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2話:王都追放とルナの覚醒

「この者を連れて行けっ!」と王が命令を下した。数人の兵士がミカを捕まえて半ば強引に引きずられる様にして広間を後にした。

 

 取り囲まれながら城を抜け、城下町に入る。何の騒ぎだと集まる群衆にミカと抱えられたルナは人の冷たい視線を浴び続けた。


(クッ…なんて、屈辱なの……)


 城下町にの正門に辿り着くと兵士の一人が王に命じられて運んできた革袋に詰められた金貨三十枚と手のひらサイズの収納袋(ストレージ・バッグ)を手渡した。


「すまない。我々の王のせいでこのような仕打ちをしてしまったこと…命令とは言え……」


 兵士の男性は唇を噛み締めて本気で憂いていた。


「正直、ムカッとはしていますが、別に気にしていません。別の国にも行けるので逆にラッキーです」


 ミカは笑顔で兵士に別れを告げるとアストラ王国を後にした。

 

「さぁて、ルナ。次の町に向かって出発よ!」

「にゃぁあ!」

 

 ミカは腕の中のルナに語りかけた。ルナはミカのイキイキとした表情になんだか嬉しそうだ。

 しばらく歩くと深い森を見つけた。中は鬱蒼と生えた巨大な木々が歓迎している。ミカとルナは慎重に中に入ると小さなフワフワとした光の玉が宙を舞っているのを見つけた。


「あれはナニかしら?」

(キノコの胞子とかかな?私はキノコ苦手だから嫌だな……)

「ねぇ、ルナ……えっ!?」

 

 ふと、ルナに目をやると、ルナの体はドクンと脈を打つような鼓動と共に苦しそうにしていた。


「ルナっ!!えっ、ど、どうしよ……」


 黒いモヤのようなモノがルナを覆うとミカはあまりの冷たさにルナに近づけない。


「冷たっ…る、ルナぁあーーーーっ!!」


 数分後、ルナにまとわり付く黒いモヤが消えた中にいたのは少し大きく成長した二本足で立ち上がった黒猫のルナだった。

 

「……え?ルナが立って……る?」

 

 ミカは信じられない気持ちと無事で良かったという安堵感とで感情がぐちゃぐちゃになりかけた。


「マジか…いや、でも……無事ならイイ。」

 

 ミカはルナをギュッと抱きしめるとルナの温かさと鼓動を感じて少し涙が溢れた。


「良かったよぉおー!」 

「ミカ、心配しないでよ!」


 急に声が耳に響くとルナをマジマジと見た。この声の正体……それは、ルナだったのだ。メスだからなのか人間の言語を話すルナは可愛らしい少女のような声にミカは「ひゃっ!」と声を漏らした。

 

「実は勇者スキルが変異して"黒猫の加護EX"を手にしたみたいなんだ。アタイ…役に立てるかな?」

(勇者の加護がルナに宿っていたのにも驚いたけど、それがまさか……変異するなんてアリ!?)

「ルナと会話できちゃうなんて……サイコーか!」

「えっと……そこじゃなくてスキルの話だよミカ」


 ルナが軽くツッコミを入れつつ、スキルの話を始めた。それは今後の冒険で重要になることは明らかだとミカは感じ取っていた。


「ミカもステータス見てよ!」とルナは目の前に謎の半透明な表示を展開した。


ルナ:黒猫の加護EXスキル一覧。

学習共有(マルチ・タスク):使用者がレベルや特殊なイベントで手にしたスキルや身体能力を契約者と共有し、互いに使用が可能になる。

 

念話共有(テレパス):使用者と絆(交友)がある場合、距離が離れていても会話が可能になる。


・黒猫の騎士EX:高速で動き回る俊敏な動きから繰り出される剣技をレベル毎に習得する。


・黒猫の賢者EX:全ての属性の魔法取得が可能。

◇◇◇


「共有がある限り、ミカもアタイと同じくらい強くなるってことみたい!」

(そっか……ってそれはチートなのでは?!)

「ルナとシェアしてるみたいで嬉しいなっ♡」

 

 ミカとルナは巨大な木が生えてない広い場所に出ると少し休憩していた。初めてのルナとのトークにミカはテンションが爆上がりしていると、草むらがバサバサと音を立て始めた。


「えっ、な、なに?」

 

 草むらから忍び寄る敵を前にルナがミカの前に立つと主殿を守るように警戒すると「シャァア!」と威嚇し本気で戦おうとしていた。

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