12.降り立つものは、天使か悪魔か
今回は、一部不快に感じる表現が出てきます。「=で挟まれた二行」が該当箇所です。
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「ハイツ軍、殲滅確認。」
空から、死体の平野と化したカンターヴィレ平野を見下ろす。
「やっぱり、アホみたいなスペックね、このフライトスーツ。」
私専用にチューニングされた戦闘用フライトスーツ《スヴァーヴァ》。
ホバー飛行可能で速度も音速を超える。鳥の羽のように展開されている翼は武装を積みに積んでいる。ちょうど今使ったのは《レギンレイヴ》・〈ロータ〉一発の爆弾から小型の爆弾を広範囲に撒き散らす代物。他にも凶悪な兵器を格納している。
「けど、やっぱこのマスクは馴れんわ。」
《スヴァーヴァ》の装備中は私の知覚センサーを強化し、神経接続のためフルフェイスのパイロットマスクを付けなければならない。
別に息苦しいわけではないが、気分的に馴れない。
「あー、そんじゃあ・・・サントの方行くか。」
方向を変え、ぶっ飛ばす。サント軍の本部まで3秒か。
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「そうか、彼らは・・・。」
「大将、もはや・・・。」
「ああ、白旗の準備を・・・」
ドッゴーン!!!
「な、なんだ⁉」
「外で何があった⁉」
「中将閣下!大将閣下!ヒトが・・・ヒトが降り・・・。」
その言葉は最後まで言われなかった。彼の体に二つの風穴が開き、そのまま倒れたのだ。
「くっ・・・。」
「大将、どこに・・・!」
「外だ、せめて責を負う者として降伏宣言を行う。」
「・・・お供させていただきます。」
外に出るとゴォォォォォッとエンジンとジェット噴射の音がした。
「な・・・。」
「・・・!」
そこには機械の羽を有し、顔のないマスクをつけた不思議な、奇妙な、異様な、黒い人型がいた。
「・・・・・・・・・・。」
沈黙。しかし、悍ましいまでの気迫を感じる。目を確認できないはずなのに睨まれていると確信できる。云われなき憎しみを感じる。
「こ、この周りのは・・・あれが・・・?」
「・・・。」
周囲には死体が散乱していた。少なくとも目視できる範囲には生存者はいない。この場に置いて、生物は私と中将の二人のみ・・・。
この人型の正体、作り話だと思っていたんだがな・・・。
「お前は、我がサントの同盟国だった『カレツ』でかつて生み出されたといわれている生物兵器『ワル・・・』」
ヒュッ・・・!ズバッ!・・・ポトリ。
「へ・・・?」
『コォォォォォ・・・、ホォォォォォ・・・。』
気付くと、大将の首が飛んでいた。黒い人型の右手には黒い刃物が握られていた。人型からは怒りを感じた、より明確に。
『コォォォォォ・・・。ホォォォォォ・・・。』
ズバッ!・・・ドサリ。
中将も首が飛んだ。
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許さない、私をその名前で呼ぶ奴は生かすわけにはいかない・・・。
「もういいや、どうせなら銃弾とか火薬とかごっそりいただこうとか考えてたけど・・・。」
空へ飛ぶ。大体1kmぐらいまで上昇する。
「みーんな消えちゃえ・・・。」
《レギンレイヴ》・〈ソグン〉、装填。発射準備・・・完了。
発射まで5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・
「0。」
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黒いソレが落ちてゆく・・・。大地に着弾する直前、黒いソレは白く輝き、絶望的なまでの熱と風、そして光に変換され、砂塵を巻き上げる。煙は笠を作り、私の足元で大きくなる。
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「・・・。」
心は動かない。もう何度も見てきたものだ。
「次は、どこにしようかな・・・。」
足元の地獄には興味を失い、次の行動を考え始める。
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2199年12月31日時刻1400 複数の爆発の後、サント、ハイツ両軍生存者0名・・・。
後に戦後の調査に両国が赴いた際にはGMカウンターは異常な数値を叩き出し、防護服なしでは生存できない環境に変異していた。
異常な環境と死体が散乱する地獄、そして何より余りにも無感情に殺戮された兵士たち。
これが『カンターヴィレの大虐殺』と呼ばれる大事件であった。
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ようやく主人公について切り込むことができそうです。
少しだけ、過去話をしようと思います。




