表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生贄にされかけたらしいが俺は元気です。女になったけど  作者: 山吹弓美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/341

111.昼食の事情

 門から中に入り、大通りをちょっと行ったところで横の道に入って馬から降りる。ラータの真ん中を貫く大通りは、このまま北側の門を抜けてコーリマの国内へと続いてて、馬車とか先を急ぐ人なんかはそのまままっすぐ行くみたいだ。俺らみたいに一旦馬を降りて、ここでお昼にする人も結構いるみたいだけど。

 でまあ、そのお昼なんだけどさ。


「昼飯か。若、何にします?」

「いや、何でもいいよ。ジョウ、君は?」

「だから俺、ここも初めてなんで分かりませんって。美味しい物なら大歓迎ですけど」

「うむ。ハクヨウ、お前が一番詳しいのではないか?」

「……まあ、ちょくちょくコーリマには来るから、いろいろ知ってますけど……」


 とまあこんな感じで、ハクヨウさんに決めてもらうことになった。カイルさんが地味に食事にはこだわらない人なんで、こういう時はそうなってしまうらしい。俺はマジで知らないし、ムラクモはどちらかと言うと。


『ごはん?』

「タケダくん。お昼食べるか?」

『たべるー』


 俺の肩で例によってふらふら踊っている、タケダくんの方が重要らしい。いや、それってどうだろう。

 で、そのタケダくんに気づいてくれたハクヨウさんが「よし」と頷いた。決まったみたいだな。


「タケダくんも食べそうだし、使い魔用メニューあるところにしよう」

「うむ、食事重要。ロクロウタ、オトマル、行くぞ」

『くぉーん』


 そんなところあるのか、と思ったんだけど、ハクヨウさんがさっさと行くのでついて行こう。馬たちはムラクモに手綱引かれて大人しくついていってるし。カイルさんが俺を気遣ったのかおいでおいでしてくれてるし。

 にしても、何となくユウゼとは違う街なんだなあ、って思う。あそこより北にあるからかちょっと涼しい感じだし、見かける人たちはカイルさんやハクヨウさんに何となく似た感じの人たちが多い。髪の色が地味、というか黒とか茶色とか金色とか、あっちの世界でもよくある色ばっかなんだよね。

 てことは、グレンさんとかネコタの一族とか、こっちから来たんじゃないのか。別の国に行ったら、緑とか赤とかの派手な色の髪がたくさん見られるってことなんだろか。


「ついた。ここなら良いだろ」


 そんなことを考えているうちに、食堂に到着した。店の前には馬を止める広場があって、数頭の馬が繋がれている。

 で、お揃いの朱色のエプロンをつけた人たちが、繋がれてる馬のブラッシングしてやったり飼い葉持ってきたりしてる。

 と、その中の1人が俺たちに気づいていそいそとやってきた。


「いらっしゃいませー。おや、お兄さんお久しぶり。今日はお連れさんがいるんですね」

「まあな。4人と伝書蛇1匹、あと馬2頭頼めるか?」

「もちろんですよ。おーい、馬2頭入りまーす」

「まいどー」


 注文入ります、のノリで馬2頭。それに答える他の皆さんもおもいっきりファミレスや居酒屋のノリである。エプロンの人、みんな店員さんなのか。なるほどなあ。

 というか、さらっと伝書蛇1匹って入れたけどOKなのか、この店。まあ、店先とはいえ馬OKなら蛇も大丈夫……かな? ハクヨウさんが顔なじみみたいだけど、そのせいでもあるまいに。

 で、最初に来てくれた店員さんが扉を開けてくれたので、中に入る。別の店員さんがやってきて、テーブル席まで案内してくれた。おー、やっぱり昼だから結構混んでるな。


「ここは魔術師もよく飯食ってるから、大丈夫なはずだ。伝書蛇以外の使い魔も見たことがあるし」

「なら、大丈夫そうですね」


 適当に座りながら、メニューを開く。ちなみに注文して、料理を持ってきてもらって全部揃った時点で料金を払う方式、らしい。

 おお、本当に使い魔用メニューのページがあったぞ。タケダくん、一応文字は読めるらしいので見てもらおうか。


『えっとね。ぼく、さっぱりあじがいい』

「さっぱり味がいいそうです。俺は……軽めのもので。ミルク粥定食かな」

「ああ、馬で空飛ぶの初めてだったからな。すまん」


 いや、タケダくんはともかく、あんまりがっつりしたの食ったら午後が怖いんだよ。うっかり戻したりしたらことだしな。

 俺の台詞にぎょっとした顔で、ハクヨウさんがカイルさんに目を向けた。


「初めてであれっすか、若。いくら何でもかわいそうでしょうが」

「……き、気をつける……悪かった、ジョウ」

「いいえ。とりあえず大丈夫ですから。……午後はお手柔らかにお願いしますけど」

「分かった」


 あ、分かりやすくカイルさんが凹んだ。ムラクモがあーあ、って感じでため息ついて、それからさっさとメニューに目を向ける。


「よし。私はカリカリベーコンの乗ったサラダ定食で」

「はいはい。若は? なんでもいい、はなしですから」

「う。……チキンカツ定食を」

「了解。すんませーん」


 自分以外全員の注文が決まったところで、ハクヨウさんが手を挙げる。案内してくれた店員さんがやってきたところで、テキパキと頼んでくれた。ハクヨウさん自身は、鮭の味噌焼き定食らしい。

 ……全力でファミレスか居酒屋、だなあ。うん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ