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僕はとても恵まれている
いつからここにいたのかはもう覚えていない
しかしこの場所はとてもいい
働かないでご飯も出てくるし、毎日インターネットで遊ぶことだってできる
好きな本も読めるし、好きな時間に寝られる
この場所の外に出たことはないが、不便は感じなかった
でもそんな僕でも外に出たいと思う時はあった
ある日、君が僕のことを呼んだ
どうやら外に出る時が来たらしい
外の世界は危ないのだろうか
僕は目隠しをされ二人のボディーガードに案内された
僕は何も見えないまま、ただそこに立ってろと言われた
何かを背負わされたような感覚が首筋に走った
ねえ、目隠しを取っ―
ガタンッ