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プロローグ

おおきなくりのきのしたで



あなたとわたし



なかよくあそびましょ



おおきなくりのきのしたで











久しぶりに小さな頃の夢を見た。

幼なじみだった女の子と遊んでいた夢だった。

もう遠い過去に感じた。

20年以上も昔の事であった。

町の大木に群がる子供達。

追いかけっこをしたりかくれんぼをしたり…

日が傾くと一人ずつ、一人ずつ家に帰っていった。

僕と彼女は家が近かったからいつも一緒に帰宅していた。

他愛のない会話をしていた。

同じクラスの人気者のりっちゃんの話。

隣のクラスの先生の奇行の噂話。

そして…他のクラスの気になる男の子の話。

どうでもいい話から身内の話まで。

大木の広場から家に帰るまでの、たった15分の雑談の時間。

僕にとっては大切な時間だった。



今、僕は既に家庭を持っている。妻は仕事の同僚だった。

妻と僕はいつも一緒に仕事をしていた。

僕はきっと、それで惹かれていったのだろう。

勇気を振り絞って告白し、付き合いはじめ、

二年間の交際を経てようやくゴールインをした。


だが…最近妻が冷たい。


何かがあったのかもしれない…浮気とか…




小さな頃は、あの幼なじみを嫁にすると信じて疑わなかった。

彼女と一緒にいるのは「当たり前」だと思っていた。


しかしそれが「当たり前」ではなかったと知ったのは中学生の頃だった。





中学生活ももうすぐ終わるという頃から、彼女の様子はおかしかった。卒業式が近付くにつれて、彼女は憂鬱そうな顔を見せるようになっていた。

当時の僕は、彼女の表情を不思議に思ってはいたが、気にとめることでもないと思っていた。




小さな頃、共に遊び回った




あの―――大きな栗の木の下で




彼女は僕に言ったのだ。




「タクヤ…ごめん。私…引っ越すことになったの。」




彼女の言葉に 僕は凍りついたのだった。

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