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生贄にされかけたらしいが俺は元気です。女になったけど  作者: 山吹弓美


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258.僅かな黒の影響

「あ、いたいた。まだこっちだったか」


 神殿出てちょっと歩いたところで、向こうから走ってくるハクヨウさんを見つけた。こっちが見つかったのかもしれないけどそれは置いといて、ハクヨウさんはこっちに寄ってくる。

 で、俺とノゾムくんが同時に聞いてみた。わざとじゃねえぞ。


「どうしました?」

「どうしたんです?」

「いや、黒の影響が出た奴が裏通りで暴れててな。ムラクモが対処してんだが」

「あー」


 ハクヨウさんの答えに、顔を見合わせる。つまり、俺とタケダくんが必要ってことね。


「行きます、よね」

「もちろん。ノゾムくんは?」

「陛下から護衛頼まれてるんですから、当然同行しますよー」

「済まんなあ。これから増えると思う」

「まあ、あっちもやる気でしょうしね。案内してください」


 シオンが実質上のトップだろうコーリマ・イコン黒帝国……何度考えても変な名前だと思うけど、その連中は今のうちに、こっちの内部に影響与える気だろうからね。対抗できるの、今のところ俺とタケダくんだけだし。

 黒除けのお守りもぼつぼつ神殿で売られ始めてるんだけど、数に限りがあるしなあ。


「先導する。ノゾム、周囲に注意してお連れしろ」

「分かってますって! ジョウさん、行きましょう」

「分かった」


 ハクヨウさんがさっさと行きかけるのを、ノゾムくんと一緒に慌てて追いかける。足を進め始めてから、伝書蛇たちにちゃんと言ってないことに気がついたので声掛けよう。


「タケダくん、ソーダくん、お仕事だって」

『はーい。ままといっしょならぼく、だいじょうぶだもん』

『わたしはおふたかたをおまもりしますから、ごあんしんを』


 ああもう、健気で可愛いなあお前ら。




 大通りから1本裏に入ったちょっと細めの通りで、ムラクモが出迎えてくれた。妙に晴れ晴れとした顔をしてるのは多分、ばっちり決められたんだろうな、相手に。


「ジョウ、急がせて済まんな」

「いや、お仕事だし良いんだけど。何人くらい?」

「軽いの2人、重めのが年寄り1人だな。頼む」

「りょうかー……うわあ」

『まま、くろいー』

『だいじょうぶですよ、たけだくん。じょうさまとたけだくんがいれば!』


 説明聞きながら現場に案内されたところで、分かりやすくタケダくんが反応した。

 綺麗に例の縛り方された人が、3人すっ転がっててさ。うち2人は短髪の若い衆で、1人が頭頂部以外長い髪にひげも長い爺さん。さっきのムラクモの言い方からすると、黒の気が多そうなのがこの爺さんってことか。

 ま、やるしかないよねー。


「大丈夫ですかー」

「ぐおほっ、ごぼおっ」

「ごほっ」

「げほ、げほっ」


 ぺんぺんぺん、と軽く肩を叩く。マジで爺さん、ものすごい量の黒ゲロ吐いた。うわあ、吐き出すだけでもしんどそう。

 対照的に、若い2人は軽く咳き込んだくらいで終わり。つか、どういう関係だこの人ら。


「はい、終わり。もう大丈夫だと思うけど」


 爺さんがまだしんどそうなんで、その背中さすりながらムラクモに声をかける。ハクヨウさんもやってきて、若い衆を同時に両手で持ち上げた。その持ち方はコンビニ袋かなんかじゃねえんだから……つっても、こっちにコンビニねえけどさ。


「手間をかけたな。このまま宿舎まで持って行くよ」

「了解。どこで黒の気を受けたのか、話を聞かないといかん。ご老人、もう少し我慢召されよ」


 ムラクモはというと、爺さんをほいと肩に担ぎ上げる。……つか、お爺さんにその縛り方はアレだと今更ながらに思うんだが、もう遅いかね。

 なんてこと考えてたら、ムラクモに聞かれた。


「ジョウはどうする?」

「ん? ああ、もともと帰るつもりだったし、このまま一緒でいいかな」

「もちろん良いぞ。ノゾム、宿舎までしっかり護衛を」

「もちろんです! 家に帰るまでが戦ですから!」


 ノゾムくん、大きく頷いて答える。はあ、遠足じゃねえんだなこっちは。いや、遠足って概念なさそうだけど。

 つか、やっぱ影響出てきてるなあ。俺もこれから、忙しくなりそうだ。

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