暁の都が沈む時①
≪ご注意≫
※この小説は練習用に書いたものです。
加えてこの小説は、「Twelve of Legend」という長編小説の、番外編みたいなものです。
長編小説の方は長すぎて全く書いていないのに、番外編だけ書いてしまっているので、
色々と分かり辛い+設定がごちゃごちゃ+世界観の状況説明が全くないです。
↓何でもいいよ!という方のみどうぞ~。m(_ _)m
人は窮地に追い込まれた状況でも、案外冷静で居られるものなんだと、少年は思った。
しかし実際の所は、燃え盛る炎と煙による一酸化炭素中毒で、自らの意識が混濁しているだけだった。
建物の崩壊が酷く、スプリンクラーももう作動しない。
少年はふらついた足取りで瓦礫を潜り、必死に火熱から逃げていると、偶然火災の少ない部屋を見つけた。
床に転がっている、元は天井だった大きなコンクリートを踏み越えて、すぐに窓辺へと近寄る。
そこから外を見渡すと、下の方には木々やベンチが小さく見え、遠くの方ではそこら中から火の手や煙が上がっていた。
少年が知っている街並みの景色は、もう何処にも無い。
だが、その異様な光景のどれに至っても、少年は大して気にしなかった。
というか、気にすることができなかった。
今は一刻も早く酸素が欲しい。新鮮な空気を求めて、少年は窓の鍵に手を掛けた。
「…………!」
その瞬間、ジュワっと人間の皮膚が焼ける音がした。
窓の鍵が、限界まで熱せられたフライパンの様に熱い。
少年は焼けくすんだ自らの服の袖を目一杯引っ張り、袖の上から鍵を掴んで開けた。
しかし、それでも窓は開かなかった。
熱と建物の崩壊により、窓枠が歪んでしまっていた。
少年は幾度となく窓を開けようと試みたが、幼い力ではどうしようもない。
加えて窓枠も烈火のように熱く、意識がはっきりとしないために、思うように力が入らなかった。
窓が開かないと分かると、少年は精一杯の力で、しかし力なく窓を叩き続ける。
(ドン、ドン、…ドン)
空気が吸いたい。酸素が欲しい。外に出たい。暑くてボーっとする。
何度目かに窓を叩いた少年は、そのまま床に崩れて動けなくなった。
微かに動く虚ろな瞳で部屋を見渡してみると、既に室内は多くの炎と煙に包まれていた。
その光景を最後に少年は眠気に襲われて、ゆっくりと瞳を閉じた。