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異世界PAN2!  作者: まじてんし
13/29

世の中は気が付くと誰かの手で回っている

 お姉さんに起こされアカネちゃんが目を覚ました。


「アカネちゃん大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫です。交代ですね!」

「慣れないと寝るのも難しいから。『クリーン』」

「あ、さっぱりした。ありがとうございます!」

「じゃあ三時間くらい任せるね。何かあったらすぐ起こしてね」

「わかりました、お休みなさい。」


 おお、クリーンって魔法だったのか。アカネちゃんが覚えてくれればポイント使わず助かるなー。

 下着を不衛生にしておく事はできないので必需品だ。

 というか私は覚えられないのかな?鑑定使えてるんだし魔法が使えないって事はないと思うんだけど・・。でもスクロールを使うとか無理そう。


「だから簡易トイレあるって言ったのに・・」


 アカネちゃんからは聞こえないような小さな声でお姉さんがつぶやくのが聞こえた。

 なんで突然と思ったけどそういう事か。アカネちゃんごめん!・・妥協はしないけど。


 さて、気を取り直してアカネちゃんのMPは回復したかな?




 名前:ヤナギダ アカネ

 性別:女   

 年齢:13    

 ジョブ:ヤンデレ妹   

 レベル:5  

 HP:13/13   

 MP:6/6    

 STR:3   

 DEF:4     

 DEX:3

 INT:73

 LUC:240

 状態:良好

 趣味:G

 スキル:コールド 魔法制御(氷)LV1

 称号:姉スキー



 レベルも上がってるね。これなら2,3回は使えるのかな?

 STRは上がってないかー。スタッフ無双を夢見るのは無謀だな・・。


【アカネちゃんおはよー、レベル上がってるよ!】

【ほんとですか!?やったー!】

【魔法制御(氷)LV1も付いてるから昨日よりも思った通りに使えるかもしれない】

【わかりましました、じゃあ今度はどこか集中的にかける様にしてみますね。でもシェリスさんに付いていただけでどんどんレベルが上がって申し訳ない気もします。】

【レベル上がったって使えない人が多いんだから、アカネちゃんだって十分すごいよ!】


そう、最初の制御がない時にだって凍ってはいなかったけど部屋中が霜振り状態だった。あれを一か所に制御すれば結構強力になりそうな気がする。


【だけどお姉さんがすごいね。昨日の三人組に対してもかっこよかったよねー!】

【・・・そうですね。】


 ? 反応が悪いな。アカネちゃんはまだまだって風に聞こえちゃったかなぁ?

 繊細なお年頃だもんね。次から言い方には気を付けよう。




 そして何事もなく三時間が過ぎて、お姉さんは起こすまでもなく自分で起きてきた。さすがですね!

 再び携帯食料で朝ごはん。


「じゃあ少しだけ2階を回って今回は終わりにしようか。日のあるうちに街に着きたいしね。アカネちゃんは今日は魔法使う?」

「はい、昨日より大丈夫そうなので使っていきたいです。」

「うん、レベルが上がったのかもしれないね。無理ない程度で休みながら使ってってみようか。」


 安全地帯を出て少し歩くとすぐにオーク一匹とアカウントする。


「アカネちゃん!」

「はい!『コールド』」


 オークの左足のスネ下辺りからカカト位までが一瞬で凍り付く。

 突然凍った足を見て驚きながら、ツマヅいてよろめくオーク。

 そこへお姉さんが逆の足を一閃。倒れるオーク。

 ちらりとアカネちゃんを見ると、どうやらMP枯渇はまだ平気そう。お姉さんもそれを見て言う。


「アカネちゃん止め!」

「はい!」


 ててててっと走って近づきショートスタッフで、えいえいする。敢え無くペースト状となったオークが消える。


「やったね、今回は多分ほとんどアカネちゃんに経験入ったよ!」

「はぁはぁ、ありがとうございます。がんばりました!」


 肩で息をしながら笑顔のアカネちゃん。がんばったね!


「しかしコールドであそこまでしっかり凍るなんてすごいね。まだ二回目なのに・・」

「そうなんですか?」

「少なくともボクは表面を凍傷にさせるくらいの魔法だと思ってたよ。でもこれだと一回で魔力を随分使ってしまうんじゃないかな?」

「どうなんでしょう?まだ大丈夫な感じはしますけど・・」

「ダンジョンではできるだけ節約して使っていくのが生き延びる秘訣だからね!例えば小さい塊を作って飛ばすとかはできない?目とかに当てれば十分ダメージになりそう。」

「なるほど、少しやってみますね。」


「・・・『コールド』」


 と少し小声で唱える。うぷぷ、声の大きさは関係ないんじゃないかなー?わかるけども!

 するとかざした手の前に小さな氷塊ができる。そして落ちた。


「すみません、前に飛んだりとかはできないみたいです。」

「じゃあきっとそういう魔法なんだね。まぁ夏とかには重宝しそうだよね。」

「無駄に魔力を使わせちゃってごめんね、大丈夫そうなら進もうか?」

「はい、行きましょう!」


 そこからは順調にアカネちゃんが時々コールドで少し凍らせてお姉さんが止めを刺す。

 ゴブリンが出たらショートスタッフでえいえいするといったレベリング。

 だんだん作業化してきた頃にアカネちゃんがお姉さんに声をかける。


「シェリスさん、あそこに小箱みたいなのがあるんですが何でしょうか?」


 魔物がいないのを見て通り過ぎたお姉さんの後から小部屋に何かあるのを見つけたみたい。

 茶色っぽい少し小さめなダンボールくらいの小箱で部屋の角で土に半分くらい埋もれている。よく見つけたなー。


「あれは・・運がいいね!宝箱だよ。」

「【たからばこ!!?】」


【あはは、現金なお姉ちゃんが食い付きました!】

【しまった、声に出てしまったー!】(※声は出ていない)


「ダンジョンが人を寄せる為に悪く言えば餌としてポップさせていると言われているんだけど、こんな高い階では滅多にポップしないし普通誰かがもう開けてたりする物なんだけどね。初心者が減って2階を回る人も減ったから新しく出たのに誰も気づかなかったのかもしれない。」

「ど・どうしましょうか?」

「アカネちゃんが開けてみるといいよ。この階なら罠とかも大丈夫だろうし。」


 罠、とか不穏な単語も聞こえたけども取りあえず開けても大丈夫みたい。

 アカネちゃんがそろそろと近づき土を払って小箱を開ける。中を見ると銅貨と銀貨が数枚と小物入れ?ポーチみたいな物があった。


「わ、それちょっと見せて!うん、やっぱりアイテムボックスだよ。まさかこんな階層で出るなんて。」

「アイテムボックスって何ですか?」

「うんアイテムボックスはね、一定の容量で重さに関係なく物を入れられるんだ。これだと1m四方くらいかな?アイテムボックスとしては一番小さい物だけど冒険者なら誰もが欲しがるお宝だね。おめでとう!」」

「おめでとうって、そんな珍しい物でしたらシェリスさんが使った方が役立つんじゃ・・」

「宝箱は開ける人によって中身が変わるって言われてるからね、ボクが開けたら銅貨二枚とかだったかもしれないよ?それに今回はアカネちゃんの為に来たんだからアカネちゃんが使うと良いよ。」

「そんな、ではお言葉に甘えてありがとうございます。」


 お姉さんはアカネちゃんの手からアイテムボックスを取り、持っていた紐を通しウエストポーチみたいにしてくれた。


「うわーかわいい紐ですね、これならすぐ使えて便利です!」


 アカネちゃんの引きだったのかー、高いラック値は伊達じゃなかったね。

 しかしこれはほんとに助かったよ、レベルが上がってもSTRが上がってなかったから今後の移動に不安があったんだ。この世界はお札が無いから銅貨でも100枚・200枚とあったら結構な重さである。リュックに入ってる魔石でも既に重たそうにしてたからね・・。


 そして気持ちも軽く再び2階を巡る。ある程度時間も経ったところでお姉さんが、


「じゃあそろそろ出て街に戻ろうか?」

「そうですね、戻りましょう!」


 


 無事に1階も通過して外に出られた。あー地上の空気が旨い!(気がする)

 

「ここで魔石を換金するんだよ。」


 見ると入る時に素通りした受付のところが魔石を交換してくれる所だったみたい。


「あ、じゃあシェリスさんと分けて・・」

「いいよ、いいよ、全部アカネちゃんにあげるから。」

「そんな!アイテムボックスも貰って魔石まで貰う訳にはいきません・・」


 と心底困った顔をするアカネちゃんに


「いや、そんな大層な物じゃないから。交換してみれば分かるよ。」


 交換してから分ければいいかとまずは交換しに受付に向かうアカネちゃん。


「お、こんな小さい嬢ちゃんが魔石を取って来たのか・・どれ」


 査定はすぐ終わったみたいで、


「ほらよ、小銅貨10枚のが33個。小銅貨3枚のが10個だな。」


 やすっ!準備や移動時間、食事や消耗品を考えたらマイナスだよ。


「ね?これも冒険者が増えない要因の一つかな。」

「なるほど、それなら魔石って何かに使えるんでしょう?売らないで自分で使ってみた方が・・」


「おい!嬢ちゃんは知らなかったようだから今回は見逃してやるが姉ちゃんが後でしっかり教えておけよ!?」


 突然怒り出す受付のおじさん。なんだなんだ?

 すみません、と言ってお姉さんがアカネちゃんの手を引いて受付を離れる。


「私何か怒らせてしまったんでしょうか?」


 と少し涙を浮かべ驚いているアカネちゃん。


「いや、アカネちゃんは悪くないよ。説明してなかったボクが悪い。」

「シェリスさんが悪いなんて、そんな事ないです!」

「ううん、実はね魔石はあそこで売らなければならないんだ。もちろん建前上は強制にはなっていないけども暗黙のルールみたいなものでね、あの受付の人は買い取るのもあるけど持ち出されない様に監視の意味合いもあるんだ。」

「だから入る時には誰も受付に来なかったんですね。次来た時に売るみたいな事はできないから・・」

「そう、受付の目を盗んで持って帰ったのが分かると色んな事をされ売らなければならなくなるらしい。」

「なんでそこまで・・」

「魔石を買い取ってる大本が国だからさ。魔石は魔導具やスクロールなんかにも使われているけども、使える様に加工したりする方法や販売経路は秘匿されている。色々な物に使えるから実際は莫大な利益を産んでいると言われているけど、国が独占状態だからね魔石の買取値段は上がらないのさ。」

「そんなのずるいです。」

「だけど実際そうなのかは分からないし、一人が声を上げても捕まってしまい何もできない。これもこの国の闇の一つと言っていいだろうね。」


 そんな話を聞きながら二人は街へとぼとぼ戻っていく。


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