6 そして続く。
次はおサルさん。
「葉桜栞で~す♪2年2組だよ~♪役は、男以外なら何でもやりま~す♪使っているシャンプー&リンスは、いち髪で~す♪そうそう、演劇部は仲良し部活だから、名前に‘先輩,ってつけるんだよ?」
語尾に音符がつきまくっていた…。
えっと、サンタのお兄さんの番。
「…町野竜です。」
「よっ!!竜ちゃん!!」
「!? 梓先輩!!やめて下さい!!」
「それなら…がんばれ~駄犬~」
「咲先輩まで…もういいです。」
竜先輩は、弄られキャラなのかな?
「2年4組です。会計です。役は…男なら、割となんでも。シャンプー、リンスは姉が買ってきたものを。まぁ、よろしく。」
この弄られキャラはお姉さんによってできたものか…?
「そういえば、圭一が居なく無い?」
「梓……気付いていなかったのか?」
「だって、居ると思ってたから。」
と、制服姿の先輩が1人入ってきた。スッゴいイケメン!!
「遅かったな、圭一。」
「あぁ。生徒会に寄ってきたら遅くなった。部費申請用紙貰ってきたぞ。後で記入しとおけよ。」
そして、部室を見回して
「どうやら、廃部は免れたようだな。」
と、言った。
「今ね~自己紹介やってたの~。圭一くんもやった方がいいよ~?」
「そうだな。俺の名前は、永井圭一。2年1組で、役は自分のやりたいものを気分でやりたい。シャンプーは忘れた。慣れないことも沢山有ると思うが、頑張ってなれてくれよ。」
これで、先輩達の自己紹介は終わったらしい。
「よし、じゃあ次は新入生に自己紹介してもらおう!じゃあ、優壱からね。」
「は!?梓姉、横暴!」
「ごちゃごちゃ言ってないの!!」
「…わかったよ。鳴宮優壱。1年1組、一人っ子、役は演じ手がおもしろいのやりたい。以上!」
すごい速さで自己紹介をした。
…なんて自由人…!!
「優壱、使っているシャンプー&リンスは?」
「はぁ!?母さんが勝手に買ってくるやつだから、そんなんしらねぇよ。」
優壱は、梓先輩の問いかけに半ば投げやりに答えた。あれ?もしかして、照れ屋?
梓先輩の隣の机に座っていた琢磨先輩が、そっと梓先輩の肩に手をおいた。なるほど。梓先輩をよく見てみると、微かにムッとした表情に変わっていた。
「おい、優壱。」
「何?哲兄。」
「そろそろ、梓先輩、中野先生って呼べよ。」
「えー。」
「えー。じゃない!!公私混同はダメだ!」
「なんでだよ…翔馬や、一夜達もそうやって呼んでるじゃん!」
「なら、他のヤツらもだ。ちゃんと敬称をつけろ。」
先生の一喝に、みんなしぶしぶ頷いた。
「じゃあ、次…」
「あの、先生。」
ちょっとどころか、かなりの謎がとけないままだったので、思わず声をかけた。
「先生と、ここにいる1年生男子って知り合いだったんですか?」
「ん。まぁ、な。」
その後、先生が説明をしてくれたのだが、周りからの邪魔が入って、かなり長くなってしまったので、短く要約。
先生と、優壱、星くん、翔馬くん、梓先輩は、家が近くて小さい頃は一緒に遊んでいたらしい。
だから、優壱、星くん、翔馬くんを悪ガキトリオ、先生を哲兄、梓先輩を梓姉と呼ぶんだとか。
因みに、さっき梓先輩が連れてきたのは梓先輩の従兄弟で、2人の家は、学校挟んで反対側だから他の人達とは遊びに来たときに、友達になったんだとか。
「なるほど~だから、中Tが哲兄だったんだ。」
菜穂ちゃん、勝手にニックネームつけちゃってます。
「は?え?俺、中T!?」
「はい。中野ティチャーで、中T。」
「菜穂、お前…普通教師に渾名つけるか?」
先生タジタジ。
「つけますよ?ねぇ、お姉ちゃん?」
姉に同意を求めてるよ…。
「ん、つけるよ?ねぇ、優李ちゃん?」
え?そうくる?うん…でも
「…つけるんじゃない?」
先生には悪いけど、そのほうが呼びやすいし。
私達3人から言われて、先生はすごい勢いでしょげていた。
うーん。…少し哀れ。
「ははっ!!中T!?いいね!!じゃあ次は、ナイス☆ニックネームをつけてくれたキミ!」
梓先輩が笑いながら、菜穂ちゃんを指名した。
梓先輩の機嫌はなおっていた。…みんなは菜穂ちゃん達を見ていたから気づいていなかったけど、私はしっかりと見ていた。
さっき、琢磨先輩が梓先輩にキスしていたとこを。ラブラブなのはわかったから、もっと時間と場所を、わきまえてほしいものだ。
因みに梓先輩に笑われたことにより、先生は更なるダメージを受けたようだった。
「それでは。七瀬家次女、七瀬菜穂です。1年1組、役は腹黒いのか、超無邪気なのをやりたいです。使っているシャンプー&リンスは、椿です。」
「ついでに、姉の七瀬千津です。1年1組、役は大人しい子を希望します。シャンプー&リンスは、妹と同じ椿です。」
「「よろしくお願いします。」」
菜穂ちゃんに続いて、千津ちゃんも自己紹介。息ぴったりのお願いしますでした。
「じゃあね~次は、稔!」
梓先輩が、さっき連れてきた従兄弟の1人を指差した。
「は?俺?ってか、マジで入部決定!?」
「うん。」
「え~!!梓を梓先輩って呼ぶとか、ありえねぇ!」
梓先輩とその男子が、ケンカを始めてしまった。
「でも、結局部室まで来たでしょ。」
「そ、それは…弱みを握られているからで…」
「あれ、みんなに教えちゃっっていいんだ?」
従兄弟くん、梓先輩に押されてます。あ、にらみ合いが始まっちゃったよ…。
「…っ!!もう、いいよ!分かったよ!入部するよ…。」
あ~あ、負けちゃった。
「じゃあ、自己紹介をどうぞ。」
梓先輩、満足そう。
それにしても、一体どんな弱みを握られているんだ?気になる。
「…齊藤稔です。1年3組、一夜と梓……先輩の従兄弟です。応援部に入るつもりが、無理矢理連れてこられたので、裏方希望です。シャンプー、リンスは使わず、ボディーソープで洗ってます。」
…開き直った!?
「はい、次!一夜!」
「…真鍋一夜。1年3組、裏方希望。」
「おい、一夜。シャンプー、リンスは?」
「稔と同じ。」
まるで、通訳。
「もう、稔と一夜は相変わらずね。」
梓先輩が、あきれたように言った。
「はい、次。」
「じゃあ、俺が。」
星くんが、教卓の前に進み出た。
「篠塚星です。篠塚グループ次期社長、つまり跡取り息子です。自慢ではありませんけど。」
あ、お坊ちゃんだったのか。
「なぁ、次期社長のお前が、何である程度しか有名でない、この市立校に?」
竜先輩が、不思議そうに尋ねた。
「優壱や、翔馬達がいたからです。別にいいところに行く気はなかったんで。」
「なるほど。」
「続けますよ?1年1組、役は自分に合ったものをやりたいです。使っているシャンプーは、フランス製品だった気がします。」
「金持ち!」
星くんと一夜くんをのぞいた部員全員がハモりました。
「そうですか?じゃあ、翔馬。」
「え!?僕!?」
「あぁ。」
「星の暴君。…僕の名前は、白井翔馬でしゅ。あ!!かんぢゃ!」
超かみまくっていて、翔馬くんをのぞいた全員が笑っていた。
「うぅ。1年1組、役は女の子以外で!!シャンプー、リンスは家族全員メリットです。よろしくお願いします!」
みんなに笑われて半泣きだった。
「あぁ…翔馬、泣かないの。じゃあ、最後。」
梓先輩が、私に微笑みかけた。




