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僕の価値
君の肩にそっと手を乗せる
その肩は小さく震えていた
怯えているのかい?
手に持ったナイフが君の首筋をなでる
あと少し力を加えるだけで君の大切な血管を切り裂く
そんなぎりぎりの力を加えながら何回も何回も君の様子を見て楽しむ
僕はほんの少しだけ力を加えて君の首筋をなでた
心臓の鼓動に合わせて血がゆっくりと滴り落ちる
人は死ぬと目の光を失うらしいがどうやらそれは本当らしい
光を失った君の目はとても美しかった
僕はそっと君の瞼を閉じナイフに着いた君の血を真っ白な僕の服で拭きとった
君のその整った美しい顔立ちは血で汚れた今が一番可愛らしいよ
でもね、僕は君が好きだ
信じられないって?
君はこういう言葉を聞いたことがあるかい?
愛の対義語は憎悪ではなく無関心であると
僕だって興味のない人間にこんなことをしたりしないよ
人はね、
その命が途絶える時にこそ真の美しさが現れると思うんだ
嘘偽りのない心の奥底
僕はね、それが見たいだけなんだ
本当に、ただそれだけ…
たまに思うんだ
そんな僕は美しいのかって
いつか試してみたいな
僕は手に握ったナイフを見つめながらそう思った