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生贄にされかけたらしいが俺は元気です。女になったけど  作者: 山吹弓美


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329.王妃と仕事

 結局のところ、ゲンブというかゲンちゃんはタケダくんとソーダくんと一緒に暮らすことになった。ってことはつまり俺のところで過ごすわけで。


「ぴいぴい」

『まま、まま、あさー』

『じょうさま、そろそろむらくもさまとまりかさまがこられますよ』

「うぁーい」


 朝からこんな感じで、急ににぎやかになった。いや、ぴいぴいが増えただけなんですぐ慣れたけどな。

 ラモットの王城に移ってから1週間、カイルさんはお役人やら商人やら軍人やらと面会したりいろいろ話し込んだりで、めちゃくちゃ忙しいらしい。一応王妃なんだから少し俺に回せ、と思うんだが。まあ、俺もそれなりにお仕事はあるけどな。

 で、ソーダくんの言った通りしばらくすると、部屋の扉がノックされて2人が入ってきた。


「おはようございますー」

「ジョウ、朝だぞー」

「ぴい!」


 マリカさん、すっかりメイドさんのお仕事が板についてしまってる。彼女曰く「傭兵のおっさんども面倒見るより楽ですから!」とのこと。……あーうん。

 一方、ムラクモがやってくるとゲンちゃんはものすごく嬉しそうに飛んで行く。あれ、普通にムラクモを主と思ってるんじゃないかなあ。庭から拾ってきたの、彼女だし。


「おお、おはようゲンちゃん。仲良く休めたか?」

「ぴいぴいぴい」

「そうかそうか、それは良かったなあ」


 頬をスリスリしながら会話する1人と1匹、としか見えないんだが、ムラクモには相変わらずゲンちゃんの声は聞こえてないらしい。タケダくんやソーダくん相手の時もそうだから、これは多分本当なんだろう。声聞こえたら絶対、目キラキラさせて報告してくるのが目に見えてるし。


『……むらくもおねーちゃん、ほんとにげんちゃんのこえ、きこえないのかなあ?』

「ムラクモだからなあ。聞こえなくても分かるんだろ」

『むらくもさま、ですからね』


 そこら辺はソーダくんも分かってるみたいで、ちょっと呆れた感じになっている。タケダくんは、いつもの通りタケダくんなので問題ない。


「ぴ?」

「ああもう、どうしてお前と普通に話ができないんだろうなあ」


 しかしムラクモ。お前、話ができないのはおいといてゲンちゃんが懐いてくれてるのめちゃくちゃ嬉しいだろ。もうすっかり、顔がデレデレしまくってるからな。


「まあそれより、お湯をお持ちしました。身体拭いて、すっきりしてくださいねー」

「あーうん、ありがとうございますー」


 そのムラクモのどデレをスルーし倒せるマリカさん、さすがだ。うん、とりあえず顔拭こう。




 ちゃっちゃか着替えをしながら、マリカさんから話を聞く。その間に伝書蛇3匹は、俺が顔と身体拭いたあとの残ったお湯で身体を拭いてもらってる。もちろん、ムラクモにだけど。


「んで、今日の予定は何ですか?」

「午前中は魔術用品倉庫のチェックですね。万が一、黒寄りのものが残っていては問題ですので」

「まあ、黒の神叩き返してからだいぶ薄くなってると思いますけど」


 ラモットはもともと、スオウさんの部隊が本部として使ってた街だ。そんなわけで、軍で使ってる道具とかの倉庫がいろいろある。

 その中身を、念のため確認するのが俺が今メインにしてるお仕事。何しろ、黒の気を払うのは俺じゃないとできないからな。今までのところ、兵士用の武装にちょっと黒の気が残ってたりしたかな。


「お昼からは?」

「貿易商のシキノ殿との面会があります。総本山にもツテがあるとのことで、あちらの対策に大公殿が力を借りているそうですよ」

「あー」


 その手の面会は基本、カイルさんが引き受けてる。なのに俺に振ってきたのは、総本山の対策関連なんだってすぐに分かった。これまた、黒の気関係だからだね。

 ……太陽神教の総本山、か。


「そういや、総本山どうなってるのかな」

「結界は崩壊したらしいが、色ボケ患者は相変わらずらしい。少しずつ運び出して別の街などで見てもらっているようだ」


 俺の疑問には、ゲンちゃんの身体をタオルで拭きながらムラクモが答えてくれた。あー、黒の気抜けようが何しようが、あの色ボケは簡単に治らないもんなあ。

 でも、それなりに大きな船ありそうだけどな。少しずつ運び出すって。


「少しずつ、なんだ」

「一度にたくさん乗せるとな、港に到着した頃には船員が患者の仲間入りしてるらしい。黒の気は抜けても、色ボケは抜けんからなあ」

「ぴ?」

「ゲンちゃんは知らなくとも良いことだ」

「ぴー」


 ゲンちゃんを拭き終わり、ソーダくんとタケダくんにタオルをかけつつのムラクモの台詞に、はあと気分的に目の前が暗くなった。つーか、そこまで発情しっぱなしなのか、あっちにいた人たち。

 先長いなあ、と思いながら俺は、髪の毛に櫛を通した。

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