森の妖精 “ベリー”
その体躯はモルフェより頭1つどころか、2つは大きい。
「私の家族の“ベリー”!」
それは白い歯を輝かせていた。
「恥ずかしがりやであんまり喋らないんだけれどすっごく良い子なんだ!」
言葉でなく体で表す。
それが“ベリー”のコミュニケーション方法らしい。
局所のみを隠し、その豊満な肉体を恥ずかしげも無く晒していた。
モルフェもその完成した肉体に感嘆の息を洩らす。
ベリーは両の腕を組み、持ち上げるように豊満な胸部を強調する。
それだけじゃない、腰から下を捻ることにより自身の太ももを主張する。
背中から生える羽が一層肉体美に磨きをかけていた。
そこには賞賛しかない。
「良いよ! 良いよベリー! 仕上がってるよー!!」
モルフェの声援に白い歯を輝かせて答えるベリー。
「凄いよお兄さん! ここまで仕上げているのは滅多に無いよ!」
確かに凄い。
凄いのだが。
「こんなに完成度の高いサイドチェストをするなんて……ベリーがここまでしたのはお兄さんが初めてだよ!」
全身を包む筋肉の鎧。
アメリカンなナイスガイが微笑を浮かべながらサイドチェストを決めていた。
磨きぬかれた筋肉が今、陽光の元で輝いていた。
「ガチムチじゃねーか!! アレの元ネタが森の妖精だからか、ってやかましいわ! 良い子は検索したら駄目だぞ!」
構成情報は元がネット上のコアなネタとはいえ、“妖精”に関連付けられるからか。
この事実を卒論に記入するべきか真剣に悩みそうだ。
「ベリーは凄いの、夏なんてカブトムシさん達と立会い稽古してるんだよ」
いや、まぁ元ネタはレスリングですけれどね?
別の意味での異種格闘技は予想外ですわ。
「あっそうそう、他の皆もお兄さんに挨拶がしたいんだって。自分なりのアプローチをするから楽しみにしていて!」
「え? 他にも居るの……?」
駄目だ展開に頭が着いていけない。
でも彼女達は待ってはくれないようだ。