第33話 我慢
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今日は学園おやすみの日。
私はまた公爵邸に来て、ジルと魔女探しについて話しに来ている。
話が進むにつれて、ジルの魔力量に関する話題に私は驚愕する。
「細かく話すとね、魔力量が多いジルの心臓を捧げることで、私とガルガンでなくなる予定だった人物が助かるって話だったの。ジルって一体どのくらい魔力量があるの……?」
「2万5000くらいだな」
「2万5000……!?」
「まあ、なんだ言ってなかったか?」
「聞いてないよ!」
その一言で、私の驚きがさらに深まる。
この国では、1000を超えた魔力量はもう特別だと認識される。
魔物でさえ、1万を超える魔力量を持つものは非常に希少だ。
学園長でさえ1万2000前後だと聞いていたのに、ジルはそれを大きく超えている。
ジルって、いったい何者なんだろう?
最強の古代魔竜に近い魔力量を持っているということなのか?
勇者みたいなキャラクター設定じゃない……
なぜジルが小説の中では悪役だったのか、私は不思議でならない。
「まあ、それでもミラにふさわしい男なりたくて12の頃からかなり鍛えたり魔術の勉強や修行をしていたさ」
「私に?」
「ミラは魔法が使えただろ?しかもあの時は10歳だし」
「確かに……だからこんなに身体大きいんだ」
ジルの言葉に、私は少し照れくさくなりながらも、隣に座っているジルの胸筋や腹筋に目をやった。
その筋肉に触れずにはいられず、手を伸ばしてそっとなぞるように触れてしまう。
「ん……ミラ、ちょっとくすぐったい」
「え?どこが?」
ジルがくすぐったそうにする様子に、私は胸が高鳴る。
その反応が嬉しくて、私は思わずさらに悪戯心を起こして、ジルの腹筋をシャツの上から軽くなぞった。
「ミラ、もうおしまいだ」
「……」
「ミラ……!」
ジルが少し大きな声で言うと、手を強く取られる。
彼の手は、私の手をぎゅっと握り締め、私の心臓は高鳴る音を加速させた。
「これ以上は……我慢できなくなるから……」
ジルは顔を逸らして、耳を赤く染めている。
そんな彼の姿に、私はどうしようもなく愛おしさを感じ、思わず口に出してしまった。
「少しくらいならいいのに……」
その言葉を口にした瞬間、ジルは振り向いて、私のむくれた顔をじっと見つめた。
そして、彼は何も言わずに私を抱き上げ、そのままベッドに移動させた。
「少しってどこまで?」
ジルは私のドレスの裾から手を入れ、脚を下から優しく、ゆっくりと撫で上げてくる。
「んっ……くすぐったい」
私は、心臓の鼓動が自分の身体の中で大きく響き、ジルにも聞こえてしまいそうな気がした。
ジルはそんな私を気にすることなく、キスをした。
今までのような優しいキスではなく、甘く、まるで溶けてしまいそうなほど、舌を絡ませた深いキスだった。
「ジル、キス上手……誰かとしたことあるの?」
「はっ……ミラこそ、他の男のことを知っているかのような言い方だな。随分と余裕があるな?」
そう言って、ジルは私の背中に手を回し、ドレスのリボンを解いた。リボンがほどけると、一気にドレスがゆるみ、胸元がほころんだ。ジルは自分のシャツを素早く脱ぎ捨て、肌が露わになった。
「ジル、かっこいい」
ジルの鍛え上げられた肉体美に、私は思わず息を呑み、声を漏らした。見とれている私に、ジルは優しく額や首にキスを落としながら、静かに囁いた。
「止めなくていいの……?」
そう言ってジルは緩んだドレスを少しずつ下げ、私の胸元がほんの少し露わになり、下着がちらりと見えた。
「もう少し……」
ジルは下着を外すことなく、首から胸元にかけて深く、たっぷりとキスをした。ドレスをそっと捲り上げ、脚にも優しくキスを重ねていった。
「ジル……もっと」
私がジルをぎゅっと抱きしめ、耳元でそっと囁くと、ジルはその瞬間、動きをぴたりと止めた。
「ジル……?」
「これ以上は……本当に我慢できなくなるから……」
そう言ってジルは私からゆっくりと体を離した。
その瞬間、私ははっとして我に返り、乱れた格好を確認した。急に自分があんな大胆に求めていたことが恥ずかしくてたまらなくなり、思わず布団を深く被った。
(私、いまなんかすごい大胆なことしてなかった……!?)
「ごめんね……ジル」
「いや、嬉しかったよ」
ジルがそう言うのを聞いた私は、布団から顔だけを覗かせて彼の顔を見ようとした。すると、ジルは私に優しくもう一度キスをしてくれた。
「一歩づつ、一緒に大人になろう」
ジルのその幸せそうな顔を見て、私も胸がいっぱいになり、ただ嬉しくてたまらなかった。
(一歩づつ……こんなに幸せな気分に慣れるなら……)
「また少しならしてくれる……?」
私がそう問うと、ジルはちょっと呆れたような、でもどこか照れて嬉しそうな顔で言った。
「あのなぁ……ほんとに可愛すぎるのやめてくれ」
「えー?」
ジルの声には少しだけ甘さが混じっていて、その表情からは明らかに我慢している様子が見て取れた。彼は一度大きく息を吸い込み、ゆっくりと私を見つめ直す。
「はぁ、早くミラの全てを俺のものにしたい……」
その言葉に私の顔は真っ赤になり、ジルがこんなにも私のことを思ってくれていることが、なんだか恥ずかしくて、でも嬉しくて、心臓がドキドキと響き始めた。
「ほんとに……ずっと我慢してるんだ。褒めて欲しいくらいに」
ジルはゆっくりと私の髪を撫でながら、私の反応をじっと見つめている。その手のひらの温もりに、さらに心が乱れそうだった。
「でも、次はもう無理かもしれない」
ジルの手が私に触れた瞬間、全身が熱くなった。
「ジル……?」
その声が届いた瞬間、ジルは私を抱き寄せ、軽く唇を重ねた。優しくて、それでいてどこか切なさが混じったキス。そんなジルを感じるたびに、私はますます彼に惹かれていくのを感じていた。
「あんまり無闇に煽らないでくれよ」
ジルのその優しい眼差しと、愛おしそうな微笑みに、私は思わず頷いてしまった。
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2~3日更新おやすみします߹߹




