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第4話 懇願

それを聞いた学園長は笑った。


「なんで笑うんですか!」


当然のようにナツキは怒る。


「だって、人間だれしも魔力を持って生まれてくるんですよ? 魔力はあって当たり前じゃないですか」


(そっか、この世界の人間は魔力が当然のように……)


「学院長、地球という星は知っていますか?」


突然のナツキからの質問に学園長はすぐに答える。


「知らないね」


すぐに回答が来たが、その学園長の目には何か冷たさを感じた。


「やっぱり……学園長、俺は異世界から来たみたいです……」


ナツキの内容に愛理は驚く。


「え!? 貴方異世界人なの?」


愛理はナツキの言葉に衝撃を受けた。


「そうだよ……俺は地球と言う星の日本に住んでたんだ」


ナツキはそういうと、近くにあった椅子に腰を掛けた。


「それで学園長。 俺に魔力があるかもしれないんでしょ? どう測るの?」


ナツキは投げやりに聞いてみた。 一連のやり取りを見ていた愛理は、態度にいらいらしていた。


「貴方!! その態度はなんなの!? この世界で生きて行くしかないんだから、もっと自分に真剣になりなさい!!」


愛理は近寄り激怒し、それを受けたナツキはどこか泣きそうになっていた。


「解ってるよ……でもさ……いきなり異世界で一人ぼっちだぜ? 辛いんだよ……」


ナツキは思っていることを吐き出した。突然目の前に魔方陣が現れ吸い込まれたことや、今ままでの生活から離れ、異世界で生活することになる恐怖。


何故自分なのかと理不尽に思う運命に、この短い間に起こった未知なる体験。 ナツキは恐怖に怯え始め、このナツキの発言を聞いた愛理は胸の内でナツキを守らなければと思い始めた。


「貴方……いえ、ナツキ。 私はナツキの味方よ! これから一緒に生きて行きましょう!!」


愛理はナツキの支えになりたいと思い、貴方と呼ぶのをやめ、ナツキと呼ぶことに決めた。ナツキはその愛理の言葉が、とてつもなく嬉しかった。 この異世界の地で一人ぼっちで生きて行くのだと考えていたナツキは、自分の味方だという愛理に感謝の念しかなかった。


「うぅ……ありがとう……愛理……」


ナツキはただただ泣いていた。 それも号泣と言えるほどに。


「もう、しゃきっとしなさい! 貴方とはこれからずっと一緒なんだから!!」


(ずっと……?)


「ずっとって何?」


愛理はナツキがこの世界のことを知らないことを思い出し、一から教えることにした。 それを聞いたナツキは、この世界が自分のいた世界と根本から違うと思い知らされる。


「魔法に魔力に魔物……使い魔……」


ナツキは率直に怖いと感じた。


(俺がこの世界で生きて行くにはこの生活に慣れること……それに俺にあるとされる力を活かすことか……)


「学園長! 俺に魔力をください!!」


ナツキは生きるために、この運命に抗う力を付ける為に、学園長に懇願する。

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