引きこもり
私と彼との付き合いは高校からだった。
その時から彼にはあらゆる才能と魅力を感じていたが、今思えば少し異質だった。勉強もそこそこ出来、スポーツも堪能だった。だから私から声をかけた。月日は流れ、同じ大学に進学をした。それからだった。彼の姿をなかなか見なくなったのだ。心配した私は彼を近くの店に誘った。
「ねぇ、最近どうしたの?」
彼は黙ったままだ。
「悩みごとがあるならきくよ?」
彼は少し笑みを浮かべて言った。
「生きてる感じがしない、自分の人生を歩んでいる気がしないんだ。すべてくだらない。テレビもこの日常もね。人と関わることは煩わしい。境界線が曖昧だ。別の世界線にいる自分かどこかの星に自分の居場所があるかも知れない、、」
私は彼の背中を押した。
「でも、引きこもりはよくないわ。」
数日後、彼から電話が鳴った。
「やっぱり引きこもりは良くないね、前を向かないと」
数時間後、彼はこの地球を飛び立った。