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暁の都が沈む時  作者: R
1/10

暁の都が沈む時①

≪ご注意≫

※この小説は練習用に書いたものです。

加えてこの小説は、「Twelve of Legend」という長編小説の、番外編みたいなものです。

長編小説の方は長すぎて全く書いていないのに、番外編だけ書いてしまっているので、

色々と分かり辛い+設定がごちゃごちゃ+世界観の状況説明が全くないです。

↓何でもいいよ!という方のみどうぞ~。m(_ _)m





人は窮地に追い込まれた状況でも、案外冷静で居られるものなんだと、少年は思った。

しかし実際の所は、燃え盛る炎と煙による一酸化炭素中毒で、自らの意識が混濁しているだけだった。


建物の崩壊が酷く、スプリンクラーももう作動しない。

少年はふらついた足取りで瓦礫を潜り、必死に火熱から逃げていると、偶然火災の少ない部屋を見つけた。

床に転がっている、元は天井だった大きなコンクリートを踏み越えて、すぐに窓辺へと近寄る。

そこから外を見渡すと、下の方には木々やベンチが小さく見え、遠くの方ではそこら中から火の手や煙が上がっていた。

少年が知っている街並みの景色は、もう何処にも無い。


だが、その異様な光景のどれに至っても、少年は大して気にしなかった。

というか、気にすることができなかった。

今は一刻も早く酸素が欲しい。新鮮な空気を求めて、少年は窓の鍵に手を掛けた。


「…………!」


その瞬間、ジュワっと人間の皮膚が焼ける音がした。

窓の鍵が、限界まで熱せられたフライパンの様に熱い。

少年は焼けくすんだ自らの服の袖を目一杯引っ張り、袖の上から鍵を掴んで開けた。


しかし、それでも窓は開かなかった。

熱と建物の崩壊により、窓枠が歪んでしまっていた。

少年は幾度となく窓を開けようと試みたが、幼い力ではどうしようもない。

加えて窓枠も烈火のように熱く、意識がはっきりとしないために、思うように力が入らなかった。

窓が開かないと分かると、少年は精一杯の力で、しかし力なく窓を叩き続ける。


(ドン、ドン、…ドン)


空気が吸いたい。酸素が欲しい。外に出たい。暑くてボーっとする。

何度目かに窓を叩いた少年は、そのまま床に崩れて動けなくなった。

微かに動く虚ろな瞳で部屋を見渡してみると、既に室内は多くの炎と煙に包まれていた。

その光景を最後に少年は眠気に襲われて、ゆっくりと瞳を閉じた。

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