている。
今だと思い攻撃を仕掛けようと走り出したがレプティリアンはそれに気付くと刀を構えてナイフを受け止めた。
「マジかよ」と言うとすぐに後ろに跳んで下がる。
それでも少し腕が切られた。
動きはそんなに早くないはずなのになぜか読めない。
「強いな」と言いまたナイフを構える。
その時シューと音がすると透の横を火が走った。
レプティリアンに当たると慌てて水の中に飛び込み消えた。
透が振り向くとそこには有が大きな火炎放射器みたいなものを構えて立っていた。
「なんか知らんが助かった」
「これしか見つからなくて」
「何でもいいよ、とにかく強かった」と言うと座り込んだ。
「彼らは罠を仕掛けたんだ」
「そうかよ、取り敢えず戻ろう」と言うと二人は車に戻った。
「手当しよう」
「あぁ」と言って手当してもらっていると電話が鳴った。
「あぁボスどうした?」
すると電話口から女性の怒鳴り声が聞こえた。
「どうしたもこうしたもないわよ、テレビのカメラに貴方が銃を撃ったところがバッチリ映っていたわよ」
「カッコ良く映ってた?」
「えぇカッコ良かったわ……これで満足?なんとかもみ消すけどすぐにどうにかしなさい、後被害者はどれくらい出たのか教えて?」
有が電話を代わり、
「被害者は六名です」
「それで倒せそう?」
「それが、銃は効かないですし相手は群れを作っています少し厳しいかと」
「なら貴方達は巣を見つけて頂戴」
「はい、わかりました」と言うと電話を切った。
「部隊の投入らしい」
「あいつらは嫌いだ」と透は酒を飲みながら言った。
しばらく二人は川沿いを上流に向けて調べていたが特に発見はなかった。
「家とかに住んでるんじゃないのか?」と諦め気味に透が言う。
それを無視して地面を調べていると変な跡が見つかった。
それはベタベタしていて指は三本しかない足跡だった。
「透見てくれ」と言い有が指差した所を見た透が、
「昔見た河童の足跡と似てる」と言った。
「昔っていつ?」
「二十年前」
「それ本物?」
「あぁ本物だ、その後急にその側には近づいちゃいかんって言われた」
「それこの近く?」
「全然」
「役に立つ情報をありがとう」と呆れていった。
「どういたしまして」と笑顔で返された。
手掛かりはこれ一つしか無いのかと辺りを見渡しながら更に歩いた。
山の中に入ると透が急に立ち止まった。
「どうした?」
「この辺りに廃村あるか?」
「えっと……あぁあるみたい」
「俺が見たのは廃村の近くなんだよ」
「じゃあそこを目指してみようか」と言い二人は廃村を目指した。
廃村に近付くと道が見つかった。
「道路だ」
「綺麗すぎる気がするけど」と有が言う。
「めんどくさいから連絡しよう」
「まだ証拠がないだろ?」
「そうだけどもう暗くなるしここには食べ物がない」と両手を広げて言う。
「これでも食っとけ」と言い投げたのは小さなチョコレートだった。
「最高の夕食をどうも」と皮肉を言いながら口に入れ、
「上手い」と言っていた。
更に近付くと廃村の家に灯りが見えた。
「奴ら火も使うのか?」
「まだ奴らだとは決まっていないだろ」と言って振り向くとレプティリアンが二人の後ろに立っていた。
「透後ろ」と叫ぶと共に有は距離を取る。
透は後ろに蹴りを入れるが硬くて自分の足が痛み飛び跳ねている。
レプティリアンは立ったまま二人を見ていた。
「おい火炎放射器あるか?」
「見てわかるだろ、持ってない」
「ふざけるなよ、どうする?」
「知らないよ」
レプティリアンは二人の話を聞いているかのようだったが何処かに消えた。
「助かった」と透が言うが有が、
「なぜ攻撃してこなかった?」
「腹一杯だったんだろ、知るかよ」
「もしかしたら理由があるのかも」と言うと灯りのついている家に入った。
レプティリアンが四匹いたが一人は藁をしいた上で寝ていた。
「病気かもしれない」と有は言うとレプティリアンに近づき見てみた。
「外傷なし、口の中も異常なし……どこが悪いんだ」と考えている。
残り三匹のレプティリアンは静かに見守っていた。
「おい、もしかして妊娠してんじゃないだろうな」と透が言う。
「そうかもしれない」と有は腹を触って見た。
見た目では分からないがお腹を触ると動いているのが分かる。
「本当に妊娠してる」
「マジかよ、どうするんだよ」
「分からないけどこの苦しみ方は異常だよ」
「てか爬虫類って卵で産まれるんじゃないのか?」
「卵じゃない種類もいるよ、でもレプティリアンは卵かも」
「じゃあどうするんだ?」
「お腹を開くしかない、助けを呼ぼう」と言うと電話をかけ始めた。
「十分で着くみたい」と有が安心して言った。
その時外で鳴き声のよえな音がし始めた。
するとレプティリアン達は震え出した。
「なんだ?」と言いながら透が外に顔を出すと真横に矢が刺さった。
「あぶなー」と言いつつ部屋に顔を引っ込め、
「外にレプティリアンが大勢いるんだけど」言った。
すると部屋の中のレプティリアンが刀を透に手わたそうと腕を伸ばしている。
「戦えってか?」と言いながら受け取ると外に飛び出した。
外に出ると刀を構えたレプティリアンが一匹いた。
「この前の奴か?」と透は言い刀を抜くと刀身が透き通っていた。
構えて相手に突っ込む、刀はとても軽く思った通り以上の動きをする、
頭の上に振り上げ斬りつけると相手は慌てて腕で防ぐがその腕ごと斬り落とした。
相手は一瞬動きが止まったが腕の力だけで止血すると片手で斬りかかって来た。
刀で受け流すとそのまま体を横に真っ二つに切った。
レプティリアンの体が崩れると他の者たちも各々構え出した。
「さすがに無理だろ」と言いながらも刀を構えると次々に相手をしていった。
段々と敵の包囲が縮まってきたとき空にヘリの音が聞こえた。
レプティリアンは動きが止まり空を見上げた。
するとロープが降りてきて人がすべり降りてきた。
透の周りのレプティリアンを銃で撃ち倒すとそのまま透を囲むように立った。
最後に降りてきた男が透を見た。
「久しぶりだな兎、まだ生きていたか?」と笑いながら言った。
「大丈夫だよ、それよりなぜ弾がきくんだ?」
「対戦車ライフルだよ、それを小さくした」
「そうかよさすがの技術力だな」
「技術部が聞いたら喜ぶだろうな」と言うと指示を与えて周りの敵を一掃した。
そして小屋の中に二人の兵を行かせた。
「殺すのか?」
「いや彼らはUMAではないと思うから検査して安全な場所で保護をする」
「すげぇ、そんなことまでしてるのか?」
「当たり前だ今度見に来い」と肩を叩きながら言った。
しばらくすると一人が出てきて担架の要請をした。
ヘリが着陸すると中から担架を出された。
そしてレプティリアンをヘリの中に運んだ。
さらに残りの三匹のレプティリアンも乗せるとヘリは飛び立った。
その後少し待つとヘリが降りた。
透達もヘリに乗り込むと飛び立った。
「河童はいなかったんだね」
「何を言う河童はいるぞ」と隊長が笑いながら言った。
「合うのが楽しみだよ」と透は言い有は、
「君達が助けたのが河童で攻撃してきたのはレプティリアン、つまり人間に対する態度で名前が変わるんだ」
「そえなんだ」と有は答えた。
二人はそのまま本部に送られた。
「久しぶりにここに来るな」と言うと二人は司令室まで足を運んだ。
「ボス久しぶり」
「貴方達よくやったわね、河童を捕獲なんて最高だわ」
「ありがとうございます」
「有君は素直でよろしい、透君は少し残って下さい」
「なんで俺だけ?」
「カメラに映ったからよ」
有は笑いながら外に出て待っていることにした。
「で、本当の話は?」
「あの河童の親達は殺したわ、子供だけ生かして研究に使わせてもらいます」
「そうだろうな、黙っとけって?」
「そう、彼に気づかれないようにね」
しょうがなく頭を下げると部屋を出た。
「怒られた?」
「あぁたっぷりとな」と笑い二人は本部から出るとタクシーに乗ってキャンピングカーまで走って帰った。
読んでいただきありがとうございます。
今日は風邪をうつされました。
もうひどいです。
まだ熱はないですけど絶対に熱出ます。