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生贄にされかけたらしいが俺は元気です。女になったけど  作者: 山吹弓美


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226.作戦会議ただしお店の中

 コウジさんにお店番を任せ、俺たちは奥の伝書蛇コーナーでアキラさんとテツヤさんにざっと話をした。テツヤさんは一応部隊の一員だから、話は知っててもいいからな。


「……やれやれ。面倒なことになったわえなあ」

「参りましたね。……コーリマ、国としては完全に壊れましたよ、それ」


 アキラさんは、ほんっとめんどくせえって顔になってため息ついた。肩をすくめたテツヤさん共々、気持ちは分かる。ただ2人とも、国王夫妻の話を出さないのはやっぱりカイルさんに気を使ってるよなあ。

 で、アキラさんはカイルさんに細めた目を合わせた。


「アオイ嬢ちゃんとノゾム坊やには、先に言うてやれ。言われるまでもないとは思うがの」

「もちろんです。テツヤ、お前も俺たちが話すまでは口外するな」

「了解っす」


 カイルさんの指示に、テツヤさんが頷く。コウジさんはお店の表側に近いところにいるそうで、話は聞こえてない……と思う。せーちゃんに目をやると、こくんと頷いてくれたから大丈夫だろう、うん。

 ふっと、テツヤさんが言葉を漏らした。


「……しっかしまあ、確かにえらいことになってますね。今回のクーデターって、恐らく黒幕が例の奴でしょう?」

「まあ、黒の魔女じゃろうな」

「サクラ・ゲキは前回の王都占領の折に陥落させられていますし、トウマは完全に黒の魔女の配下になってます。まず間違いなく」


 やーもう、再確認したくもないというかね。というか、一度取り返されたコーリマをもう一回占領してあいつ、何やりたいんだろうな。

 なんてことを俺が考えてる前で、アキラさんが何か妙にお怒りモードになっていた。


「奴を少々侮っておったわ。わしが粉微塵にしたやつより魔力も高いし、知恵も利く」

「そうなんですか」

「そうじゃ。あん時は彼奴には手駒もほとんどおらんかったしの、わし1人でもどうにか対処できたもんじゃが」


 あー。

 アキラさんの亡き旦那さんに手を出そうとしたんで、怒ったアキラさんが焼いて潰して粉微塵にしたあれな。というか、その人の場合は相手が悪かったんじゃないだろうか。アキラさんだし。

 まあ、昔話はともかくとしてだ。いま目の前にある危機をどうにかしないといかんのだ、アキラさん言うところの手駒をばかすか増やさないアイテムとか。


「ひとまず、魔除けの方は任せておけ。カイル坊やがむしり取られてえらいことになったっちゅう話を聞いてな、ちょいと改良してあるわい。己以外でなければそうそう外せんようにしてあるやつを、領主殿んとこと部隊の宿舎に届けておこう」

「お願いします。あれから、黒の魔女がパワーアップしてないとは言い切れませんから」

「そこが怖いのう」


 なんですよねー。ほら、ゲームでもあるだろ。一度負けて2度めに会ったら何かパワーアップしてるってパターン。いや、現実とゲーム混ぜてもしょうがないんだけどさ。

 ……特にシオンの場合、マジでどんなところ強くなってるか分かったもんじゃねえ。前回は男だけだったけど、次は女もひと睨みでOKなんて言われたら洒落になんねえし。




 まあ、そういった感じで魔女というかシオン除けは念のため、女性の分も持ってきてもらうことになった。ほんと、何かあってからじゃ遅いしな。

 そのあと、アキラさんはまた別の問題を出してきた。


「魔術のほうはどうにかなるとして……次の問題は戦力じゃな」


 戦力。要するに人数とか兵器とか使える魔術とか、その辺。

 俺たちユウゼの傭兵部隊は現在、全部入れても50行かないくらいだと思う。魔術師がラセンさんと俺なんでそこら辺はちょっと多めにカウントしても、まあ数なんて知れてるし。


「コーリマ軍がどれだけ残っとるかは分からんが、ユウゼだけでは対処しきれんえ? ヒョウちゃんには連絡入れたのかや」


 そこでアキラさんが出してくれた案はつまり、またシノーヨに助力を頼むというものだった。ああうん、黒が相手なら大公さんも力貸してくれるよな。


「あ、いえ。すぐに早文を出すつもりですが」

「急ぎでな。事情が事情じゃ、ヒョウちゃんも何とか融通してくれるじゃろ。神の使い魔はどうするかのう」

「まずは、そこはないものと見た方が良いでしょう。あちらにも、少なくともゲンブがいますから」

『へいへい。あやつらが出てきたらワシが対処するがのー』


 カイルさんも言った通り、すーちゃんとせーちゃんはとりあえずカウント外だよな。

 大体向こうにもゲンブと、もしかしたらビャッコがいるわけだし、そこら辺入れるとただの怪獣大決戦になるのが目に見えてる、うん。


「後は……太陽神教の総本山は今は当てにならんよなあ」

「神官長さんがえらいことになっちゃいましたからねえ」

「聞きましたよー。自業自得だって噂になってます」


 アキラさんと俺が思わず顔を見合わせたところで、テツヤさんが苦笑を浮かべつつ口を挟んできた。ありゃりゃ、そんなことになってんのか。まあ、あれ起きた後すぐあの島からこっち帰ってきた人なんかが話すれば、あっという間に広がるだろうけどねえ。

 ……レッカさん、苦労しないと良いけど。彼女は神官さんのお仕事、しっかりやってくれてると思うし。守られた立場から言って。


「というわけで、あすこは問題外として。イコンはどうなっとると思う?」

「神の使い魔でビャッコというのがいるそうですから、多分シオンが行ってると……」

「恐らく、既に入手済みかと思われます」

「つまり、2対2かあ。何か、恐ろしいことになりそうですね」


 続けて出てきたアキラさんの問いに、俺とカイルさんが答える。すーちゃんでかい、せーちゃんでかい、ゲンブも王都で見た時はでかかった、となると残るビャッコもでかいだろう。そんなもん暴れたらいやほんと、テツヤさんの言うとおり恐ろしいことになるねー。

 ……遠い目になった俺、おかしくないよな? さすがにタケダくんもソーダくんも、チョウシチロウやビシャモンみたいに馬鹿でっかくなるのにはまだまだ時間かかるだろうしさ。

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