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青い猫が消えた

作者: 実原つづり

 それは水のイメージだった。真夏の冷たい水の中を、僕はどこまでも泳いでいく。すると、さまざまなものが流されていく。すべてが流されると、僕は透明になって陸に上がる。白い砂の柔らかな感触が足の裏にある。真上にあった太陽が、いつの間にか西に傾く。辺りは夕日に染まり、涼しい風が吹いた。

 そんなとき、決まって思い出すのは彼女のことだった。残念ながら顔は思い出せない。全ては流されてしまったのだから。浜辺を走るイメージ。海鳥の鳴き声。聞きなれたメロディーに僕はゆっくりと目を閉じる。



 いつもなら帰っている時間に、姉は帰って来ない。夜の十一時を回ろうとしていた。両親は心配している。姉の携帯に連絡してみるけれど、全くつながらない。両親には少し悪い気がするが、僕はあまり心配していない。大学生だったらこんなこともあるだろうし、実は姉から少し話を聞いていたからだ。

「私、好きな人ができたかも」

 風呂上がりでパジャマを着た彼女は、少しだけ頬を赤らめて言った。姉がそのようなことを言うのは初めてだった。我が姉ながら美しく男子からの人気も高かったが、今まで男の影を感じたことなどなかったし、実際そうであるようだった。

「どんな人?」

「うーん。たぶん私の片思い」

 僕は明日の塾の予習をやっていた。姉は僕のベッドに腰掛けた。妬けると聞かれて、別にと答えた。そうと姉は澄まして言った。

 だから僕はあまり心配していない。姉の言う好きな人と一緒にいるのではないだろうか。そう思うと少しだけ胃の辺りに違和感を覚えた。姉のいやに紅い唇を思い出す。

 それからしばらくして姉が帰宅した。春の空気を伴って、足取りはおぼつかない。大分酔っているようだった。両親はすごく怒っていたが、姉は適当に返事をしていた。

「失恋?」

「別にぃ」

 姉はベッドに外着のまま寝転んでいた。僕は彼女の部屋に入って、椅子に座る。姉の机の上には黒のノートパソコンに、ミクロ経済学の教科書、ノートが何冊か、そして昔から使っているオレンジの皮の筆箱がある。

「お酒なんて飲むんだ」

「一応二十歳だし」

「僕はあんまり好きじゃない」

「そりゃまだ高校生じゃん」

「そういう意味じゃなくてさ」

 僕はオレンジの筆箱についている赤いお守りを触る。筆箱もそうだがそれ以上にお守りは汚れていて、糸がほつれている部分が何箇所かある。僕は、たぶん姉以上に、このお守りを気に入っている。このお守りが姉を守ってくれているような気がするのだ。しばらく黙っていると姉は寝てしまった。その寝顔はやはり綺麗だった。僕は昔から姉に似ていると言われるが、僕はそう思ったことはなかった。僕が土から生まれたとしたら、姉は水から生まれた。本当は二人とも母から生まれたのだけれど、もしそうだったとしても僕は驚かないだろう。

 気が付くと僕も寝てしまっていた。僕は死者に寄り添っていた。それは土として当然のことで、彼女が腐敗して僕に帰るまで、僕はそっと彼女の側にいる。そんな夢を見たような気がする。

「真人、聞こえるか?」

 僕はズボンのポケットに入れていた電話の着信音で目を覚ました。姉はベッドですやすやと眠っている。

「ああ、聞こえる。どうした?」

「連絡来てないか?」

「ん、何のことだろ」

「死んじゃったって」

 少し話をして、僕は電話を切った。確かにメールが来ている。微かな寒気を感じる。僕は体から力が抜けるのを感じた。とにかくもう寝た方がよいのかもしれない。

 そして朝になった。僕は椅子に座ったまま寝てしまったようで、体中が痛い。姉に起こされた。姉は二日酔いでつらそうだったが、それ以上に昨夜のことをきまり悪そうにしている。

「なんか言ってた?」

「何も言ってなかったけど」

「もしかして吐いたらやばいと思っていてくれたの?」

「まあそれも少しはある」

「ごめんね。迷惑かけちゃったね」

 別にいいよと僕は言った。姉はそれでも申し訳なさそうにしている。

「それよりも母さんと父さんに謝った方がいい」

「……だね」

 姉は部屋を出ていった。僕もゆっくりと立ち上がる。部屋は酒と汗の臭いがした。僕は昨日聞いたことを思い出す。感覚が甦る。体が震えている。これは、恐怖だ。



 僕は歩いていた。例え明日戦争がはじまったとしても、僕は歩みを止めないだろう。



 僕の心の底にしまわれた記憶は、僕にとっては非常に重要な意味を持つ。それが他のすべての人にとって無意味なものだったとしても、だ。

 僕は彼女の顔を思い出そうとした。けれどどうしてもできない。彼女の記憶は僕にとって重要であるはずである。先輩は彼女の顔を忘れてしまったという事実こそが僕を形作っていると言った。本当にそうだろうか。未だによくわからない。

「僕も昔付き合っていた人がいてね」

「意外ですね」

「そうかな。中学三年生の頃だった。結局すぐに別れてしまったんだけど」

「理由はあるんですか?」

「思うに、僕が思う理由と彼女が思う理由は全く違うものなんじゃないかな」

 僕は先輩を見た。何かが違ってしまったとしたら、ちょうど今であったような気がした。

「君は後悔しているの?」

 先輩は僕に問いかける。それは、何に対する後悔であるか、僕は先輩に聞こうとしてやめた。

「わかりません。ただ、覚えていたかった、とは思います」

 不意に僕の頭に全く無関係なイメージが浮かぶ。姉のことだ。

 今の姉になる前の姉は、月と会話することができた。少なくとも彼女はそう言っていた。月は彼女にいろいろなことを教えていた。

「まさ君は好きな人っている?」

「いないよ」

 と僕は言う。僕はそのとき友人から借りた漫画を読んでいた。

「じゃあさ、私と、キスしてみない」

 僕は驚いて姉を見る。彼女は笑っていた。

「冗談だよ」

 すべては月が教えたことだ。月は姉に、恋と性につい語っていた。

 僕が高校生になったのを境に、姉は月の話をしなくなり、他のいろいろな出来事もあって彼女は今の姉になる。

「それはきっと、後悔だね」

 先輩は言った。



「君がその女性について覚えていることは?」

「浜辺を二人で歩きました。海鳥の声がしました。何か音楽が聞こえたような気がします」

「君は何歳くらい?」

「わかりません」

「女性は?」

「小学校高学年くらいのような気もするし、二十歳をとうに過ぎていたような気もします」

 なるほど、と言って先輩は沈黙する。僕は続きを待つが、彼は一向にしゃべろうとしない。仕方なく僕は机に置かれたブックカバーのかかった本の題名を想像した。おそらく小説だろう。先輩はマイナーな小説を好んで読んでいるのだ。

「その女性のことを、君はどう思っていた?」

 先輩の質問が唐突に再開する。

「わかりません」

「恋愛感情があったんじゃないのかい?」

「あったような、なかったような」

 先ほどから僕の答えはまるで要領を得ない。先輩に申し訳ない気持ちもあるが、仕方がないと開き直りたい気もする。ほとんど何も覚えていないのだから。

「記憶がなくなってしまったきっかけ、みたいなものはあるかな?」

「きっかけ、ですか」

 少しだけ質問の種類が変わった。ほとんど何も覚えていない僕にこれ以上彼女について聞いても無駄だと思ったのだろう。

「記憶が突然失われるのはまれだと思うのですが」

 僕は思ったことを口にする。つまり、きっかけに心当たりはまるでない。

「うむ。そうかもしれないね。けれど、君の記憶は突然失われたかもしれない。どこから話そうか……」

 先輩は腕を組み、やや視線を上げて何か考え始めた。気付くと窓から夕日が射しこんでいる。自分で発した言葉ではあったが、記憶が突然失われる、という言葉に僕は妙なひっかかりを覚えた。僕は違和感を抱えたまま、先輩の言葉を待つ。どれくらいの時間が経っただろうか、先輩は結論が出たようで、再び僕に視線を合わせた。

「信じてもらえるかわからないけど、青い猫のことから話そうか」



 期末試験が終わり、今から長い夏休みが始まる。

 僕は解放感からハイになっているクラスメイトと教室で少し話すと、久しぶりに軽音楽部の部室に向かった。ドアを開けると冷房の涼しい空気が流れてくる。ドラムにアンプにマイクにキーボード、そしてたくさんのケーブルたちが狭い部屋に密集している。

「真人じゃん、珍しいな」

 部室には一人先客がいた。涼介はパイプ椅子に腰かけサンドウィッチを食べている。

「なんとなくね」

 僕も近くにあったパイプ椅子に腰かけた。

「マサト先生はまた一位ですかね」

「たぶんね」

「そこもうちょっと謙虚に行こうぜ」

「それよりも新曲できた?」

「歌詞がどうもうまくいかねえ」

 涼介はバンドのボーカルをしていて、自分で作詞作曲もしている。将来は歌手になりたいらしいけど、当然のごとく親からは反対されている。だから一応大学には入るが、学生の内にプロになるのが目標らしい。僕は、その気概というか情熱というかが素直に羨ましくもある。

「てかさ、もう一回キーボードやってくれよ」

 そう言うと涼介はサンドウィッチの最後の一かけらを口に放り込んだ。

 僕は一年生の頃、彼のバンドでキーボードを弾いたことがある。キーボードのメンバーが骨折してしまって、その代役で一回だけ。

「残念だけど、別の人を誘ってくれ」

「残念だなぁ」

 涼介は立ち上がると、キーボードの電源を入れた。彼は思い浮かんだ曲を次から次へと弾いて行く。クラシックからアニメソングまで、どれも微妙にアレンジされているし、知らない曲も多い。曲と曲の間で、それらが混ざって不思議な音が響く。最後に彼は今作っている曲を弾いた。

「なかなか悪くないね」

「それ褒めてるのか?」

「どうだろう」

 これが最後の夏なのだろう。この夏の終わりとともに、僕たちは自分自身と嫌でも向き合わなければならなくなるのだ。涼介が奏でるメロディーが僕の頭の中で木霊する。それらは複雑に絡み合い、そしてその複雑さを誇っていた。



 自分から目を奪ったのは青い猫だと先輩は言った。僕には目が何なのかも、青い猫が何なのかもわからない。けれど、先輩が真剣であることだけはわかった。黒崎さんの死は青い猫とは無関係だと先輩は言った。彼らしくない強い口調だった。

 先輩は少しずつ壊れていっている。それは今年の春から、あるいはもっと前から。僕が気付いたときにはすでに手遅れだったし、もっと早く気付いたとしても事態は変わらなかっただろう。



 夏休み、僕は基本的に家で過ごす。これは小学生のときから変わっていない。ときどき部活動や塾に行ったり、友達と出かけたりする。けれど、やはり基本は家にいる。

 姉も長期休暇にあまり出かけるタイプではない。姉も部屋に引きこもって読書をしたり、勉強したりしている。ときどき一緒にゲームをしたり、借りてきた映画を観たりする。

 けれど今日は偶然にも僕も姉も出かける用事があった。とても暑く晴れた日だった。朝のニュースでは熱中症対策とセミの大量発生が取り上げられていた。今年は例年に増してセミが多いらしい。言われてみれば外から聞こえる合唱の音量がいくらか大きい気がするが、あまり実感できる程ではない。もしかしたらこのあたりは特別に例年通りなのかもしれない。

「私セミ嫌い。この前エレベーターにいたんだけど気付かずに乗っちゃって、すごく怖かった」

「ああ、それ僕も見たかも」

 今日の姉はだいぶお洒落していて、普段よりずっと大人びて見える。

「デート?」

「サークルの友達と買い物行くだけ。まさ君は?」

「何だろう、合コン的な」

「ほー」

 僕と姉は一緒に家を出て駅まで歩く。電車は反対だったので、改札で別れる。



 いい感じのレストランで昼食をとった後、僕たち六人はとりあえずカラオケボックスに入った。レストランを選んだのも、現在この場を仕切っているのも、もちろん涼介だ。彼は気のきいた発言で女の子たちを笑わせ、しばしば滑る渡辺をいじり、何かに付けて押し黙る僕にときどき話しかけた。僕は涼介に気を使わせてしまっていることを少しだけ申し訳なく思う。涼介に連れられてしばしば女の子と遊ぶ機会があるのだが、どうもうまく馴染めないのだ。その場にそぐわない存在、というような感覚がある。

「じゃあここは俺から歌おう」

「えー渡辺君歌えるんだー」

「失礼な」

 皆の他愛のない会話を聞きながら僕はオレンジジュースを飲む。ストローをかじる癖を注意する姉を思い出し、少しだけ気を引き締める。渡辺が歌っている。はっきり言ってかなり下手だ。僕はオレンジジュースを飲む。

「君って、いつもそんな感じ?」

 僕が隣に目をやると、麻衣子がにやっと笑った。渡辺の歌声がうるさいので、必然的に僕と麻衣子の顔は近い。僕は少し身を引いた。

彼女は今日初めて会ったのだが、なにかと僕に絡んできた。苗字で呼ぶと不機嫌になる。だから麻衣子。

明るい茶髪に、一見すると学校の制服のような私服。きっと普段は僕のような人間と接することが無いのだろう。僕は僕でこういう子にどうやって接すればいいのかいまいちわからない。だからどうしても適当な態度になる。

「クールだって涼介に言われるよ」

 何がおかしいのか、彼女はけらけらと笑う。

「クールぶってる男子って結構多いよね。はじめは君もそういう人なのかなぁって思ったけど、違う気がするの」

「買いかぶり過ぎだよ。君が僕を褒めているのならね」

「褒めてる、のかな。たぶん」

 麻衣子が歌う番が来て、僕と彼女の会話は終了した。麻衣子が歌った曲はロックのようなアイドルソングのような不思議な歌で、僕が聴いたことのない歌だった。



 母にメールをすると姉も遅くなるという返信が来た。

 結局皆で夕食を食べることになった。やはり涼介が決めた店に入る。

「一之瀬君もバンドやってたの?」

「そうそう。一回だけね。こいつ俺よりキーボード上手いんだぜ」

「そんなことないよ」

「またやればいいのに」

 麻衣子が僕に言った。彼女の大きな瞳で見つめられると、どうしてか居心地が悪くなる。

「俺も頼んでるんだけど、こいつオーケーしてくれないの」

「どうして?」

「うーん。どうしてかな」

 僕は適当に誤魔化す。渡辺が

「一之瀬は勉強が忙しいもんな!」

 と言って僕の肩をたたく。

「こいつ学年一位」

 涼介の言葉に女子たちが驚きの声を上げる。

「じゃあ今度勉強教えてもらおうかな」

 などと麻衣子も言う。彼女の目は独特だった。いつも笑っているような、それでいてどこか人を見透かしているような不思議な感じだ。僕は耐えきれずに目を逸らした。

 そのときだ。僕たちの隣の席に今来た客が座る。僕はちらっとそちらを見て、そこに先輩がいるのを認識する。

「先輩」

 僕は驚いて声を出した。

「やあ、奇遇だね」


 先輩は友人にドタキャンされて仕方なく一人で夕食を食べることにしたらしい。僕の部活の先輩だとわかると麻衣子が一緒にどうですかと先輩を誘い、先輩も僕たちと食べることになった。

 先輩はルックスも良く聞き上手なので、女の子たちにすぐに受け入れられた。

「哲学研究会って何をやっているんですか?」

「哲学者の書いた本を読んで議論したり、哲学的問題について話しあったり、かな。といっても今の部員は僕と一之瀬君だけなんだけどね」

「やっぱりカントとか読むんですか?」

「そうだね。ちょうど昨年の夏ごろは純粋理性批判読んでたっけ?」

「そうですね。翻訳だけど」

「やっぱ改めてすげーよ」

「別にすごくないよ」

「あの頃は人も多くて、賑やかだったんだけどね」

 先輩はしんみりとコーヒーを飲んだ。昨年は六人だったが、今は僕と先輩の二人だけになってしまった。先輩と僕が押し黙ってしまい、渡辺が事情を察して真面目な顔をした。冷えた空気が流れる。麻衣子が口を開きかけたとき、涼介が話題を変えた。

 僕たちが店を出たのは午後九時過ぎだったが、先輩はそれより前に帰っていった。夏ではあるが外はさすがに暗くなっている。駅までの道を僕たちはだらだらと歩いていた。隣には麻衣子がいる。なんとなく感じていた苦手意識も息苦しさも、今では薄まっていた。女の子とこうやって話すのは何だか久しぶりなような気がした。

「ねえ」

「何?」

 僕たちの少し後ろを、四人が付いてきている。渡辺が馬鹿なことを言い、涼介がつっこむ。女の子たちは笑っている。

「また会おうよ」

「そうだね」

「そうじゃなくて、今度は二人で」

 道は暗く、麻衣子の顔は良く見えない。彼女からも僕の顔を良く見ることはできないだろう。後方の賑やかさとは対照的に、僕と彼女の周りは静かだった。

「うん」

 僕は言った。



 青い猫のことについて話そう。

 先輩から目を奪った青い猫は、薄暗い人込みの中に消えたという。先輩はしばらく立ち尽くし、目が奪われたことに気が付くと、慌てて猫を追った。人々は先輩が猫に到達するのを阻み続け、とうとう猫は完全に彼の元から姿を消したのだ。

 僕が目とは何なのかと問うと、先輩は不思議そうに僕を見た。何とも言えない沈黙が続いて、僕は不安な気持ちになった。聞いてはいけないことだったのだろうか。僕が話題を変えようと口を開きかけたとき、それを遮るように先輩は

「わからない」

 とつぶやいた。

「確かに君の言う通りだ。目とは何だ? 僕は一体何の話をしている?」

 僕は戸惑ったが、それは先輩も同じであり、心なしか彼の瞳は潤んでいるように見える。聡明で、何事にも冷静な先輩の姿はそこにはなかった。少年とも青年とも言い難い、中途半端な十八歳の男がそこにいた。

 僕は何と言ってよいのかわからなかった。本当にどうしてしまったのだろうか。

「青い猫だ」

 先輩は言った。

「君も気を付けた方がいい。君から記憶を奪ったのも、奴かもしれないからだ」



 クールだとか冷たいとか気取っているとか、言葉は異なるがそのようなことを言われ続けて、僕もだんだんそうなのではないかと思うようになったけれど、やはり僕はそういう人間ではないのだ。むしろ真逆であるといってもいい。

 夏の強い日差しを照りかえすアスファルトの上を歩きながら僕は先輩のことについて考えていた。空は青く、雲はどこまでも高い。

 黒崎さんの葬式で僕は先輩を見かけたが、話はしなかった。先輩はまるで見えない何かを睨むような険しい表情をしていた。初めてみる顔に僕は驚き、戸惑った。クラスメイトや中学時代の知り合いらしき人も多くいた。研究会での黒崎さんの印象が強かったので、何だか不思議な気持ちがした。

 先輩は何を考えていたのだろうか。あの葬式の会場で、彼には何が見えていたのだろう。

 黒崎さんの死と先輩がおかしくなったことは、直接的な関係はないように思う。というのも、彼は今思うと、もっとずっと前からおかしくなり始めていたからだ。けれど一方で、彼女の死がその狂気を加速させたことは事実だった。

 黒崎さんは普段はおとなしい女子だったが、かわいらしい見た目をしていたからかクラスの華やかな女子グループに属していた。友達たちの話を聞いて控えめに笑っている彼女を思い出す。研究会では彼女はあまり笑わなかったし、おとなしい感じでもなかった。あまり口数の多い方ではなかったが、言葉の一つ一つが鋭く、彼女の発言には常に緊張感が伴っていた。

 その容姿と清らかな雰囲気から彼女は男子生徒からの人気も高く、誰誰が告白したらしいという話もときどき聞こえてきたけれど、彼女が誰かと交際しているという話を聞いたことはなかった。そして僕はなんとなくではあるがその理由を察していた。

 彼女は先輩に惹かれていたように思うのだ。

 別に彼女に直接聞いたわけではないし、そもそも僕はこういう話題に鈍感であると感じている。けれども時折見せる彼女のその眼差しは、やはり恋する少女のそれだと僕ですら断じられるものであったように思う。

 もしかしたら黒崎さんは先輩に告白したのかもしれない。僕が知らないだけで二人は付き合っていたのかもしれない。

 気付くと小さな公園の前に来ていた。そこでは小学校低学年くらいの子供たちが、この暑さにも関わらず元気に走り回っていた。一人が手に持っていた赤いボールのようなものを投げて、もう一人が大きな声を出して大げさに避けた。その赤い物体は地面に接触すると軽く音を立てて破裂し、水しぶきが上がった。僕は懐かしい思いでその様子を眺めていたが、もしかしたらこの子たちの中にも何年後かに死んでしまう子がいるかもしれないと考え、ぞっとする。

 僕は再び歩き出した。誰かと約束しているわけでも、目的地があるわけでもなく、最も暑い時間を漫然と歩いている。誰かに会いたいような、歩いていれば会えるのではないかという期待がある一方、一人で何も考えずに歩きたいという気持ちもあり、自分でもよくわからなくなっていた。なんとなく麻衣子に会いたいような気がした。あれから連絡はしばしば取り合っているが、まだ二人で会おうという約束は果たされていない。無論、彼女はもう忘れているかもしれないが。

 誰かと話せたら少しは僕の気持ちは晴れるのだろうか。あるいは、一人で考え続けたら何かが変わるかもしれない。僕は透明になりたかった。あのイメージのように、冷えた水に全てを流して、陸にゆっくりと上がり、そしてもう一度彼女に会う。そうすれば、今見える景色も少しは変わってくるだろう。アスファルトの道はその高熱で空間を歪ませ、蝉が騒がしく鳴いている。僕以外に誰もいない通りを、僕はゆっくりと歩く。



 そこで違和感を覚える。僕は大きな通りに出ていた。それなのに、あたりには僕しかいない。見渡す限り僕しかいない。誰もいない、車も走っていない、近くにあったコンビニを覗いてみると、客はおろか店員もいない。

 文字通り、僕しかいない。頬を汗がつたう。

 気が付くと目の前には猫がいた。灼熱のアスファルトの上に、何事もないかのように座っている。

 全身が青い毛でおおわれている。

 これが青い猫かと僕は一人納得した。



 青い猫はしばらくじっとしていたが、すっと起き上がるとゆっくりと歩き出した。僕は少し迷ったがその後を追うことにする。沈黙した世界を猫と僕だけが横切っていく。さっきまでの暑さは気が付くと引いていた。何もかもが剥がれおちてしまったような街並みに、僕は不思議と心地よい気持ちがした。

 猫が公園に入る。さっき子供たちが遊んでいた、あの公園だ。もちろん今は誰もいないが、蛇口の水が出しっぱなしになっていた。静止した世界と流れ落ちる水のコントラストが綺麗だったけれど、僕は蛇口を閉めた。水は大切に使わなくてはならないということをなぜか強く思ったのだ。

 青い猫はベンチに座っていた。乗っかっていたと言うべきかもしれない。ベンチはちょうど日陰になっていた。僕は猫の隣に腰を下ろした。

「君が青い猫なんだね?」

 もちろん猫は何も言わない。僕は構わずに続ける。

「先輩の目を持っていったのは君なんだろう。できれば返してあげて欲しいな」

 僕が猫の方を向くと、青い猫も僕を見ていた。なぜ返さなければならないの、と聞かれているような気がして僕は考える。最も、考えても答えが出るはずがない。僕は目が何か知らないのだから。

「他の人のものをとってはいけないという決まりがあるんだ。例えば君が頑張って捕まえた魚を他の猫が横取りしたら嫌だろう? もしかしたら喧嘩になって、二匹とも怪我をしてしまうかも知らない。これはお互いにとって良くない。だからルールを決めて、それに従う」

 僕は一般論を答えた。目が何なのかわからないのだから仕方がない。青い猫はまるで首をかしげるようなポーズをした。もしかしたら目は先輩が持っていていいものではなく、青い猫が助けてくれたのかもしれない。その可能性を僕は否定できない。

「まあいいや」

 僕は言った。すると猫が

「にゃー」

 とのんきな声を出した。それが無性におかしくて僕は笑ってしまう。見ると猫は眠たそうに体を丸めていた。僕は猫に触れ、ゆっくりと撫でた。青い綺麗な毛は驚くほど柔らかで、温かかった。

 しばらくベンチでぼーっとしていたが、世界が元に戻る気配は一向にない。もしずっとこのままの状態だったらなどと考えてみるが、なんとなくそれはないような気がした。しかるべき時に世界は元に戻るという確信が僕にはあった。

 さらに時は流れ、日がだいぶ西に傾き、鮮やかなオレンジが町を染め上げ始めたころ、少しだけ変化が起こった。公園の入り口から誰かが入って来たのだ。セーラー服を着た女の子で、僕と同年代のように見えた。彼女はゆっくりと僕と猫が座るベンチに近付いてくる。徐々に顔の判別ができるようになり、彼女がとても見覚えのあることに気付き僕は息をのんだ。

「まさ君」

 彼女は姉だった。まぎれもなく僕の姉であった。



「何だか久しぶりだね」

「半日ぶり?」

「そうかも」

「少し若くない?」

「高校生だもん」

 姉は言った。

「姉さんも青い猫に力を奪われたの?」

「奪われたっていうか、返したっていうか」

「返した?」

「だって私の力じゃないもの。いつか返さなくちゃいけないとずっと思ってて、猫くんが現れた。そして気付いたら能力が消えていたの」

 姉は太ももの上に青い猫を寝かせると、その背中をゆっくりと撫でている。青い猫は気持ちよさそうに目を細めた。

「この子は悪い猫じゃないわ。たぶんね」

「先輩の目も、返さなくちゃいけないものだったのかな?」

「目が何なのかわからないけど、きっと彼自身はわかっているはずだよ。本当はどうすべきか。私たちは逆らってはいけないのだから」

「姉さんは先輩を知っているの?」

「あれ、言ってなかったっけ? 彼は私の後輩の弟。ときどき相談を聞いてあげたりしたなあ」

 姉も先輩も、僕には何も教えてくれなかった。僕は自分だけ仲間外れにされたようで少しさみしい気持ちがした。

「先輩とは今でも会ってるの?」

「どうだろう。私にとっては未来の私のことだから、断言はできないけど、会ってるんじゃないかな」

「もしかして、先輩が中三のとき付き合ってたのって、姉さん?」

「ふふ。違うよ」

 姉さんの笑顔だった。僕はこの笑顔をずっと望んでいたのだと、今になって気が付く。

「まさ君こそ、彼女はできたの?」

「いや」

「気になる子くらいいるでしょ?」

「それは……わからない」

「それはきっと、そういうことね」

 気が付くと夜になっていた。月のない夜だった。僕はそのことに少しだけ安心した。姉さんも青い猫も消えていた。

僕は夢を見ていたのかもしれない。姉さんの唇も猫の青い毛も先輩の涙も、黒崎さんの死でさえも。



「キスしたこと、ある?」

「ないよ」

「嘘」

「どうして?」

「上手だったから」

「まさか」

「本当だよ」

「……」

「ごめん」

「どうして泣いてるの?」

「はじめて、なんだよ」

「……」

「どうして、君は私を、こんなにやさしい気持ちにしてくれるの?」



 黒崎さんの死について僕が知っていることは少ない。彼女は春の夜に学校の屋上から飛び降りた。明らかな自殺だった。どうして彼女は死んでしまったのか、誰にもわからない。

 もしかしたら、と僕は考える。

 もしかしたら先輩なら、黒崎さんの死の真相を知っているのかもしれない。けれど先輩はそのことについて多くを語らなかった。僕たちは死んではいけないんだ、と先輩はときどきつぶやいた。

 夏の夜だった。夏休みももう終わろうとしている。最近姉さんは企業にインターンに行っている。大学三年生だから、そろそろ就活を考えなければいけないのだ。僕はひたすら数学の問題集を解いていた。数学は良い。何も考えなくて良いから。明快で、単純だ。もっとも、僕は高校の数学しか知らないから、その先のことはわからない。

 僕の部屋に、ボールペンで数式を書く音だけが響く。

 そのときだった。

 僕は唐突に忘れていた彼女のことを思い出した。

 海辺のイメージの中の彼女は、まぎれもない、黒崎さんだった。



 夏の冷たい水の中を、僕はぐんぐん泳いでいた。もうどれくらい呼吸を止めているのだろう。もしかしたら僕はもうおぼれているのかもしれない。水の中で死んだ僕の体が、どこかの岸に流れ着いて、それを海鳥が喰らう。先輩はそれを見て、新しい考察をする。循環する命についてか、世界中の悲しみについてか、そのようなほとんどの人にとってはどうでもいいことを、先輩はひたすら考える。僕の死体を見ながらだ。

「どうでもいいことを考えているのは、君も同じでしょう?」

 僕は黒崎さんと高校で出会った。そう思い込んでいた。けれど実際は、もっとずっと昔に出会っていたのである。

「これから青い猫が君に与えた影響について話そうと思う。君は僕が狂ってしまったと思っているが、僕は君が思うほどには狂ってはいないはずだ。むしろ僕からしたら狂ってしまったのは君の方なんだよ。君は自分が思っている以上に黒崎さんの死で傷ついてしまった。君は否定するかもしれないが、君は黒崎さんのことが好きだったんだよ」

 先輩は一息に言うと、ペットボトルから水を飲んだ。

「僕は彼女に恋愛感情など抱いたことはありません」

「好きというのはこの場合、恋愛感情などではない」

「では、何だというのですか?」

「憧れだよ」

 僕は黒崎さんに憧れていた。なるほど、と僕は思う。これはそういう感情だったのかと先輩に言われて気が付く。僕は彼女に初めて会ったときから、彼女に憧れていたのだ。黒崎さんが語る魔法のような言葉。幼い僕にその意味を理解することはできなかったけれど、そのすべてが世界の真実を表現しているような気がした。僕と同い年くらいの少女が、この宇宙の最も大切な何かに触れようとしている。僕はただただそんな少女に憧れていた。

「けれど黒崎さんは死んでしまった。厳しい言い方になるけれど、彼女は世界の真実を追い求めながら、その最も重要な部分について完全に誤解していたと言える。もちろん、彼女は自殺ではなかったということもあり得る。僕はそうであってほしいと思う」

「青い猫ですか?」

「いいや。青い猫は黒崎さんの死とは関係ないよ。僕も目について思い出したんだ。あの目は僕が持っていていいものではなかった。だから青い猫が持っていってくれた。彼は僕たちの味方だよ」

「……」

「少し、歩こうか」

 僕と先輩は学校の近くの商店街を歩いた。かなり遅い時間だったので、人は誰もいなかった。秋の訪れを感じさせるような、甘く冷たい匂いがした。

「受験勉強の方は順調ですか?」

 先輩は少し考えてから

「順調とは言えないね」

 と言った。

「僕はね、ずっと止まっているんだ。本当は大学で哲学を学びたい。けれど、なかなかそうもいかなくてね」

 先輩の家は代々医者の家系で、先輩も医学部を目指していると聞いていた。先輩はそこら辺のことは割り切っていると思っていたが、先輩だって僕と同じただの高校生なのだ。そう簡単に割り切れるはずはなかった。

「止まっている。僕は止まっている。僕を置いて、皆遠くへ行ってしまうような、そんな感覚がある。一之瀬くんも、黒崎さんも、もうここにはいない。僕は君たちが羨ましかった。才能もあって、自由で。僕にはないものを君たちはたくさん持っていた。そして僕には目だけがあった」

 僕は何も言えなかった。

「黒崎さんは死んでしまった。君は記憶を失い、僕は目を失った。黒崎さんはずっと遠くに行ってしまったけれど、彼女もまた永遠に止まり続けることになった。僕はそれがとても悲しい。いや、怒りすら覚える。彼女は死んではいけなかった」

 気が付くと僕たちは学校の屋上にいた。空気が違った。この感じは、まぎれもなく春のものだった。桜の花びらが何枚か風に舞っている。春だ。黒崎さんが死んだ、春だ。

「ほら」

 先輩が指差す。そこには青い猫がいた。

「すべてはつながった。僕もそろそろ行くとしよう」

 青い猫が消えた。

 そして、先輩も消えた。



 現在のところ、過去に戻る術はなく、死んだ人も甦らない。世界はそのようにできているし、だからこそ物語や運命が生まれ得る。

 僕は麻衣子と喫茶店にいた。一人では絶対に入らないような、オシャレな店だ。

「夏休みも終わるね」

「だね」

「あーあ。もうそろそろ受験生か……。真人はどこ狙い?」

 麻衣子の質問に僕は曖昧に答える。何となく哲学をやってみたいという気はしていたけれど、それもわからなくなってしまった。

「前に会った先輩のこと、覚えてる?」

「ん、先輩って哲学研究会の人? なんで?」

「いや、特に意味はないんだけれど……」

 僕は驚いたが表情には出さないように努めた。もっとも麻衣子は敏感だから僕の微妙な変化に気がついたかもしれない。

 先輩は消えた。桜の花びらと青い猫と一緒に、消えた。

 先輩のことを覚えている人は少ない。先生も、先輩のクラスメイトも、誰も覚えていなかった。先輩のことを覚えているのは僕が確認した限りでは僕と姉さんだけだった。だから麻衣子が覚えていたことには、かなり驚いた。

「ん、そろそろかな?」

「たぶん……あんまり時間に遅れない人なんだけど」

 僕と麻衣子は姉さんを待っていた。

 しばらくして姉さんから連絡があった。インターン先の企業に急に呼び出されたそうだ。だから今日は行けそうにない、とのこと。姉さんに会いたいと言っていたのは麻衣子だったので残念そうではあったが、そういう事情なら仕方がないと納得したようだった。



「今日はごめんね」

「別に……でも、何であんな嘘ついたの?」

「ばれてたか」

 僕は姉さんの部屋にいた。彼女は決まりが悪そうに机の上のボールペンを触っている。

「先輩と会ってたんでしょう?」

「どうしてわかったの?」

「勘だよ。何となく、姉さんは先輩と会っている気がした」

「彼、元気そうだったよ」

「そう」

 先輩は何か言っていたかと訊ねようとして、やめた。今となっては、それを聞いても何の意味もないからだ。

「青い猫と一緒にいたの?」

「どうだろう……。ただ、彼は目を返してもらったみたい。だけど目を持っていてはいけない。だから彼はこの世界から消えた」

「なるほど」

 それは非常に論理的で、また明快だった。先輩が消えたのはちゃんとした理由があったのである。

「ちなみにさ」

 僕は続けて姉に問う。

「その『目』って言うのは、人の死が見える目のことなのかな」

 僕の問いかけに姉は驚いたようだが、それはほんの一瞬のことだった。

「先輩は黒崎さんが死ぬのを、おそらくだいぶ前から知っていた。だけれど、その死の原因までは見ることができない『目』だったんだ。結局、黒崎さんは自殺してしまった」

 僕は続ける。まるで先輩を非難するかのようだと、我ながら思う。

「因果というのは哲学的な問題をはらんでいる、と聞いたことがある。もしかしたら原因と結果は僕たち人間が時間的制約のもと推定したものに過ぎず、真実は逆の場合もあるのかもしれない。つまりは、先輩はこう考えたんじゃないかな? 先輩が黒崎さんの死を見たから、黒崎さんは死んだんだと。すべての運命に辻褄を合せるために、黒崎さんは自殺という最も不自然でけれど最もありそうな死に方をしてしまったのではないか、と」

 僕は姉さんを見た。

姉さんは泣いていた。

「そうだとして、誰が彼を責められますか?」



 学校が始まった。残暑はあっという間に過ぎ去り、秋の風が吹いていた。

 僕は麻衣子と付き合っている。愛しているかどうかはわからないけれど、今まで出会った女の子たちに抱いたことのない特別な感情を僕は麻衣子に抱いている。彼女のひんやりとした頬に触れる。もしかしたら、これが好きということなのかもしれない。

 先輩は完全に消えてしまった。姉さんも麻衣子も、先輩のことを忘れつつある。僕はまだはっきりと覚えているが、それもいつまで持つかはわからない。

 姉さんは就職活動をやめ、大学院に進むことにしたそうだ。研究者になれるかはわからないが、まだまだ学びたいことがあるらしい。



 高校二年生の夏は終わった。

 だから、僕たちは自分自身と嫌でも向き合わなければならない。

 冷たい水のイメージ。鳥の鳴き声と、聴きなれたメロディー。

 僕が憧れた少女は、大人になることなく死んだ。

 その事実が意味することは、僕が考えているよりも、はるかに重いのだと思う。





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