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夢界で



「こんばんは〜夢の中におっじゃまっしまぁす!」


「オムニスリィーノル様…」


「なになに?だって第一印象は大切っていうじゃないかぁだからね、明るくお邪魔してみたんだけど、どぉかな?いい感じかなっ?ルーラシウスティイ(ルーラ君)も一緒にどぉ?」


「いえ…勝手に夢の中に入って来た見知らぬ他人から怪しい他人へとかえって印象が悪くなるかと思いますが…」


「ええっ?!そんなぁ。そんなことないよね?!」


「オムニスリィーノル様、どうやら彼は夢をみていないようです。そもそも我々が夢の中に入って来た事自体、認識していないようです。」


「あっれぇ?ほんとだ、よく眠ってるねぇ。疲れてたのかな?起こすの可哀想だねぇ」


「まぁ起こすと言っても夢の世界、夢界ですが…確かにぐっすりと眠っていますねぇ。普通は夢の中に誰かが入って来たら直ぐに気付くはずですが…しかもあんなに騒がしかったのに目覚めないとは…オムニスリィーノル様、彼は大丈夫なのでしょうか?」


「うーん、うん!大丈夫みたい!体のギアが眠るぞ〜ってスイッチに全開になってるだけみたいだね」


「そんな事が簡単に出来るのでしょうか?」


「う〜ん、どうだろうねぇ?流石の僕も人間になったことが無いから簡単に出来るのかどうかは分からないんだけど、こんな状態で眠る子は初めて見たかなぁ普通は眠っていてもここまで深くは眠らないし、そもそも僕達の世界でこんな風にぐっすり眠っていたら魔物族や盗賊にやられちゃうからねぇ」


「確かにあちらの世界ではこの様に安心し切った状態で眠るのは私達が思っている以上に難しそうですね。」


「うん、そうだね、」




「中々目覚めませんね、彼。夢界にすら上がって来ないとは…どれ程深く眠っているのでしょうか?」


「う〜ん、彼、暫くは起きる気が無いみたいだねぇもしかしたらあと半日以上は夢界にすら上がって来ないかもしれないねぇ」


「はぁ、あと半日以上ですか…」


「んん?何か問題でもあるのかい?」


「いえ、本題という程でも無いのですが、宮を長く空けているので、他世界へ行く事は伝えてありますが心配や迷惑を掛けていないかと。」


「気にし過ぎだよ〜この真面目神経質めぇ私の宮なんて久しぶり帰ったって時でさえいつも通り、それか「もう少しお出掛けなさってても〜」って感じだよぉ?まぁ長年の経験ってやつなのかねぇ?」


「いえ、私はオムニスリィーノル様のようにしょっちゅうフラフラしているわけでは有りませんので。むしろ殆ど宮や神界から出ないですからねぇ」


「フラフラって何よ〜せめてフワフワにしてよ〜」


「はぁ、フワフワですね。」


「それにしても全然起きないねぇ〜僕達が話してても起きないなんてねぇ」


「彼を起こしてみましょうか?」


「そうだねぇせめて夢界には上がって来てもらおうか」


「はい。」





「ーーい、ーーーーーきてー、ーーーーーよ」


ん?


「ーーくーーーい、おはーーーーーーす」


んー


「おきーーーばー、いつーーーてるのー」


んんん?


「ーーてーだーー、すみーーーー」


うるさいなぁ、なんだ?


「おっーー少しーー!ーーーーーい」


ん?誰だ?俺、家で寝たよな?

(ガバッ!!)


「うわぁあ、びっくりしたぁ急に起き上がって大丈夫かい?」


えっ、誰?

しかも何処?

あれ?酔ってるのか、俺?


「無理に起こしてしまい申し訳ありませんでした。初めて、私、ルーラシウスティイと申します。そしてー」


「僕がオムニスリィーノルだ。よろしくねっ!」


…結局誰なんだ

僕がオム…オム…ノル?って言ってたけど誰か知らないんだが…記憶が飛んでるのか?

でも不思議と目の前の2人からは嫌な感じはしない。

しかしここは何処なんだ?うちではないな。こんな広くない。それに寝室はこんなに白くない。

うーん、誘拐?いやぁ考えにくいよなぁ。どうすればいいんだ。


「驚かせちゃったかな?あのね、僕は君を僕達の世界に誘いに来たんだっ!」


僕達の世界…?え…?あっ、これが天からの御迎えってやつですか?まさかあの唐揚げ達が本当の最後の晩飯になるなんてな…お気に入りのピリ辛唐揚げ、沢山食べといてよかった。うむ。我が人生に一片の悔いなし!!


「では宜しくお願い致します。あ、私、真田(さなだ) 文徳(ひさのり)と申します。わざわざ遠いところ?から御足労頂き、誠にありがとうございます。特に思い残すことも無く、成仏出来そうにございます。短い間かもしれませんが、どうぞ宜しくお願い致します。」


「おぉっ!君、いや、ヒサノリ、理解が早いねっ!なんて言おうか色々考えていたんだけどなぁ。まぁ助かるよ!じゃあ誘っそく行こうかっ!」


「はい、えぇと、私はどうすれば宜しいのでしょうか?飛んだり浮かんだりは出来そうにないのですが…」


「飛んだり浮かんだり出来なくて当然だから気にしちゃだめだよ?それに直ぐに飛んだり浮かんだり出来ちゃったらこっちがびっくりだよぉ!それにそれに!まだここは君の夢界だし、世界の狭間を通って向こうに行くまでは君は魔法なんかは使えないからね、まだ地球なんだし!」


「はぁ、そうなんですね…?地球?ここがですか?」


「そうさっ!まだ君の夢界の中だ。」


「…ムカイ?迎え…?あぁ、御迎えか、天からの。ついに耳までおかしくなったのか。いや、死んでいるんだ。聞き間違えくらい有るだろう。ふぅ、すっきりした。」


グゴンッ!!!!

「いいいぃぃぃっったああぁぁ!!」


「えっ?!オ…オム…オム…様!だ、大丈夫ですかっ?!な、何が?!」


「ヒサノリ様、アレはお気になさらずに。アレが言葉足らずの説明不足なおかげでヒサノリ様に誤解を与えてしまったようですので、私の方からお詫び申し上げます。すみませんでした。」


「い、いえいえ、あの、頭を上げてください!私もしっかりお話も聞かず勝手に思い違いをしている?ようなのでどうぞお気になさらず!!」


「広いお心と暖かいお言葉、深く感謝申し上げます。」


「いえいえ本当にお気になさらず。私も気にしておりませんので。」


俺でも分かる程の神聖な空気を纏ってうっすらと光ってる方に頭を下げられるなんて…庶民の俺にはむしろ拷問?はっ!! これは今までの悪事や心の忌まわしきものを自覚させ追い出す為のーー!だとしたら俺はルー、ルー、…ルー様のお気遣いを無碍にしてしまったということなのかっ?!悔い改め穢れを追い出す機会を下さったのに…あああ俺はなんということを…


「あ、あの、ヒサノリ様、だ、大丈夫でしょうか?頭が痛むのでしょうか?」


あぁ、なんと慈悲深いお方だろうか…このような方が世界にそう何人もいるだろうか?(いや、いない。)この素晴らしい出逢いに感謝をっ!!


「大丈夫でございます、私めにお心遣い頂き誠に感謝しております。恐悦至極にございまするぅっ!」


「え、えぇ、それは良かったです。それでですね、ヒサノリ様。「様は不要にございますれば、このヒサノリ、」わっ分かりました!様は辞めますので落ち着いて下さいっ!」


「おぉ、これはまた申し訳ありませぬ、ルー様。」


「ヒサノリ殿、「殿も不要でございまするぅ!私めの事はルー様の思うがままに」わ、分かりましたから落ち着いて下さいっ!殿はつけさせていただきます!」


「承知致した。」


「ヒサノリ殿、ヒサノリ殿のお体に術を掛けても宜しいでしょうか?」


「勿論ですともっ!どうぞ、ご自由にお使い下さいませっ」


「は、はぁ、ではーーウェリタスウェルバサーノーーーーヒサノリ殿、落ち着きましたでしょうか?」


「はい、ルー様世界の深淵を見て参りました。」


「え、えぇっと、今しがた使った術は気持ちを落ち着かせる効果があります。暫く横になっておやすみください。」


「分かりました。では、失礼致します。 …Zzz 」






「オ、オムニスリィーノル様…彼は本当に大丈夫なのでしょうか?」


「大丈夫に決まってるよぉ!」


「ちゃ、ちゃんとした根拠はおありでしょうか?」


「うーん、これといった証拠は無いんだけどね、彼は真っ直ぐで、純粋で染まりやすい。特に自分で信じた事、事象、人からは特に影響を受けるみたいだねぇ」


「確かにその様でしたが…」


「うん。だからね、さっきのルーラシウスティイ(ルーラ君)の術はしっかり効いているはずだよ。神の使う力はこの世界、地球、僕達の世界含め全ての力の中で一番不安定だ。だからね、信じ捧げる者には特によく効く力なんだよ?彼はルーラシウスティイ(ルーラ君)の事を心の底から信じていた、だからね、起きた時には普段の彼に戻っている筈だよ?あぁ、勿論君を慕い、信じる気持ちなんかはそのままだよ?行き過ぎた興奮や混乱が治まっただけだからね。」


「あ、あの術にそこまでの効果が…?!」


「まぁ彼だからってのもあるだろうけどね。うーん、むしろ彼だからってのが一番大きいのかもね。」


「は、はぁ」


「まぁルーラシウスティイ(ルーラ君)も少し疲れただろうし、少しは休みなって〜」


「…だれのせいだと…はぁぁ」


「そぅそぅ、そうやって肩の力抜いて、ねっ?一気に楽になったでしょ?」


「はい、まぁ、軽くなりましたね。」


「うんうん。ルーラシウスティイ(ルーラ君)の癒しの術のお陰で彼はもう暫くしたら起きるだろう。そうしたら、向こうの世界へ行く事と辞書スキルについて、そして帰りたくなれば帰れること、君から伝えてくれるかな?」


「…はぁ、分かりました。」


「うんうん、ありがとう。僕は本当に君に助けられてばかりだよ。優秀な補佐が居てくれて僕は幸せ者だね」


「…そうですね。私もあなたの補佐で良かったです。」








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