人間かと思ってたらモノだった
部屋の中は薄暗いはずなのに周りは良く見えた。
というか[目]という器官がないので見えてはいない!
見えてはいないけども、何となくわかるんだよね。
おっと、状況把握と言う名の現実逃避はこの位にしておかないと。
この部屋は倉庫なのか樽とか箱とかの荷物がいっぱいある。
そして荷物の前には何人かの動かない身体がある・・
その中には両親と妹、護衛の人達もいる。
なんだろう?もっと取り乱すかと思ったけど意外に落ち着いている。
ううん、むしろ心が冷えていく感じかも・・
すぐにここから出て、ちゃんとしたところに運んであげるからね!
部屋の外は通路になっているみたいで、その先には大きめの部屋があるのか人が大勢いるのを感じる。
いつまた戻ってくるかわからない状況で今何ができるのかを考えないといけない。
「・・・う、ん」
!!
動いた?あ、な~んだ。別にみんな死んでなかったんだ。
えっ、ということは死んだのは自分だけ!?が~ん。
「?・・ここ、は・・あ、お父さん!お母さん!」
としばらくショックを受けていたらみんな気が付いたみたい。
「う・・アカネ!無事だったか、よかった」
「うん、私は大丈夫。でもお兄ちゃんが・・」
と妹が悲しんでいる。
大丈夫だよ!と言って頭をなでてあげたいがそれはできない。
なぜなら・・
そう、フンドシだからだよ!
自分で自分を見れないから何とも言えないけども体の位置的にも大きさ的にもそれしかなさそう。
なんでよりにもよってフンドシなのよ!
あーでも今はそんな事よりも・・
ガチャ!
「お、旦那~気が付いたみたいですぜ!」
「そうか。少し強く殴り過ぎたかと心配してたとこだ、ははは」
と気づいた盗賊の一人が後ろの人に声をかける。この後ろにいる人がみんなを・・
護衛の人も揃って気絶させるとかレベル差がかなりないと難しいって聞くのに・・
くっ、というかなぜ一人だけ手加減できなかった!
「一人は死んじまったみたいですぜ」
「あーそいつは仕方ない、なんかヤバそうだったからな」
妹をかばって抵抗してたからかなぁ?時間かければ衛兵さん達が来ちゃうしね・・
「お前らよくも俺の息子を・・」
と怒ってくれる父に胸が痛む。フンドシだけど・・
「ほう、身ぐるみ剥がされてもまだ威勢は良いみたいだな」
そう、みんなの装備や荷物は取られ下着1枚だけしか着てないんだ。護衛の人なんて魔法を使われない様にか猿ぐつわまで噛まされている。
父は怪我をしているようで腕から失血している。
結構つらそうに見えるけど、どれくらいの傷なんだろう?死んじゃったりしないよね!?
っと父の傷を見ようと注視した時、
名前:ヤナギダ ケンスケ
性別:男
ジョブ:父
レベル:25
HP: 8/65
MP: 5/5
状態:瀕死
なんかでた!!
ていうか父がもう瀕死!!!
よく見たら腕だけじゃなくって脇の方まで血だらけ。大変だよ、あわわ・・
「当たり前だ!息子の仇を打つまでは・・ぐぅぅ」
ちょ!落ち着いて!!やばいやばい、早く何とかしないと。
そうだ、盗賊達のも見れないのかな!?
名前:ジョン
性別:男
ジョブ:盗賊(下っ端)
レベル:13
HP:23/23
MP: 2/2
状態:良好
名前:レスター
性別:男
ジョブ:用心棒
レベル:98
HP:256/362
MP: 56/56
状態:風邪ぎみ
見れた!って
ええ~、後ろの人のレベルがカンスト寸前じゃない!?
見て、むしろ絶望しかないよ!?風邪ぎみでも関係ないレベル!
「ちっ、人質が死んじまったら仕方がない。軽く手当てしてやれ」
「へいっ」
そう言ってレスターの方は部屋から出ていく。
あれっ、意外と良い人?
いやいや、一人死んでるしそれはないか・・という事は人質が必要な状況という事なのかな?
「まだ運が残ってるみたいで良かったなー!」
と言ってジョンは傷薬と包帯らしき物を父に放り投げていた。
「ちょっと、一人じゃ無理よ!私がやるわ!!」
アカネが詰め寄る。
ちょ、怒らせない様に気をつけてよ~・・
「んじゃ女は手縄外すから二人でやれ。護衛のは外すんじゃねえぞ!」
そう言って母とアカネ二人の縄を外し近くにあった樽の上に座るジョン。
簡単に人質の縄を外すとか、よっぽど大した事ないと思われているのか抵抗されても抑える自身があるのか・・きっと両方なんだろうなぁ。
名前:ヤナギダ ケンスケ
性別:男
ジョブ:父
レベル:25
HP:16/65
MP: 5/5
状態:衰弱
ほっ、よかった~。ちょっと持ち直したみたい。