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ご病気の調査役  作者: 新庄知慧
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女医さまの、語りは止まらぬ、躁のひと?



「家系図と病気を書くと、こんな感じですか?」


「ええ」


調査役はうなずいた。


家系図をみて、調査役はため息をつき、


「気づかなかったな。病気がいっぱいいるな。


私は何の病気になるんだろう。白血病かな。


私の白血球は大丈夫ですか」



「あ、それは平気ですね。まあ、今のところは。


でも、この血なら、あらゆる可能性をもってます」


「可能性…」


「あらゆる病の可能性」そう言って、女医はアメリカ人がやるように、肩をすくめた。


「そうですか」リアクションが大きくて、面白いような、疲れさせられるような、変な医者だなあと調査役は思った。


「健康診断では、いつも、ひっかかるんです。いつも、こうなんです」


「あまり、気にしてない?」女医は小首をかしげ、目をくりっとさせて言った。


「気にするも何も…」


「忙しくて、それどころじゃない」


「そういうことになりますかねえ」


「多いんですよね、そういう方。特に30くらいの若い方。まだ体力に自信あるし、そのうち回復すると思ってらっしゃる」


「まあ、そういうところもありますかね」


「また、そんな、他人ごとみたいに!お友達にも、いらっしゃるでしょう、似た方」


「ああ。そうですねえ。それで、心筋梗塞とかで、ぽっくり、死んじゃう。


ええ。朝、布団の中でぽっくりとか、ジョギング終わって気持ちよくぽっくり死んだとか、友達にいますよ」


嘘ではない。調査役には、実際、そのようにして死んだ高校時代の友人が少なくとも3人いた。


「3人…、いや、もっとかなあ学校時代の友達…」指折り数えながら、調査役は言った。


「そうですか。そうでしょうね。お客さん…


いや、患者さんは知らないだけで、実際には、もっとたくさん死んでるかもしれないですね。


もう死んでるのに、そのことに、自分が気づいてなかったりして!」


そう言って女医は、自分で自分の頭をたたき、「こりゃ失礼!大変なんすから、もう!」と言って笑い、舌を出した。


この女医は、やっぱり、変だ。と、調査役はあらためて思った。


女医は調査役には構いなく、カルテに色々続けて書いた。


 一応、ドイツ語らしいのだが、幼稚園児が、下手ないたずら書きをしてるようにしか見えなかった。


しばらくして、カルテから顔を上げて女医は言った。


「で、どうします?」


「はあ?」


「お茶にする?それとも、歌?」


「・・・・・・」


「嘘ですよ。すみません。冗談。悪質な冗談。つまらなかったでしょう」


「何を、おっしゃりたいんですか」


「あ、いえ、その。注射にしますか。薬にしますか」


「はあ。それを私がきめるんですか…・」


「意見をきいてみたんですけど。ああ、でも、やめましょうね!」


「どうしてです!?」



・・・・つづく

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