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僕に欠けているもの  作者: 狼と子羊
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DV少女

今日のサークル活動も終わり俺は…エリーとカフェで夕食をとっていた。


「ふーん、学院の近くにこんなカフェあったんだ。褒めてあげる。80点って所

 ね。」


「俺が何度サボりのために下町を散策してると思ってるんだ?現地人よりもこの町周辺には詳しい自信があるね。」


 もともと俺の地元はこの学院からは結構遠いところにあるんだが…、サボりに次ぐサボりでもう学院周辺にはかなり詳しくなってしまった。


 次はもう少し羽を伸ばして散策範囲を広げてみるか。


「そんなことしてるからサイモンにいいように使われることになるのよ。」


「俺が嫌いなのは強いられる勉強なんだよ。それ以外は別に好きでも嫌いでもねえんだ。別に学院に不満があるわけでもないしな。」


 そういいながら俺は運ばれてきたサンドイッチを手に取りほおばる。うん、おいしい。やっぱ此処のカフェは料理がうまいのがいいよな。


 ちなみにエリーはスパゲティを頼んでいる。くるくる、結構食べるのが上手い。以外と調整するのムズイんだよなあれ。


「そういえばサイモンはお前ら3人の弱みを握ってるって言ってたよな?」


「アンタに教えないわよ。碌なことにならなそうだし。」


「あー言い方が悪かったな。別に弱みを聞かせて欲しいってんじゃねーんだよ。ただなんつーかあったばかりでこんなこと言うのもおかしいんだが…、サイモンがそんなことしそうな感じがしねーなってさ。」


 会って数時間しか経ってないのに何言ってるのかって話だが、あまり悪い奴には思えないんだよなアイツ。


「まあ、そうね。アタシもそんなに付き合いが長いわけじゃないけど…、まあ悪い奴ではないのよ。弱みって言っても実際しょーもないことだし。ただ頭が切れるのよ、それも変な方向にね。まあそのうちわかるわよ。」


 そういうとエリーはスパゲティを食べ終わりややぬるくなった紅茶に口をつける。


 しかし話を聞くに弱みを握るってのも大したことではないらしい。まあ他人の話はどうだっていいか。それよりも問題なのは…、


「しかしどうするんだ?俺彼女なんて作ったことねえし恋愛相談ならまだしもDVとか聞いたことねえよ。てかこれ生徒会に相談する内容か?これ。町の衛兵団に頼めよ。」


「…まあ生徒会に頼むことではないってのは同意するわ。ただ衛兵に頼んだってあんまり取り合ってもらえないでしょ。最近は輪をかけて忙しそうだし。」


「ああなんだっけ下町の通り魔だっけ。夜な夜な一人で歩いてると体をバラバラに切り裂かれるってやつこえーよな。」


「外に出なきゃいいのよ外に。リスク管理ぐらいは自分でしろって話よ。…話が逸れたわね、えっとDVだったかしら。どうしましょうか。」


「どうしようかね全く。そういえばエリーはこのリリア・ヒュームって人は知ってるのか?」


「知らないわ。私たちと同じ1-γならまだしも他のクラスの奴なんてほとんど知らないわよ。アンタは…聞くまでもないわね。私たちの事すら知らなかったくらいだし。」


「へへっ。」


「褒めてない。殺すわよ?」


「こら!女の子がそんな汚い言葉を使っちゃいけません!……悪かったからその指を降ろしてくれ、もう痺れたくない。」


 ほどほどにしないとそろそろ切れられるな。


「じゃあまずはこのリリアって子にコンタクトをとることだな、まあ1-βの奴に聞けばいつか会えるだろ。」


「ええ。行動は明日からになるわね。まあ何とかなるでしょ。気楽にやるわよ気楽に。」


 そういうと彼女は席を立つ。まあそろそろ店を出る頃か。さて…


「あのー…エリーさんちなみにお会計は…?」


「あら、こんなに可愛い美少女とご飯が食べられたのよ?誰がどう払うかなんて決まってると思うけど。」


「いや俺もそうしたいのはやまやまなんだが今月はちと厳しいというか…、わかったわかったからその指をやめてくれ。」


 うぅ。最近お気に入りの服かったからあんまお金無いんだけどなぁ。まあ飯の一つも奢れないってのも甲斐性がないか。


 二人分の会計を終えていつもより軽い財布を仕舞いながら俺たちは学院へと戻った。エリーも俺と同じく寮に住んでるらしい。まあ学院のほとんどが寮に住んでるんだが。


 そして翌朝、俺たちは教室で待ち合わせて適当にその辺の奴にリリアという女子生徒を知らないかと聞いて回った。すると特に困ることなくすぐリリアという女子生徒は見つかった。


「貴方がえっと、リリア・ヒュームさんで間違いないか?」


「ええそうですけど…。あっ、もしかしてあれですか?目安箱の。」


「えぇ、まあそんなところね。」


 俺たちはリリアさんと食堂のカフェテリアで例の件についての話をしていた。


「早速なんだが、えーっとその…DVだよね、お悩みは。」


「はい、そうなんです。今私二年のリードって人と付き合ってるんですけど…。その、最近暴力を振るうようになって…。」


「成程ね、殺しなさい。そんなクズは。」


「馬鹿、話が急すぎるだろーが。そうだな…、なんか予兆というか…、なにか心当たりみたいなものは無いのか?」


「いえ…、特にそういうのは…最初は優しい人だったんです!けど最近なんだか扱いが雑というか…すみません上手く言えなくて。」


 なるほどね。何というか本性を現した、というのが近いのか?彼女に落ち度があるような感じは今のところまるで見られないが…。


「別れるって選択肢はないの?そんなクズ付き合う理由とかないと思うけど。」


「リード君はホントに悪い人じゃないんです!私がどんくさいから彼がああするしかなくって…。」


「重症ね、これは。」


 確かに重症だ。そしてこれをどうしたものか…。


「まあ、大体わかった。じゃあそのリードってやつに会いたいんだけど。」


「リード君なら大体放課後、グラウンドにいると思います。スティーラサークルなので、彼。」


 どうやらリードとやらもララと同じスティーラサークルに所属してるらしい。あいつに聞けば普段の様子とかもわかるかもな。


「それじゃあ、あとでリード君にも話を聞いてみるよ。ああ大丈夫。君の事は話題に出さないから、うまいこと適当に話してみるよ。」


 そういうと俺とエリーはカフェテリアを後にする。まあよくある被害者彼女みたいな女の子だったな。


「で、どうするの。正直アタシそのリードってやつに会いたいとも思えないんだけど。」


「そうだな、エリーはあのリリアって子の情報を集めてくれると嬉しいかな。普段の様子から些細なことまで全部。」


 リード君とやらにビリビリさせてもめんどくさいしな。


「まあアンタがそういうならアタシはそうさせてもらうわ。ま、あまり期待しないで頂戴。喋るの得意じゃないし。」


「まあ頑張ってくれ、俺も適当に上手くやるさ。」


 そんな形で一旦リリアさんとの接触は幕を閉じる。さて問題はリード君とやらだが…、まあ適当にララに頼めばすぐに見つかるか。そして適当に授業を受けて放課後俺はグラウンドにいるララに話しかけた。


「おーいララ、ちょっと頼みごとがあるんだが。」


「お、珍しいね。ベルから私に話しかけてくれるなんて。」


「別に珍しくもないだろ。ふつーだよふつー。」


「で、どう?サークルは見つかった?」


「ああ、まあな。今話しかけてんのもそのサークル活動の一環だ。」


「おぉ、あの万年孤独を尊んでいたベル君がこんなに成長するだなんて。」


 なんていいようなんだ。まあ孤独というか一人でいること自体は好きではあるのだが。


「まあいいだろ。それで、お前のサークルにリードって人いるか?今はその人に用があるんだが。」


「ん?いるけど、なんかあったの?」


「ま、色々とな。今日は来てるのか?」


「うん、ちょっと待ってて呼んでくるから。」


 そういうとララは杖を持っている集団に混ざり何か話し始める。そうしてるうち一人のやや長身でいかにも運動が得意といった赤髪の男がこちらに歩いてきた。


「どうも。あなたがリードさんで間違いないっすかね?」


「ああ、俺がリードだが…、誰だお前?会ったことあったか?」


 問題の事情聴取が始まった。

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