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生贄にされかけたらしいが俺は元気です。女になったけど  作者: 山吹弓美


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264.おさがしのもの

 テツヤさんがとっ捕まえた5人は、男3人が小金持ちのボンボンだった。女2人は、最近街に入ってきた娼婦さんだそうな。

 女性2人が雇われてる娼館でボンボントリオがやってきて、女性たちの先輩に当たるお姉さんと3対3でしっぽり過ごした後でおかしくなったらしい。あ、『兎の舞踊』じゃなくて、別のところな。

 ガサ入れしようとしたら、さっさと逃げ出して空き家になってやがった。つまり、怪しいのはそのお姉さん、ということになる。

 んでまあ、彼女の特徴とか聞き出して探してもらってたんだけど、翌日の朝にはしっかり見つかった。つーても、うちの連中が捕まえたんじゃなくて。


「こんにちはー。王妃殿下なお嬢ちゃんはおるかの?」

「あ、アキラさん。いますよー」

「どんな呼び方してるんすか……」

「おお、ちょうど良かった。お探しの物をお届けに上がったえ」


 『お探しの物』を担いだコウジさんを引き連れてやってきたのは、ロリババア魔術道具店主だった。一歩後ろにいるコウジさんがすっげえ苦笑してるのは、まあ、うん。

 あ、こっちにはグレンさんがくっついてきてる。例によって、俺の護衛。……王族て大変だなあ。

 それは置いといて。


「うちのヘイゾウとコヘエが見つけて来たんでとっ捕まえたんじゃが、頼めるかの?」

「ありがとうございますー。とりあえずそこに置いてもらえますか」

「はい。よいしょ」

「しゃあ!」

「しゃしゃしゃ」

「わあ」


 割と無造作に床に転がされたのは、普通縛りされてるそこそこエロい感じのお姉さん。うつ伏せの背中に、伝書蛇がぽんと2匹のっかった。

 1匹はニシキヘビっぽい模様で目付きの鋭いやつ、もう1匹は淡いグレーで何となく年寄りだなあって感じのやつ。何となく見比べてたら、コウジさんが教えてくれた。


「目付きが怖いのがヘイゾウで、年取ってるほうがコヘエです」

「特にコヘエは、わしとは長い付き合いでのー」

『へいぞーさんと、こへえさん? よろしくねー』

『おひさしぶりです、へいぞうどの、こへえどの』

「しゃ!」

「しゃっしゃっしゃ」


 かっかっかと笑うアキラさんの前で、タケダくんが楽しそうに挨拶をした。ソーダくんが久しぶり……ってことは、生まれた頃に会ったことがあるんだろうな、多分。

 元気に声上げる目付きの悪いのがヘイゾウで、のんびり笑う感じのお爺ちゃん蛇がコヘエと。覚えた、うん。

 っと、本題は伝書蛇じゃなくてその下で伸びてるお姉さん、だった。どれどれ。


「とりあえず、やってみますか」


 ぺん、と後頭部叩いてみる。けど、お姉さんは反応しなかった。いや、軽く黒い気は散ったんだけど、あれ?


「……あれ」

『ままー。くろくてくろいー』

「しゃあ!」

「ふむ。こやつ、元から黒じゃの?」


 タケダくんの台詞をヘイゾウが訳してくれたらしく、アキラさんがその意味を即座に理解して頷いてくれた。ああ、吹き込まれたわけじゃないから抜けないのか。なるほど。

 じゃねえや。ってことはやっぱりこのお姉さん、シオンの手下と見てよさ気だよな。じゃあ、こっちで何とかしないと。そう思って俺は、じっと腕組んで見てたグレンさんに目を向けた。


「みたいですね……えーと、グレンさん、頼めるかな?」

「任せな。地下放り込んで、ムラクモ呼んでくりゃいいんだよな?」

「……やっぱり、尋問担当ムラクモなんだ……」


 満面の笑みでそう答えてくれたグレンさんに、ちょっとだけ顔が引きつる。ま、とはいえ男の人が尋問しに行ったらエロい展開以下略、の可能性があるからなあ。いや、ムラクモでもないわけじゃないんだろうけどさ。


「あの手は得意だぜ、彼女。存分に縛れるし」

「それはどうかと思うがのー。ま、縛っておけば変な目には合わんじゃろ」


 グレンさんの台詞に、アキラさんが満足気に頷くのはどうかと思うぞ、あんたら。

 そんなこと考えてる俺の前で、グレンさんが無造作にお姉さんを小脇に抱えた。ヘイゾウとコヘエはぱたぱた飛んで、アキラさんの両肩にぴたりと着地する。あー、俺とタケダくんとソーダくん、人から見るとあんなふうに見えるのかな。俺、ロリ外見じゃねえけど。


「まあ、この部隊で一番得意そうなのは確かにムラクモですよね」

「白黒コンビとか、こう言うては何じゃがグレン、そなたもあんまり得意そうじゃなかろ?」

「ははは、お見通しですかい」


 とりあえず、尋問についてはそうだよなあとここにいる皆、コウジさんも含めて全員一致した。脳筋トリオなんかは絶対無理そうだし、あとは。


「ノゾムやタクトはまだまだ若いんで、相手の調子に乗せられたりしちまうしな。さすがに王族にやらせるほど、俺らも馬鹿じゃねえし」

「……すんません」


 この場合グレンさんが言う王族には俺も込み、かつ多分王姫様も入るんだろう。

 ……ふと、イカヅチさんはどうなんだろうと思ったんだけど、ムラクモのお兄さんだということで考えるのをやめた。何となく、シャレにならない気がする。

 で、コウジさんが何となく尋ねてみる。


「あの、テツヤ兄は?」

「わしの曾孫じゃぞ? まだまだムラクモ嬢ちゃんにはかなわんが、そこそこ行けるぞえ。コウジ、お前も少々もんじゃろか」

「無理!」


 ははは。コウジさん、何というかがんばれー。アキラさんの今のあの目、結構本気だぞ多分。

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