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生贄にされかけたらしいが俺は元気です。女になったけど  作者: 山吹弓美


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318.空中バトル

 馬に乗って移動している時よりも、高度自体はちょっと低めだと思った。ただ、崩れた城や瓦礫が散らばった街が間近に見えるってのはあんまりいい気分、じゃねえな。

 ひとまず、目の前に光の盾を全力で展開する。巨大化タケダくんと、そしてソーダくんも出してくれたので結構頑丈なのができた。よし。

 で、タケダくんは大きくなろうが何だろうがやっぱりタケダくんなので。


『まま、むらくもおねーちゃんすっごくがんばってるよ!』

「そりゃ、こんだけでっかいタケダくん見たら頑張るだろうさ」

「……相変わらず、ムラクモだな。まあ、無事ならいいが」


 はいはいと苦笑しながら、ムラクモが相変わらず過ぎてどうしようかと思った。今人間滅亡の危機だぞ、ある意味。

 にしても、意外とタケダくんの背中は安定してる。タケダくんが気を使ってくれてるのかな、もしかして。

 ……ん、何かカイルさんの台詞、あれー。


「カイルさん、タケダくんの声、分かるんですか」

「今は分かるな。小さく戻ったら、恐らくまた分からなくなるんだろうが」


 聞いてみたら、カイルさんは髪の毛がりがり掻きながらそう答えてくれた。で、せーちゃんの牙でできた剣を一閃。ばきっと音がして、こっちに降ってきたらしい瓦礫がまっぷたつに割れて落ちていった。まあ、中途半端に崩れてるからなあ。そりゃ、ぱらぱら落ちてくるわ。


『わーい、かいるおにーちゃんとおはなしできるー』

「こら、巨大化したままいつものようにはしゃぐな、揺れるっ」


 それはともかくとして、何かえらく喜んでいる白い頭を、手のひらでぽんぽん叩いてやる。後でいっぱい遊んでやるから、なんて言いかけたところで、別方向からツッコミが入った。


「貴様らあ! 神を前にして、抜け抜けとくだらぬ話を!」


 つか、待ってたんかいてめえ。いや、地味に光の盾とか張って攻撃弾いてたけどな。

 というか、すっかりバケモノになっちまったな。頭だけは角生えてるけどシオンのまんまなのに、何か口でかくなってるし牙生えてるし。

 胴体だってもう首んとこまで蛇になってるし、腕はガッツリ太い虎の前足になってる。背中の翼、どーんと巨大化してまさにラスボス。

 ま、ここまで来たらアレは殺るしかない。神様殺れるかどうかはともかく、神様の世界に叩き返すくらいはできるだろ。


『まずはいくさですよ、たけだくん!』

『うんっ!』


 そのラスボスが、こっちに突っ込んできながら口からビームを吐く。わ、真っ黒と思う間もなくタケダくんも突っ込み、すれ違いざまに光の盾で弾いた。これでも上に乗ってる俺たち、あんまり揺れないんだよな。

 んですぐさま振り返り、こっちもお返しにタケダくんが口からビーム、ソーダくんが風の刃を叩きつける。もちろん、向こうも光の……じゃねえな、真っ黒だから闇の盾か、それで弾くんだけど。


「お前の暴れる理由が、その話よりもくだらないからな」


 そして、向こうが振り向きざまにぶっ放してきた黒いビームを、カイルさんが剣で叩き斬った。

 ……ビームって斬れるんだ、知らんかった。いやいやいやいや。

 さすがに、てめえのビームぶった切られて自称神も怒ってるっぽく、今度はくわっと歯をむき出しにして突っ込んできた。


「太陽神の下僕ども、消え失せよ!」

「うっせえ、その言葉そっくり返す!」

「はあっ!」


 あっちの闇の盾をこっちの光の盾とぶつけて相殺、そのままあっちが伸ばしてきた虎の爪をカイルさんが龍の牙な剣で出迎える。そこへ、ソーダくんが叫んだ。


『かぜのやいば、れんしゃします!』


 ソーダくんが宣言通りどんどん連射した風の刃が、シオンの首から下に長く伸びている胴体にざくざくざくと突き刺さる。あれ、意外とやわい? ま、そうでなきゃ盾作らないか。

 でも、やわいのバレたせいかラスボスはますますお怒りになった。主に、今ざくざくやったソーダくんに対して。ちっちゃいなあ、まったく。


「たかが使い魔ごときが、我に歯向かうか!」

「そんなことしか言えないから、前回負けてんだろがお前!」

「今回も、どうやら勝てないようだな!」


 俺が魔力貯めてる間に、カイルさんは敵の爪とこう、がきんがきんと斬り合いな感じになっている。向こうが両手でやってること考えると、剣1本でしのいでるカイルさんすごいなあ、と感心。

 さ、貯め終わり。少々でかいのいきますか。


「闇の雨、氷モード!」

『ぼくらには、ひかりのたてー!』

「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」


 文字通り、凍った闇の雨を自称神にピンポイントで降らせる。水は王都のすぐそばに山程あるから、遠慮も要らないしな。

 んで、さすがはタケダくん。俺たちの上に傘みたいな形で光の盾を展開させて、おこぼれが間違っても刺さらないようにやってくれてる。


「や、闇の力が、なぜ我に効果を……っ」

「あ、普通は効かないのか」


 じたんばたんと空中でのたうちながら、少しずつ黒の神は高度を下げていく。その中でうめいた言葉に、あれっと思った。そっか、普通は闇の雨とか効かないのか。


「まあ、俺が特別だってことじゃね? 俺は何しろ白の魔女、太陽神さんの巫女らしいし」

「そうだな。何しろ、我が妻だし」


 俺にも実際理由は分からないけど、多分そういうことなんだろうと思う。だからそう言ってみせたんだけど、続いて言った天然イケメンボケ国王の発言はどうしような、うん。


『かいるおにーちゃん、たぶんそういうことじゃないとおもうよ?』

『たけだくん、あきらめましょう。なにしろ、かいるさまですから』


 ほら、タケダくんにまで突っ込まれてるじゃねえか。ソーダくんに至っちゃ、諦めてるぞ?

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