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第1話 「100年先の勇者召喚」

天涯孤独になったと思ったら異世界に召喚されてなんやかんやで魔王を倒したらまたリテイク?です。

なにを言ってるかわからねーと思うがそりゃそうだろう、だって俺もわからない!!



「勇者様……わんもあ?というのはどういった意味ですの?」


「いやいや、なんていうか…もう1回遊べるドンっ!みたいな?」


「あ、遊べるどん…??」



あれって1play分で結構遊べるよね。


閑話休題(それはさておき)



「えぇーっと、俺は勇者、君はユースラディア王国の姫巫女ってことでオーライ?」


「あっ、は、はい!……あら、ですが何故わたくしが姫巫女だと……?異世界の勇者様にこちらの文化の知識があるとは思えないのですけれど…」



小首を傾げるってのはこういうことを言うんですね……なんて思うように可憐に首を傾げるディアナ姫らしき美少女。


でも、よくよく見れば目の前にいるこの少女は、ディアナよりも少し凛とした雰囲気があるというか。

…なんだろう、ふんわり感が足りない……ん?ふんわり??


と、ここまで考えを巡らせたところで失礼ながら俺の視線は彼女の胸元へと向けられました。



……ない!!え??ないよなんで!?俺のおっぱい(違う)!!



彼女の胸囲は悲しいほどに慎ましやかでした。けれども記憶にある俺の…もといディアナ姫のそこは、『迫力の大画面!!』みたいな見出しがつきそうなほどの3Dでしたから目を疑うのも無理はありません。



「……君は、ディアナじゃないんだな」


「ディアナ…それは、前勇者のパーティに随行したという我が国の王女のことでしょうか?」



と、ここでまた気になるワード「前勇者」‼︎


俺はもう過去の人なんでしょうか。

つい昨日まで時の人といっても過言じゃない扱いだったのに!てか今いつだよ!!



「うん…あの、因みに聞くとさ?その?前?勇者?はどこに行っちゃったのかなぁ??なんて?」



ええ。別に?

別に動じてはいませんけど?

決して嫌な予感とかもしていないですけれど?


確かめずにはいられない。



「……前勇者であらせられるユート・カブラギ様は決死の攻防の末に魔王を倒し、その後転移魔法陣に包まれ消えてしまったとされています。魔王を倒したことをきっかけに故郷へ帰還された、という説が最も有力とされておりますが、定かではありません」



ふーん…あ、へぇ?あ、そういう??

そういう感じなのねー。

って、待て待て待て。じゃあやっぱりこの俺の姫様のそっくりさんは、ディアナの子孫!?



誰だァ!!俺の愛する姫を娶った奴はァ!!



やっぱりロベルトか!?

あんにゃろちょいちょい俺の姫様にちょっかいかけてきやがったし……。




『ねぇディアナ。ユートはもういないんだよ?このまま独り身を貫く気?確かにそういう愛もあるだろうけど…でも、ユートはそんなこと望んでないと思うんだけどなー?』


『でっ、でも…』


『ユートなら分かってくれる…それに、僕の方がイケメンだし家柄もいいしお金も持ってるしモテるし…』


『……そうですね、ロベルト様の方がイケメンですし家柄も財力も優っていますものね……。ごめんなさいユート様!私たち…』


『『幸せになります』』




って嫌ダァァァァァアアア!!!

そんな!!

嘘だろそんなことってあるかよちくしょう!!



「あ、あのー勇者様?」



くそ!なんてこった!

精々俺をからかいたくて姫にちょっかいかけてるだけだと思ってたぞロベルトォ!!

俺を失った悲しみにくれる姫の弱みにつけ込みやがって…!チャラ男だとは思ってたけどもクズ男だったなんて!!



「あの…そろそろ何故この国のことについてご存知なのか…あの、勇者様?」



くぅっ…こんなことなら戦いが終わるまで気持ちを告げないなんて乙女みたいな願掛けするんじゃなかった!!

そしたら俺はあの豊かな推定Fカップを!!!



「もうっ勇者様!いい加減話を聞いてくださいまし!!」


「アッハイ」



キィーッとしているお姫様。

ハンカチでも渡せば期待に応えてくれそうだ。

確か、前にもこんな……。



「んん??」


「…どうかなさいましたか?」



今度はなんだよ!みたいな訝しげなその表情に、また既視感を覚える。




『きぃ〜っ覚えてなさいよ!』


『まったく…お姉様はこの変態のどこがよろしいんですの?』


『ひぃぁっ…ちょっと!撫でないでよ!あぁもう!髪がぐちゃぐちゃじゃないの…』




「あぁぁーっ!あのシスコンティエラ!!」


「し、しすこん?…ティエラって、わたくし大お祖母様のことですの??」


「大お祖母様?!君はティエラの曾孫なのか!」


「え、ええ、そうですわ。ご紹介が遅れましたが、姫巫女序列第一位、第一王女シエラ・クレイ・ユースラディアですわ」



俺の姫様じゃなくその妹の小生意気なティエラの方か!!


っとここでぬか喜びもしてられない。

ディアナの曾孫じゃないからって、ロベルトが俺を裏切ってない証明にはならない。



「シエラ姫、君がティエラの曾孫なのは分かった。一つ知りたいのはティエラの姉のディアナのことだ。勇者が消えた後、彼女はどうしてた?」


「……ディアナ様は勇者様が転移された後、同じパーティメンバーであったラナ様と共に勇者様の行方を探っておりました。

なんでも、魔法陣が我が国の勇者召喚魔法陣に酷似していたそうで……帰還のための魔法陣にしては似過ぎていたとおっしゃって、長らく独り身で研究を重ねていたそうです。

しかし、魔法陣を知覚したのも発動の一瞬だけですし、周囲の人間はやはり勇者帰還説を信じておりました。

そして長年の研究の末に、今から確か…25年前に、御年94歳で亡くられました」



まさか、本当に俺のために独り身を貫いて?

確かに、他の男と結婚してても嫌だけど、でもディアナは寂しくなかったのか。

どこに行ったかもわからない男のために一生を過ごして…。



「………他のメンバーは?」


「ロベルト・ティンバート様は王国へ戻られてからは騎士団に所属されておりましたが、お兄様がご病気で亡くなり、ご実家であるティンバート家をお継ぎになられました。

ガザ様は当時の王都ギルドマスターであらせられたセキト・ロウェル様の養子になられて、ギルドマスターの地位につかれました」



ロベルトは貴族の次男坊だったから継ぐことはないだろうと思ってたけど…そうか継いだのか。

あいつはまぁチャラいけど国政に対してはいろいろ思うこともあったみたいだし、ちゃんと貴族として職務を全うしたんだろう……。


ガザは元々戦争孤児で、生まれ持った戦闘センスを活用して傭兵として生きていた。

身寄りのない奴だったから、どうなったかと思えば…まさかセキトの爺さんがなぁ。

確かにあの偏屈爺さんは減らず口ばかり叩いていたが、ガザのことは妙に気に入っていた気がする。

ガザの方も爺さんを尊敬してた節もあったし、意外じゃないといえば意外じゃないか。



「…二人とも、もう?」


「ええ、ディアナ様とさほど変わらず、天寿を全うされました」


「そうか……」



どいつもこいつも長生きしそうだったもんなぁ…。

あのディアナまでとは、少し驚いたが。

初めて会った時が15歳だろ?

そっから魔王討伐んときが19だったはずで…あれ?



「なぁ、ディアナが死んだのは25年前って言ったよな?」


「ええ」


「あぁ…ってことは100年経ってんのかぁ、あの日から」



初めて召喚されて、ディアナと出会ったあの日から。



「あの、もしかして貴方は……」


「ああ、俺が前勇者、ユート・カブラギだ」



天国の父上、母上。

100年の時を超えて、俺はまた召喚されたようです。

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