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引き裂かれた家族  作者: 白黒緑
1/1

隔てる壁

初投稿です

郊外の見晴らしの良い丘陵地建つ、三階建ての白亜のマンション。

年明け、住み慣れた一軒家から転居してきた。実は、私が大家です。

不就労収入を目指して、自身の30年分の貯蓄をつぎ込み銀行の融資を受けた結果です。

近くには、複数の教育機関が存在し、駅にも近く大変便利を売りにした物件の為、

入居も完成を待たずに全室埋まり、トラブルらしいトラブルも無かった。

この地域は、将来土地価格の上昇も見込めるため、まさに不就労が楽しみである。


部屋は

1、2 階は単身者向けの24部屋。

3 階は、ファミリー向けの4部屋、

4 階は、2部屋がある、

因みに4階の一室が、私の家である。

このマンションには、最新の省エネ設計で電気代は一般の1/3程度で抑えて

バッテリーと自家発電も装備している。

元は某メーカーの電算機室用の建物、

それを私がコネと多少の接待で購入した。

マンションへリノベーションし現在に至る。


私の家族構成は

私、近藤こんどう ひとし 55歳 会社員

妻、近藤こんどう 雅子まさこ56歳 専業主婦

長男、近藤こんどう じゅん24歳 大学院生

長女、近藤こんどう さくら18歳 大学1年(予定)

次女、近藤こんどう 椿つばき15歳 高校1年(予定)


三月末日 

転居から約二か月、今日が最後の出社、いつもより1時間早い。

朝日を背に、駅に向かってゆるい下り坂を歩いている、

その時前方に肩までかかるブロンドの髪の女性?が

道の真ん中に立っている、目が合った瞬間、私に何かを向けて一足飛びに迫ってきた。

咄嗟に、通り魔か何か得体の知れない恐怖に、自身は身構えしゃがみ込んだ。

次の瞬間辺りが暗いと感じ、その直後、大量のフラッシュを浴びたような感覚、

しかし、痛みが無い。暫くして目を開けて自分の周りを確認する。

先ほどの女性?は居ない。次の瞬間、爆発音と凄まじい風が私の身体を襲った。

立つ事が出来ず、しゃがみ込んだまま。どれ程の時間が経過したか解らない。

得体の知れない恐怖、そして全身の痛みに耐えながら、意識を手放した。


日付不明

次に目を開けたのは見知らぬ天井と私の身体を拘束する包帯と拘束具の様なもの?

それと生理現象、しばらく我慢していると白い天使?が私をのぞき込んでいる!!

「近藤さん おはようございます、私が見えますか?」

変な質問だ、その質問に答えようとするが声が出ない。

仕方なく瞬きと顔を上下に動かした。その時、天使が慌てた様子で叫んでいる。

「先生来てください、近藤さんの意識が戻りました。」

それは天使ではなく、看護師さんだった。そして、ここは病院。

私の身に何が起こったか、思い出す事が出来ない私は一人、意識を手放した。


日付不明2

浅い微睡から、ゆっくりと冷めてくる中、声がする女性の声だか聞き覚えはない。

それにしても体の自由が利かない。手足は何かに押さえつけられた様な感覚。

口の中には軟らかく、それでいて噛み切る事が出来ない物が有る。

そんな中、生理現象が意識を支配し自尊心により意識が覚醒する。

重たい瞼を開け、天井を視界に入れる。口に有る異物を吐き出したい気分だが、

気怠さから、諦める。次に視界を、左右上下に動かし辺りを確認する。

部屋には照明、点滴などが確認できる。

腕を動かしてみる、包帯と治療用チューブが手に絡んでいる。

脚も動かそうとするが動かない、そこで意識を手放す。


日付不明3

顔に温かく気持ちよい感覚で目が覚めた、そこに看護師さんか居た。

「近藤さん目が覚めましたね~~、」彼女の後ろの窓から青空が見える。

ずいぶんと今日は気持ちが良い、天使?の誘いで中庭を散策予定だそうだ。

しかし、それを見た瞬間、今まで考えなかった事が脳裏をよぎり、心を支配する。

家族、マンション、あの時の爆発の様な感覚は? それとブロンドの女!

不安と恐怖が私を襲う、

「ぁ~~の~~」声を出した、擦れる様なか細い声だ、その声が天使に届いた。

「近藤さん私が解りますか?」と天使の質問に

「ぁ ぁい」と私の返事に、天使が何やら慌てた様子で何処かへ連絡している。

暫らくすると、白衣の集団がやってきた。

色々な問診を受けた、最初こそ返事があいまいだったが、意識が保てる様になり、

自身、正確な返事が出来る様に成った。

最後に私から、「私の家族は?」

白衣の軍団から、「我々は良く解らないです」すると天使が、「先ほど、ご家族の方に連絡しましたから、明日来られるそうです。」

「では明日、私の家族がここにくるのですか、ありがとう・・。」

暫らく天井を見ていた、何故か視界がぼやける、涙があふれてくる。

生きている、生きているその事に感謝しながら私は、眠りについた。


その翌日、

聞き覚えの無い声と、天使の声が聞こえてくる。意識が覚醒する、見覚えの無い顔が私の視界に入ってくる。先日の白衣集団、天使、それ以外に3人の顔が有る。

男が二人に、女が一人・・・・

その女が私に話しかけてくる。

「兄さん、真由美まゆみよ・・解る?」

えぇつ、真由美は海外に永住してるはず、何故ここにいる?

「真由美か久しぶりだな・・・それより、雅子や子供達は??」

その瞬間、周りから声が消えた、窓の外から初夏の雑音だけが聞こえる。

その場にいる、幾つもの目が静かに下を見た。暫らくして、真由美が声を掛けてきた。「私は詳しい内容は解らないのよ」

次に、スーツ姿の男の一人が「多少込み入った話をしてよいですか?」

と周りに確認すると、医師の一人から「患者との話は五分程度で、お願いします。」

それを聞くと、医師、天使、真由美が退室し、替わりに警官が入室してきた。

その後、私を含め四人で話し合いとゆう尋問が始まった。スーツ姿から自己紹介と役職を話していく、細マッチョのスーツが山川やまかわ 浩二こうじ今回の事件の担当刑事?ゴリマッチョのスーツは内閣執務室の鈴木すずき さとし役人らしい?

制服姿の警官は警備担当らしい?

その後、色々な質問を受けたが、「何も覚えていない」と伝えると、ため息を一つ。


そしてその後、現状を教えてくれた。その内容に私は、頭痛と絶望が私の心を支配する。


初めに、山川刑事が教えてくれた内容は

・私のマンションを含めた一帯は、消失している事、

・その周りは約3km程は、爆風による影響で被害が発生してた事、

・112名が行方不明21名が負傷うちの一人が私である。

・消失した一帯は現在政府による立ち入り禁止になっている


次に、鈴木氏からの話、私はその内容の理解を拒絶した。

私の住んでいた地域は立ち入り禁止ではなく、立ち入る事が出来ない。

それは、見えない壁の様なもが空間を切断している。

この内容には山川刑事も少し驚いていた。


詳細は、「こちら」と「あちら」をその見えない壁が引き裂いている。

本来在るべき空間の連続性が消失している。

そこに有るのは漆黒の半球ドームになっている。

地上部分が半球ドーム状な為、地下部分も同じと考えていたが

それは円柱形になっており、現在の掘削技術では深部まで確認ができない。


現在の所、多角的に調査を行っている段階で、結果は未だ分かっていない。

現在、行方不明者の生存率は極めて低い事を理解して欲しい。

この情報、私は頭では理解できるが、心がそれを許さない。

ここまで我慢していた感情が崩れると共に意識を手放した。




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