最後の預言
君の目にはいったい何が見えていたんだろう
君には未来を感じ取る力がある
君が嵐は止むと言ったら本当に嵐は止んだし
君が存在すると言えばそれは確かに存在した
君自身、その力をよく知らなかった
君曰く、未来が見えるわけではないらしい
ただ何となく
そんな表現でしか表せないほどだ
しかしはっきりと頭の中で声が聞こえてくると言う
左の道に行け
今日の朝は早く起きなさい
とかそんな感じだ
時に君は知ってはいけないことまで知ってしまうらしい
あの人は今日大けがをするよ
あの人は今日死ぬよ
もちろん何をしてもその運命を変えることは出来ない
そんな君がある日言った
とんでもない声が聞こえたと
君の頭の中の預言者は何かまずいことを告げたらしい
君は僕のことを見て震えていた
その二日後に君は僕に殺された
僕は血まみれの君に一つ聞いてみた
ねえ、君は僕に殺されることを予言していたんだろ
それなのになぜ逃げなかったんだい?
君は何も答えなかった
僕がその場を去ろうと背を向けたときまだかすかに息をしていた君の声が聞こえた
僕は君に殺されることは預言できなかったよ
それが君の最後のセリフだった
僕は初めて人を殺した高揚感に包まれながら自宅に帰った
まてよ、
君が僕に殺されることを予言していなかったとしたら
君は何にあんなに怯えていたんだ…?
その日の空はやけに明るかった…




