5.溝が埋まる兆し無く
サント軍作戦本部、一人の偵察兵が息を切らして飛び込んできた。
「お、おい。どうしたそんなに慌てて?」
「はぁ・・・はぁ・・・上官に、通してくれ・・・。」
彼の応対にあたった兵士はそのただならぬ様子にすぐさま本部に駐在している少将、そしてちょうど視察に来ていた大将の両名に報告があると伝え、一息もつかぬまま通した。
「よく帰還してきた、アルツ伝令兵。」
「して、君一人ということは?」
「はっ、ここより2km離れた平野にてタクス伝令兵の死体を確認いたしました。その周囲にハイツ軍の兵の姿も確認しました。」
将校の二人は少し唸る。
「向こうは我々の提案を蹴った、ということになるのか?」
「状況から見てそうだろう。アルツ伝令兵、他に異変はあったか?」
「申し訳ありません。何分、敵の数が多くタクスの死体に近づけませんでした・・・。」
彼は少し拳を握る強さを上げた。
「そうか、それならしょうがない。もう下がって良い。」
「顔に疲れが見える、今日はもう休みたまえ。」
「はっ、了解しました。では失礼します。」
中将の部屋から兵士が出ていく。残されたのは二人は今後の戦況を推察する。
「まさか蹴られるとはな・・・。」
「ハイツ軍は一体何を考えているのやら・・・。」
「「・・・・・・。」」
しばしの沈黙。
「私は首都に戻り戦力を掻き集めてくる。徴兵もこれで四度目、これ以上は戦後の国力の再興に影響が出るやもしれんが・・・致し方ない。」
「となると、決戦の場は・・・やはりここですかね。」
「カンターヴィレ平野、最前線たるここで終止符を打たねばならん。」
「では、私はここの者たちに今後の作戦の通達を行います。」
「ああ、よろしく頼む。」
そうして、サントは進む道を決めてしまった。そしてもう一つ、進む道を決めてしまった者たちがいた。
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「ふぅん、カンターヴィレ、ねぇ・・・。」