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異世界PAN2!  作者: まじてんし
20/29

天下無敵のおねにーさま(はーと)

「お願いです、テリーを助けてやってください!」


 後ろから来た二人は知っている顔だった。というか見たくもない三人組の中の二人!もう一人のリーダーっぽい奴はどうしたんだろ?

 シェリスも話もしたくないと言った顔で、でも言っている内容から無視する訳にもいかず返事をする。


「助けて・・とは?」

「はい、俺がどじっちまって怪我をしてしまいそこへ運悪く魔物に囲まれてしまって・・。こいつに体を支えて貰いながらやっと逃げてきたんです。」

「もう一人はどうした?」

「俺達を逃がす為に囮になるって言って反対側へ・・。」

「・・・・・」


【るい、どう思う?】

【胡散臭い三人だけども助けてって言ってるのを見捨てるのも寝覚めが悪いかな・・。】


 でも正直アカネちゃんのレベルでは誰かを助けている場合じゃないよね。ミイラ取りがミイラになる落ちしか見えない。


「場所はどっちだ?」

「はい、確か下に降りる階段の近くだったかと・・。」


【あ、それなら私達もそろそろお昼で安全地帯に戻るところだったし、階段までで会えばどの道対処しなければいけなかった訳だし。】

【なるほど。】


 と私の話に納得顔のシェリスが二人に話かける。


「私達はこれから休憩の為に6階に降りる階段に向かう。特別お前達の仲間を探し回ったりはしないが、ついてくるのは構わない。」

「途中でテリーを見つけた場合は?」

「レベルアップ目的で来ているんだ、近くに魔物がいれば倒すに決まっている。」


 との話を聞いた二人は頷き合い、


「「宜しくお願いします!」」


 と声を揃えて頭を下げた。ふぅ、私達も大概お人良しだよね!



 警戒しながら階段への道を歩く。私も空間把握で周りを探る。

 何匹かの魔物に遭遇するも誰かが襲われている様な事はなく倒し進んでいく。


 幸いと言って良いのか二人にとっては残念かもしれないけど階段まで何もなく到着する。


「じゃあ悪いけど私達は・・。」


 とシェリスが言いかけたところで、


「ぐわーーーぁ!」


 と近くで叫び声が聞こえる。・・テリーかな?


「あぁ、そんな!・・俺のせいでテリーが殺されちまう・・くっ」


 と助けに行きたいけど痛みで助けに行けないぜアピールをしてくる二人。

 騎士であるシェリスがここまで来て見ぬふりもできる訳がなく・・


「ボクが一人で行ってくる。アカネちゃんは6階に降りて安全地帯で待ってて!」

「そんなシェリスさんがなんで・・。」

「ボク一人ならこの階の敵は問題ないから大丈夫だよ。お昼を準備して待っててくれる?」


 とアカネちゃんの頭をなでなで。あ、いいなー私もしたい。


「ああ、騎士様が行ってくれるなら安心だ。ありがとうございます!」


 とのたまう二人の話を最後まで聞かずにシェリスは颯爽と声のした方向へ走って行く。

 さて、6階に降りて安全地帯で待ちましょうかね。


 階段へ向かうアカネちゃん。と私の頭に何かが引っかかる。

 あれ、そういえば階段の近くで襲われたんだったら何も別れずに三人で階段を降りて安全地帯に行けば良かったんじゃ・・?


 どんっ!


「えっ!?きゃあ!!」


 そこまで考えたところでアカネちゃんが誰かに押されたのか階段を転がり落ち、視界がぐるぐる回る。途中にやにやした二人の顔も見える。

 階段の下まで転がり止まる。アカネちゃんは気絶しているみたい。

 私が代わりに立ち上がり体の調子を確かめる。よかった、擦り傷程度で大きな怪我は無さそう。

 

「なんだまだ元気そうだな。」

「まぁ落ちたくらいじゃ死なないだろ。」

「苦労して引っ張って来たんだから奴らの出番もないとな!」


 と二人の話声が聞こえる。

 周りを見てみると「運悪く」魔物に囲まれているみたい。


「俺達が殺しちまうと犯罪者になっちまうからな。魔物に殺されたところを偶然見つけてアイテムボックスを偶々手に入れるのは冒険者には良くある事だな!ぎゃはははは!!」


 きちんと説明をしてくれる二人。ちっ、冒険者ギルドでアイテムボックスの話をしていたのを聞かれていたんだ。5階を回る事も教えてしまったから罠を張られたのね・・。


【シェリス】

【何?こっちは終わったよ!】


 とあっさり任務終了とのお知らせ。でも随分遠くに行ってしまったみたい。


【あの二人にアカネちゃんが階段から突き落とされた。】

【えっ、大丈夫なの!?】

【落ちた怪我は大丈夫そうだけど、ご丁寧に下には魔物が用意されている。メインディッシュはアカネちゃん。】

【馬鹿な事言ってないで、すぐ行く!道理で助けるって言ってるのに逃げて離れて行く訳だ。安全地帯には逃げ込めないの?】


 そうだ、安全地帯!近づいて扉を開けようとするも開かない!

 ドアノブのところに何かがぐるぐる巻きにしてあってアカネちゃんの力では外せそうにない。

 そんなこんなしている間に魔物が仕掛けてくる!


「うわぁー!!」


 這いつくばりながらなんとか避ける。レッサーウルフの開いた口が横を通り過ぎる。

 何とか突破口を開かないと・・!


『フリーズ』


 取りあえず距離を取ろうとレッサーウルフに魔法を放つ。

 きゃん、と鳴きレッサーウルフは嫌そうにして後ろに下がる。・・けど倒すには程遠い。

 まずい、数が多すぎる。シェリスが来るまで持ちこたえられそうにない。

 後ろに居たオーク数匹もだんだん近づいてくる。これは詰んだかー・・。


「僕に代わって!!」


 えっ?と思ったらいつものアカネちゃんを見ている風景に戻る。

 刀を持って構えるアカネちゃん。・・・あの刀は。



 ヤナギダ流に伝わる太刀  攻撃力+15 命中補正+2



 アカネちゃんの小さな体には大きすぎる太刀を、体を回しながら遠心力を使って振り回す。

 ざくざく切られ黒い霧になって消えていくオーク達。

 最後のオークを倒したところで止まるアカネちゃん。そこへレッサーウルフが飛びかかる。危ない!

 と思ったのも束の間、アカネちゃんの姿が消える。気づくとレッサーウルフの後ろにいて、再び体を回転させ剣を振る。

 集まっていた魔物は全て霧となって消えた。ええー、それなんてソード○ート?あなたはどこの黒の剣士様ですか!?


「ん、っと?」


 あ、アカネちゃんの意識が戻ったみたい。


「あれ、この刀は・・?魔石がいっぱい落ちてる。」

【アカネちゃん目が覚めた?体は大丈夫かな?】

「え、私・・。あっ確か階段から落とされて・・イタッ」


 捻ったのかアカネちゃんが足を押さえて痛がる。アカネちゃんの体であんな動きをすればそうなるよね・・。


「アカネちゃん!大丈夫!?」


 あ、シェリスが走って降りてくる。騎士様が珍しくピンチに間に合わなかったなー。

      ・

      ・

      ・



『ヒール』


「ありがとうシェリスさん、大分痛みが引きました。」

「ごめんね、ボクの魔法じゃ完全には治せなくって。」


 安全地帯に入ってシェリスさんの治療を受けるアカネちゃん。

 ん、ドア?シェリスがぶち壊したよ。けらけら。ドア無くなって後の人が困るかなと思ったけど、ドアも迷宮の一部で時間が経てば勝手に直るらしい。


「やっぱりあんな三人組は見捨てておけば良かった。」

「そういえばあの人達は・・?」

「気絶させて置いてきた。アカネちゃんに同じ様な事をしようとしてたんだからね、後の面倒を見る気もない!」


 放置されたか・・。まぁ自業自得だね。多分三人だったらシェリスに勝てると踏んでたんだろうけど伊達に騎士団長様じゃないよね。


「魔物はアカネちゃんが倒したの?」

「いえ、私は気が付いたら刀を持って立っていて、魔物はお姉ちゃんが倒してくれたんだよね!」

【う・うん、緊急事態だったからね。無理して足痛くなっちゃってごめんね。】

「ううん、お姉ちゃんが助けてくれて嬉しかった!やっぱりお姉ちゃんは最高のお姉ちゃんだよ!」


 ・・・何かすんごい信仰値が上がった気がする。



 結局今回は一度引き上げようという事になりスクロールを使って地上に戻る。


 この間は怒られちゃったから今回はちゃんと魔石を売ろうと受付を見てみるけど・・誰もいないなー。


「シェリスさんどうしよう。誰も居ないよ?」

「困ったね、少し待ってみようか。お腹もすいたしね。」


 と携帯食料を頂きながら待つ二人。

 ・・・でも食べ終わってしばらく待ったけど誰も来なかった。


「仕方がないね、帰ろうか。魔石はアイテムボックスに入れて外では絶対見せない様にしよう。」

「うん、わかった。」


 日が暮れるまでに街に着きたいと思い急ぎめに歩くシェリス。

 とは言っても小さなアカネちゃんを背負っていてなお、一緒に来た時よりぜんぜん早い。


 すると途中で街の方から来た馬とすれちがう。あれ、今の受付の人じゃなかった?そのまま王都へ続く道の方へと走って行く。

 すれちがった時に何がしかを言っていたようだが、そんな事を考えていたからか良く聞こえなかった。


「よく聞こえなかったね。シェリスさん・・どうしたの?」

「今の人・・スタンピードが起きたって。」


ですぅ、うきゅ!

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