王太子妃の私は実は精霊との愛し子~ありのままを愛してくれる貴方と~
レイラ・ローザンは公爵令嬢だった。
王太子妃としてディレス王太子に愛され、国王と王妃にも認められていた、が。
後妻と異母兄妹、ディレス王太子の弟と妹からは目の敵どころか親の仇の如く恨まれてしまう。
しかし、彼女を愛する人と父達に守られていたのだが、ある日──
私はレイラ・ローザン。
この国の王太子の婚約者。
ローザン公爵の前妻の娘。
後妻と、その間に生まれた妹と弟達の仲は良くはない。
でも、お父様はいつだって私を守ってくれた。
そして王太子妃として恥ずかしくないよう送り出してくれた。
だけれども、王太子であるディレス殿下のその妹君と弟君は私を目の敵にしている。
ディレス殿下も、国王陛下も王妃殿下も口酸っぱくたしなめているけど、私を目の敵にするのを止めない。
「どうすれば仲良くなれるかしら」
「分からない、君を嫌う理由が私には分からない」
ディレス殿下はそうおっしゃって頭を抱えています。
「君との婚約は我が国では重要であることも言ってるのに理解しようとしないのをどうにかしたいのだが……」
「ディレス殿下……」
「ディレスでいいよ、レイラ。君を幸せにすると君の父君に誓ったのに……」
「国王様も王妃様も私を守ってくれています、それでいいのです」
「君はなんて優しいんだ、レイラ」
ディレス殿下は私の額に口づけを下さいました。
「ディレス殿下! レイラ様!」
「メリッサ……どうしたの?」
「ガイ様と、メアリー様がレイラ様のものに火をつけました!」
「何だと⁈」
青ざめる私を抱きしめ、ディレス様は私を抱きかかえて私にあてがわれた部屋に向かいます。
私のドレスや、家から持ってきたお母様の数少ない肖像画が燃やされていました。
「メアリー! ガイ! お前達は何をしたんだ!」
「何故レイラ嬢を其処まで目の敵にするの⁈」
拘束されている二人を、国王様と王妃様が怒鳴ります。
「兄上を誘惑したあばずれを追い出そうとしたのです、何が悪いのです!」
「誰だ! 誰に言われた‼」
「あばずれ」という言葉に、ディレス様が激怒しました。
「アデーレとメルナと、レックスよ!」
私の父の後妻と異母兄妹でした。
「あの連中の言葉を聞くなと何度言えば分かる!」
「だって、産んで直ぐ姿を消した前妻なんてあばずれでしょう! その血を引いてるわ!」
「王家には相応しくない!」
私のお母様は私を産んで直ぐいなくなりました。
事実な為言い返せません。
「なるほど、後妻とメルナとレックスか」
「お父様……」
顔を怒りに染めたお父様が姿を現しました。
「すまぬ、ローザン公爵。貴殿の最愛の娘を我が愚息と愚女が傷つけてたのを止められなかった……」
「後妻とメルナとレックスとは縁を切る」
「お父様、宜しいの?」
「あれほどレイラを傷つけるなと言ったのに傷つけたのだ、許すことはできん」
「ローザン公爵殿、申し訳ない」
「ディレス殿下、貴殿は常に娘側に立ってくれた、国王陛下と王妃殿下も、だが──」
「そこの二人は妻が許さぬだろう」
「……え?」
『そうね、私の娘を傷つけた罪は重いわ』
花吹雪が部屋を舞います。
薄いピンク色の長い髪に、紅色の目、白磁の肌にほんのり色づく頬と、柔らかな紅の唇。
花柄のドレスを来た若い女性。
「フローラ」
『貴方ともっと一緒にいられたら跡継ぎを産めたのだけど、私は精霊だから長くいられなくてごめんなさいね』
「お、かあ、さま?」
『レイラ、私の可愛い子』
お母様は若いままの姿で私を抱きしめてくださいました。
「お、お父様⁈ どういうことなの⁈」
「どういうことなのですか⁈」
「何度も言っただろう、レイラの母は花の大精霊フローラ様だと! 精霊と人の間の子、愛し子なのだと‼」
「う、嘘よ! そんなはずないわ‼」
「嘘では無いからこうして来たのだろう⁈」
国王様が怒鳴り散らしていました。
『国王様、そこの二人の子ども、許すことはできませんわ』
「……私が何をいっても無駄だったのです、罰を受けさせます」
「父上⁈」
「お父様⁈」
メアリー様と、ガイ様が真っ青な顔をしています。
『お前達二人は飢え続ける、食べることができず、飲むこともできず、苦しみながら生き続けよ──』
そう言うと、黒い植物の紋様がお二人につきました。
「「痛い痛い痛い‼」」
『お前達をそそのかしたものも同じ道をたどる──』
「国王陛下、後妻達を牢屋へ、食事などは一切差し入れはなくていいです」
「分かった」
「国王様、メアリー様とガイ様の婚約者には……」
「事情を話し婚約破棄をして、賠償金も払おう」
「分かりました」
大臣の方がそう言うと国王様がそう言って頷きました。
『レイラ、良かったら貴方も精霊界に来る?』
「……いえ、私にはディレス様がいらっしゃいます」
『辛かったら、言って頂戴ね』
「はい、お母様」
お母様はにこりと笑って消えました。
お母様は人間界に春をもたらす存在でもあり、この国を訪れた時、精霊が見えるお父様が一目惚れし、求婚し、子どもが一人生まれるまでの期間だけ一緒にいることができました。
だから、屋敷の方々は私を大切にしてくれたのですね。
後妻は母が精霊だと信じず、異母兄妹も同様に。
異母兄妹と後妻は、メアリー様とガイ様に無い事ばかりを吹き込み、結果目の敵にされていたのが真相。
お母様は慈悲深いですから、直接害成すわけでなかったら「花粉症」くらいにして痛い目に遭わせるだけにしようと思ったのですが、今回の件は許しがたかったそうです。
その後のことですが──
結婚式を挙げるのが二人がいるから危ないとやらなかったのをようやくできることになり、私とディレス様は、国を挙げて祝福されることになりました。
その時花ビラがふってきましたが、きっとお母様でしょう。
メアリー様とガイ様は、離宮に隔離され、苦しみ続けているようです。
後妻と、メルナとレックスは牢屋で同じように苦しみ続けているようです。
皆謝罪の言葉をお母様に述べているようですが、たまにくるお母様曰く。
『あれは反省してないわね、私が怒ったのは娘の事だもの、レイラに謝罪がないと』
と、おっしゃってました。
私には恨み言を言っているので、多分理解するか死ぬのが先かのどっちかだろうとお母様はおっしゃってます。
「ディレス様は私がお母様の子だから怒ったの?」
「そこまで阿呆じゃない、君を愛しているから怒ってきたのだよ」
「結婚を決めたのも」
「君が好きだからだ、君の父君は私が君と結婚するのに相当渋ったんだぞ、私が何度も頭を下げて君と婚約して結婚したんだ」
「まぁ……」
「だから、馬鹿なことなど言わず、愛されてくれ」
「……はい、ディレス様」
私達はキスをしました。
すると花ビラが舞ってきました。
「……君の母君に監視されるのはちょっと困る」
「ふふ、そうですね」
私は笑って言いました。
精霊との愛し子なんて私には些細なこと。
だって、ありのままの私を最愛の人がいるんですから──
最初はタイトルに恨まれているとつけたのですが、別にそんなに恨まれてないなとなり今のタイトルにしました。
人の話をちゃんと理解しない、一方だけを信じるなど、真っ当な人の意見を聞かないと罰が当たりますよという感じの話です。
レイラは、自分が精霊との子だとは知らなかったのは、父親がもし言ったらレイラが精霊界に言って自分一人になるのではという考えからです、これは父親がダメでしたね。
ディレスは精霊との子だと知っていましたが、最期まで関係なく愛し続けました。
短編を書いたりして、色々とできたらうれしいなと思っています。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
他の作品も読んでくださるとうれしい限りです。