41 本腰入れます!けど、バテます。
あれから数日経って、八月が始まった。
勝手に嫉妬したり怒ったり、考えれば考えるほど、自分が疲れるだけなので考えるのを止めた。
それと……あと一つ。ちゃんと集中しないと、早苗先輩がめっちゃ怖いのだ。……流石監督、侮れがたし。
「今日から、本腰入れてスタートします!去年と同じく、毎朝九時に体育館舞台集合、遅刻厳禁です!台本もできあがったので、後程配ります。ちゃんと読んでおいて下さいね?」
早苗先輩がキビキビ仕切る。ちゃんとした台本がある時は、監督がしきるんだそうだ。
いつものグダグダ感は消え、みんなビシッとしている。
「今年の台本は人魚姫です。役数は8つ。オーディションは金曜日に行います!
一年生はほとんど役に入れないと思うけど、落ちちゃった子は裏方でがんばってね!」
「「はい!」」
先輩がキビキビしてくると、後輩も張りきりがいがあります!
まぁ、役は欲しいですし、死ぬ気でもらいに行きますが。
8つしかないのかぁ……玉砕覚悟で好きな役を取りに行こう!
「それじゃあ、役については各自自己練習はしておいて下さい!
台本内の不明な点は私まで!台詞アレンジはいつも通り、自由です。
自分の感じたままに演じてください。
今日は、通しで台本読みと、強化練習します!この一週間は発声・筋肉・肺活量の最低一つは強化練習するので、よろしく!
それでは、気をつけ!礼!」
「「お願いします!」」
「円になって!寝て!」
早苗先輩の指示に慌てて従う。さり気なく、圭一先輩の隣ゲーット!
っと浮かれていた私。笑顔は一瞬にして消え去りました。
「足上げで通常発声!斜め45度!梓先輩から右回りで!」
「行きまーす!足上げて!
あーえーいーうーえーおーあーおー!」
「斜め45度キープ!竜ちゃん!足下がってきてるよ!シバかれたいの!?」
発声の合間に飛ぶ早苗先輩の注意。厳しいです!
腹筋壊れてもいいからキープ!ってやりすぎじゃあないですか!?
「ちょっと菜穂ちゃん!声がちっさい!もっと出せるでしょ!?」
「さ、さーちゃん先輩の鬼!!」
手始めに30分間足上げキープって!無理です!
30分が経過した頃には、既に全員が屍化していました……。もう、余裕等皆無です。
あ、終わったってことは休憩ですか?……助かった。
と、思った一年生。ところが……人生そう甘くはない。
「はーい!3分休憩後、次行きまーす!外周、二周でーす!その次、筋トレしまーす!」
早苗先輩の悪魔の微笑みと共に、一週間の地獄の強化練習は幕を上げたのでした。




