解放
「ちゅんちゅん」
朝が来ました。素敵な朝ちゅん日和ですね。
ってここ室内!朝ちゅんなんてないよー!!
昨日の夜からアカネちゃんに抱かれて朝までコース。
まだ私の体にちゅっちゅしています。朝ちゅっちゅです。
よーし、朝一番の体調チェックだ!
名前:早乙女るい
性別:女
年齢:32
ジョブ:下着
レベル:1
HP:3/5
MP:8/8
STR:3
DEF:10
DEX:1
INT:108
LUC:28
状態:汚れ・擦り切れ
趣味:ネトゲ
スキル:空間把握/鑑定lv2/感情抑制/意思疎通
称号:物体を超越せし者
PP:23
思った通りHPは回復していない。物だからね、直さなきゃ勝手に修復される事はないよね・・。
でもMPは回復してる。よかったー。
PP何故か増えて23Pに戻っていた。
そして昨日はスキルに気を取られて気づかなかったけど・・
なにこれ!!年齢!!!
どう考えても14歳でしょ!?
ないわ~、前世と今世の歳を足しましたとか言うつもりなのかしら?
足し算とか四則演算の中でも一番嫌いだし、プラスドライバーとマイナスドライバーがあったら断然マイナスドライバーだし!プラスでマイナスのネジには入らないからね?
早く隠蔽のスキルは取らないと・・。これは絶対譲れないものだから!!
むしろ取るまでは発覚するのが怖いから引きこもっていたい。大丈夫得意だから。
でもいくら望んでもそんな幸せはもうすぐ壊れるんだけどねー・・
「どかぁーーーん!!」
はい、きたよー!
空間把握を使って朝から建物の周りを調べてたんだよね。けして朝ちゅんを探してはいない。
なにしろ周りは既に囲まれていた。朝一で威嚇射撃、この後降伏勧告かな?
ばたばたと部屋の外も騒がしくなってきた。とするともうすぐこの部屋にくるよね。
であれば早めに父と母に伝えておかなくっちゃ。
「おい、一人来い!敵の隊長が何か言ってるから無駄だと分からせてやる」
この中から一人連れてくとなると当然アカネちゃんが選ばれるよね。
え、私?私の体も当然アカネちゃんの手の中よ(笑
そして盗賊の親分に連れられて丸1日振りに外の空気を吸う。
はぁ~旨い!(気がする)
「あーあー、立て篭っている盗賊諸君に告ぐ!人質を解放しおとなしく出て来なさーい!!」
「あほか、出て来いって言われて出て来る奴が盗賊なんてするかよー!」
正論である。なんで隊長さんはこんなやり取りをしてるんだろう?
「今投降すれば情緒酌量の余地が認められ減罰の可能性もありますよー!」
「なんだその中途半端な殺し文句は!認められない可能性も十分ありそうじゃねーか!?」
またまた正論である。意外に頭は悪くないのね、伊達に盗賊の親分じゃないって事か。
しかし隊長さんからも本気感がぜんぜんないんだが・・少し聞いてみるか
「隊長、やっぱり日が昇る前に突入してしまった方が良かったんじゃないですか?」
「突入作戦は相手の人数・配置、人質のいる部屋等が分かっていないと成功しないわ!」
「成功って、多少の犠牲が出ても盗賊を殲滅して何人か人質を確保できれば十分成功ですよ?」
「犠牲なんて一人も出さないのよ!騎士団本隊が到着したら構わず突入命令が出るわ。それまでに何とか・・」
ふむふむ、若い分隊長さんは良い人だなー。
でも有能なだけに説得じゃどうにもならない事は分かっているからこのやり取りになる訳ね。
えっ、なんで向こうの隊の話が聞こえるのかって?
私も実は分からないんだけども、昨日から耳が良いのよ。
あそこから音を拾おう、って集中するだけで何となく聞こえるんだよね。空間把握とかでそんな事できてるのかな?
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当然だけど交渉は平行線で終わり親分に連れられて元の部屋に戻ってきた。
親分が大広間にも聞こえるように指示を出す。
「交渉は恐らく時間稼ぎだ。後から本隊が来るに違いない!30分で金目の物はまとめろ、人質を盾に裏から逃げるぞ!!」
あちゃー、内容はぜんぜん実際とは違うけれども対応としては間違いないね・・
騎士団本隊は・・っと、近くにいるけど1時間くらいはかかりそう。
残り30分はがんばらないとか。ちらりと父を見る。こっそり、でもしっかりと頷き返してくれる。
これでぎりぎりだけど、何とかなるかもしれない。一人も犠牲を出さずに!
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そろそろ30分だ。荷物をまとめた盗賊達がこの部屋にくるだろう。
何としても捕まらずに時間を稼がないといけない。
この部屋は出入り口が二つある。
一つは大広間に繋がるドアでもう一つが恐らく親方が言っていた裏からの逃げ道に繋がるドア。
部屋の中に盗賊の人はナイフを持った人が一人。みんな荷物まとめに行っちゃったからね!
その一人も「オレの荷物もまとめてくれてるかなぁ」とぼやいて気も漫ろだ。
でもしっかりと腕を首の当たりに回されて絞められている。アカネちゃんの力じゃ抜けられないだろう。
空間把握で荷物をまとめた盗賊達が戻ってくるのを感じる。もうこのタイミングしかない!
私は叫ぶ!
「きゃ、強く胸を掴まないでください!この変態!!」
「え、ちがっ・・」
ふはははは!例え咎無くとも女性に悲鳴をあげられれば慌ててしまうのが男の性よ。
タイミングを合わせて飛び出した護衛の二人に攻撃を受け沈黙する盗賊一人。なむー。
まだだ!あとはみんなで部屋中の樽やら箱やらで大広間に繋がるドアを封鎖する。
そして裏からの逃げ道に繋がるドアを開け放つ!
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ドアの封鎖が力ずくで解かれ盗賊達が雪崩込む。
最後の方の一人が叫ぶ。
「親方!騎士団が動き始めたみたいっす!」
「ちぃ、15分くらいロスしたか・・女・子供がいるんだ、まだ追いつける!重たい荷物はここに置いていけ、間に合わなくなる。追いつかれる前に追いつけば人質を盾にして逃げ切れる」
急いで荷物を降ろす盗賊達。親分の焦り具合から危険を感じたんだろう、誰も文句は言わない。
そして数分で部屋からは誰も居なくなった。
いや、出て来る人が数人居た。
私が空間把握で見つけた増築の設計ミスであろうか、部屋と部屋の間にできていた隙間に隠れていたのだ。
「誰もいない。やった!上手くいったね。お父さん、お母さん!」
「ああ、アカネがここを見つけ気転を利かせたおかげだな」
まぁほんとは私なんだけどね!
というかスキル:意思疎通のおかげ・・かな?
時は昨晩に遡る。
アカネちゃんに捕まった私は夜中に起きてもお花を摘みに行くこともできず(摘めないけどね)、
魔力枯渇が収まったので適当に鑑定などをしながら過ごしていた。
すると声が聞こえてくる。・・違う、頭に入ってくる。
アカネちゃんの見ている夢が見える。中に入って一緒に遊んでみる。楽し!
いかん、字のごとく夢中になっちゃったよ。
でもこれならいけるかもしれない。試しにアカネちゃんに意思疎通で声をかけてみる。
「アカネ、あそこの小石は危ないから拾って脇にどけておいてくれないか?」
何の抵抗もなく立ち上がり小石をどけて、戻ってきてまた横になるアカネちゃん。
すごい、信頼感だね。
普通どんな催眠術でも抵抗があるし命の危険があれば絶対に従う事はない。
ここは盗賊の根城で室内にも盗賊がいる状態。勝手に動けば命の危険がある場所だ。
これなら使えると確信し朝になる。
結局アカネちゃんに動いてもらったのは二回。
砦の外に出た間に護衛二人の縄を切っておいてもらう事。
と、それが上手くいったかの確認のアイコンタクト。
ちなみに縄は壊れかけた木箱の杭を引っぺがして切ったみたい。
とにもかくにも後は騎士団の到着を待つだけだ。
と、その時に裏へ続く方のドアから音がした!
名前:レスター
性別:男
年齢:45
ジョブ:用心棒
レベル:98
HP: 95/362
MP: 56/56
状態:風邪
称号:孤児院通い
「え、なんで?一緒に行ったんじゃ・・」
とアカネちゃんが言わずとも、そこにいるみんなが思っていた。
「んー、なんて言うかな。アカネちゃんだっけ?朝から何かヤバい気がしてね」
「でもここに居たら騎士の人達が来て捕まっちゃいますよ?」
「確認くらいはしておこうかと思って見に来たんだよ」
風邪がひどくなってますね?とかそれどころではないよ。
まずいまずいまずーい!もう戻ってくるはずが無いと思って油断してた。念のためドアの封鎖をもう一度しておくべきだった。
この人だけで十分戦局はひっくり返される。弱ってる今で全員で向かっても簡単に返り討ちだから・・。
「ま、いいか。報告する分程度の情報は手に入った。朝より感じが弱まってるしな。」
と何故か手のひらを返して撤退を匂わせアカネちゃんを見る。・・・私を見てる?いや、そんなはずはないか。
「じゃ、道なりに行くと怖い人達が来るから道を外れて山道から行くかな・・」
と謎の用心棒は謎ばっかり残して山の繁みに入っていった。ちゃんと虫刺されの薬塗ってるのかな・・?




