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8話:古代の蝶

「大丈夫ッ!?」それはルナだった。「う、うん」と答えたミカは急に現れたルナに凄く驚いていたが、それよりもルナの方が心配そうな表情だった。


「どうしたのミカ…急にテレパスが繋がらなくなって驚いたんだよ!」

「え…ぇ!?」

(そんなに時間経ってないと思うけど……)

「だって……2時間経ってるんだよ?」

「エーッ?!に、2時間も経ってるって…」


 ミカはルナの話を聞いて恐ろしくなった。ルルと別れてから少ししてルルは紅茶を用意して運んで来た。だが、ミカがいなくなったと大騒ぎになり、ルナも慌ててテレパスを使ったけど全く反応が無かったと聞かされた。


「私…30分くらいは部屋にいたよ?」

「あり得ないです。私…5分ほどで戻った。

 それに他のメイドが廊下を頻繁に動いているので誰かに気づかれるかと」


 背筋がゾクッとした。だって廊下を歩いた時に誰も居なかった。それに……静かだった。


「えっ、誰も廊下ですれ違わなかったよ?静かだったからメイドさんの人数が少ないのかと思ったの」

「この屋敷……百人は軽く超えてる」

(まさか……恐怖体験でもしてるの…私!?)


 異世界に来て初めての『恐怖体験』に背筋を凍らせていたミカはさっき見た【蝶】のことをポソリと呟いた。


「あの蝶のせいかな…」


 丁度、フローラも慌てて庭園に駆けつけると、蝶の話に前のめりになるとミカの言葉に耳を傾けた。


「蝶ってどんな蝶でしたか!」

「どうしたの?」

「いぇ……ちょっと……」

「そうだね…あれは、魔法陣のような幾何学模様が背中に着いた光り輝く珍しい蝶だったと思う……」

「やはりそうでしたか……」


 深刻な表情になると、フローラは語り始めた。


「それは、古代蝶エンシェント・バタフライだと思われます……」

「エンシェント・バタフライ?」

「はい。わたくしが追い求めている『蝶』なのでございます」

(聞いた感じだとレアなのは分かるけど……王女が必死になるほどの蝶なのかな?)


「ミカさん……この場所で見かけたのですか?」

「うん、蝶を見つけて触れようとしたタイミングでルナに引っ張られた時には居なくなってた」

「おそらく……あの蝶に触れてしまうと魂を吸い取られてしまうので触れないで良かったです」

(エッ……………………怖いんですけど!?)


 フローラの話を聞いてミカはルナに人知れず感謝した。まさか、『魂を吸い取られる』蝶とか聞かされないと気づかないパターン……恐ろしい。


「私はあの蝶に導いてもらうために探しているのですが、なかなか見つからないくて……でも、手がかりが手に入ったのは良好でした!ちょっとご相談があります…あの……」


 すると、初めて見るメイドが話を割って入る。

 

「フローラ様。ご準備が整いました。」


 30代くらいのメガネとメイド服を着た女性が姿を現すと話の途中でフローラに伝えた。


「あ……はい。分かりました。」

「皆様、晩餐会の準備が整ったので会場へと行きましょう!」

(さっきの話……気になるのよね…話さない気?)


 ミカは少しモヤモヤしながら晩餐会に臨むことになったのでした。

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