山荘で
三話目です、これから話が転換していくはず?読んで見てください、どんな感想でもうけいれます。
マヤは夢を見ている。
唯一人立っている…どの方角をみても続く草原。
……もどって……どこにいるの?
誰かの声が聞こえた。
声の主を探して身体ごとくるくると辺りを見回し視界をかえるが、誰も居ない…、。
隠れているのかも?、マヤは走ってみた、草をなぎ払ってみた。
が、ただ揺れて倒れるのみで何者も回りに居ない。
あなたは……どこ?
再び声がする、今度は真後ろに走る。
踏み出した足は地面に触れることなく…マヤは何かに吸い込まれる様に消える。
━ 眼が覚める
ぱっと眼が開き、上半身が跳ね起きた、いつも居た殺風景な部屋でなかった。
マヤ 此処は……、
あ、そか外に出れたんだ…
昨夜はベットに入ると即眠った…、部屋を改めて観察してみると正面の壁には綺麗な絵と下の小台に花。
マヤ きれいなへや……、
あそことちがうなぁ…
左手側には大きな窓があり、窓の外のには森林が広がる景色が覗き見えている。
マヤ ここ山の中なんだ…
ぼんやり窓の外を眺めていると。
コン、コン、コン…ガチャリ
ノックが聞こえドアが開き三枝が顔を覗かせ、マヤが起きているのを確認すると両手に着替えを持って中へと入ってきた。
「お、ちゃんと起きてるね、これ着替えよ…
その服じゃアレだし…、私のお古で悪いけど」
マヤ 昨日助けてくれた人?
…何か違う感じ……
そう言う三枝の方も昨夜とは別人、黒服のスーツも良かったが濃い青のシャツに袖を肘までまくってあり下はカジュアルパンツに細いベルトで腰を締めている。
マヤ あっ!昨日と色違う…
黒と違うし…服、髪も感じが違っ…
三枝の姿をシゲシゲ見た後に顔を下げ自分の服をじっと見て、白一色で洒落っ気の無いことに凹む。
マヤ 私のと…違うなぁ…
この服…やだなぁ…
組織の施設で着せられていた物でまるで昔の飾り気の全くない白一色の囚人服にすら様にダサイ。
マヤの態度を見て三枝はあぁ成る程と気づく。
《ふふっ!やっぱ女の子ねぇ 》
「そんな顔しないのっ、ほらっこれ着たら変わるからっ」
三枝は持ってきた着替えを白いテーブルに置いてくれた。
マヤ ありがとう
声の出ないマヤは態度で示すしかなく、ベッドの上でぺこりと頭を下げる。
「着替えたら、みんな待ってるから下に来てね、
それと…脱いだ物はそこのカゴに掘り込んどいてっ」」
そう残し後ろ手にドアを閉めて…。
パ…タン、ガチャ!
「忘れてたっ!食べる物もあるから!」
即ドアが開かれ顔だけ覗かせ告げて、再度ドアを閉めて下へと行った。
ベットからマヤが這い出てくるっ、トコトコとテーブルまで進み、両手で置かれた着替えを取り上げ目の前で広げ見つ目入る。
マヤ わぁ可愛いこれぇ、そうだ…、
映像の人もこういう服着てたなぁ
気に入ったらしい、そそくさと修道服を脱ぎ捨てた。
2階から階段を降りてくる三枝の姿が現れる。
「彼女どうだった?起きてたかあ?」
北条は飲んでいたコーヒーカップを口から離し一言声を掛けた。
「ええ、起きてたわ着替え渡してきたから…もう少ししたら来るんじゃない?」
「そうか…それじゃそろそろ… 」
今一度口にカップを持っていきかけて、待てよ?と動きが止めた。
「…って昨日の服のままじゃ無い…よな?」
階段下まで降りてきた三枝はキッチンへ歩きながら、。
「そんなわけないでしょ!
私の服でサイズの合いそうなやつを渡してきたわよっ!」
「だよな、あの服はないわ」
空中で停止状態のカップを口に戻す。
コーヒーメーカーからカップに注ぎ両手にカップと皿を持ち戻ってくると、北条とは対面となる席でそれを置くと木製の椅子を引いて三枝は腰掛ける。
一口飲んでからふと博士の姿が見えない事に気が付くと口から離し、カップを持っていた左手を下ろしながら博士の居場所を北条に問う。
「あれ?そう言えば高瀬博士が見えないけど?」
部屋の中をひとしきり見渡すが、やはり見えない。
「あ-、あの先生なら…アッチ…」
顔をプイと外のテラスへ向け場所を示す、三枝の位置からは死角になる様だ。
トン・トン・トン ・トン ・トン
話の途中で階段を降りてくる音が聞こえる、マヤが着替え終えロビーにやってきた。
可愛くぺこっ、とお辞儀する、北条からじーっと検査でもする様な観方をされて顔を俯け少し後ずさる。
マヤ 睨まれてる、わ私じゃ?
似合無い?…のかな?
「ちょっとお!コウテン!!、そんな観方しないっ!」
肩襟掴んで捲し立てる倉崎三枝が居る。
「ああ、いやちが違う、違うって!」
「もういいから!、あっで高瀬博士と話をしてきて、
私もマヤちゃんに朝食出したらいくから!」
掴んだ襟を放してしっしと手を振る、これではどっちがリーダーかわからない。
マヤ こ、この人見た目より
ちょっと怖いかも?
激しく北条を責めてる三枝を見てもう一歩後退った影にチラリと目をやると、クルッと顔を向ける。
「マヤちゃん今朝食出してあげるからねっー」
満面の笑顔いっぱいで告げると朝食を取りにキッチンへとさささと消えていく。
マヤ あの笑顔がぁ、
やっぱりこわぁ
マヤに愛想を振り撒き三枝が朝食を作り始めた頃、北条はテラスの高瀬が立っている傍へと着く、近付いてくる足音に振り向く高瀬に対し、テラスのテーブルへどうぞと誘い二人は席に着いた。
「アレに追い出されましたよっ」
「あはははは」
「全くっどっちがリーダー何だか!」
出だしの社交辞令はこんなもんかと咳払い、北条が話を切り替える。
「ううんっ!、それでは早速ですが……<マヤ>、彼女は何者ですか?」
「!!」
組織の事を真っ先に聞くのでなく、何をやらされて?でも無く、
<マヤ>とは何者かときた。
「むう、直球かね?」
「ええ、私が受けたのは博士1人と何か大切な<物>でした。
けど実際に降りて来たのは…<2人>に変わってた…
これは一体どういう事なのか?…ご説明頂けますか?」
「………」
高瀬雄二は眼を閉じ、腕を組みじっと考え込む、かなりヤバイ組織なのは下調べの際にある程度の事は分かってはいたが……。
「ではちょっと質問を変えましょうか、高瀬博士」
高瀬は閉じていた眼を開け返事。
「博士はいらんよ高瀬でかまわんよ」
「…解りました、では高瀬さん…貴方はあの組織で何をやらされてたんですか?」
「北条君…、その質問と最初の質問は…、ほぼ同じ事だ…、
彼女<マヤ>は確かに普通と違う、何処にでも居る十代とは…
<声が出ない>という事など比較に成らない位に…ね」
「今さっき、少し応対しましたが…
そんな変わってる風には観えませんでしたが…?」
「うむ、見た目は確かに至って普通の女の子
には違い無いのだが…問題は……」
再び眼を深く閉じてしまう。
《どうやら一筋縄では話してくれそうにない…な
これは…話して消されるのを恐れてるのか?》
北条は固く口を閉じている高瀬に更に違う質問を投げ掛けて見る事にする。
「高瀬さん、そんなに頑なのは、話すと殺されるからですか?
もしそうなら…ご安心を我々の……」
言葉は遮られた、高瀬が手のひらを向け制した為に。
「怖いのは殺される事では無い!、私が恐れているのは……、
君らが私達を連れ出した組織の
連中と同じに成るやも知れんからだ 」
「ぬ!!」
自分達も疑われているのかと一瞬顔が強張る高瀬。
「いや!決して君らの力や助けてくれた
善意を疑っている訳ではない!」
「では…一体何をそんなに恐れて警戒してるんですか??」
もう高瀬は目を閉じていない静かに話しを続ける。
「君や倉崎君?だったか、二人だけなら信用できる…、
あの地下施設に進入出来た事、疑われる事無く私の事を調べ接触、
更に移送監視役にすら化けてみせ、一連の偽装した行動で私とマヤ
2人を無事に救出を成功させた事……」
ゆっくりと話す高瀬をテーブルに両肘を着き絡ませた両手指を顎に当て、
やや上目な目線で北条は聞いている、途切れた言葉が次に何を語るのか?
しっかり聞き洩らさぬ様に。
高瀬は止めた言葉を続け始める。
「こんな高難易の事をやってのける人材を集めてる集団だ、
君達のグループが件の組織に負けない規模の組織力があるのは…
火を見るより明らかだよ、それ故に怖いのだ……」
高瀬も真直ぐに北条の眼を見据え、話の続きしていく。
「もし、もしも秘密が全てが明かされ解かれたら、
もしも彼女らを誰かに悪用されたりしたら………」
悪用と聞いて北条の眉間が寄り絡めた指にも力が入る、次の言葉を待つ、
鋭い視線が語り手を刺す。
「世界は唯一つの悪意の根源の元に支配され……下手したら終わる!」
「なっ!!!」
絡めた指は解かれ手のひらも離れ、前のめりに成っていた半身もスッと起きた。
《そんな…馬鹿なっ! たった一人の女で
世界が終わる だとっ!》
相対して眼前の相手を無言で見据えたまま、しばし時間が流れる……。
木々の間で小鳥の鳴く声……。
「ふぅー、分った。君にだけ話そう!但し絶対、
何があっても口外しないと約束してくれ!!」
「分りました!絶対に口外しない事をお約束します」。
そして、北条にマヤの秘密を語り始める。
と、ログハウスのテラスで高瀬雄二が俄かには信じられない様な話をしてる頃、
室内方では…。
「はい!朝食よっ!」
機嫌良く料理を運んでマヤの前に置く。
ピザトーストだ。
パンにバターとケチャップが塗ってあり、輪切りのピーマン、玉ネギの薄切り、ハムの短冊切りされた物が乗って全体にチーズがまぶしてある。
マヤ うわぁ、何か好いにおい…
なにこれ美味しそぉ
即、手を着けると思いきや、うつむき眼を閉じ左手を胸に、右手をほんの軽く握りかけで額に当てそのまま静止した。
《ふーん、クリスチャン系の育ちなのかなぁ?》
まぁどう見てもお祈りだが、口は閉じられたままで30秒程静止状態が続き終わった。
そっと手を出しピサ゜を掴んで口へと運ぶ。
マヤ これ凄いおいしーぃ!
《ふふ、気に入ってくれたかなぁ これは》
マヤが美味しそうに食べてくれたので倉崎三枝はご満悦であった。
一枚の食パンを二つに切った一つをあっという間に平らげ、二つ目に手を出し付けている。
マヤ こんなの久しぶりに食べたなぁ……
って…あれ?こういうの食べた事…あった??
テーブルに片肘ついて、手の上に顔を斜めに乗せ眺めていたが、あっ!と大きく目と口を開け。
「あああ!ごっめんねぇ飲み物わすれてたっ!!」
椅子を後ろに弾き飛ばし立ち上がりる三枝、キッチンへ脱兎し腰を角で打ち付けた。
「いっ痛ああ!!」
左腰を抑えつつしゃがみ込む三枝…。
マヤ ぷぷぷっ、意外とドジな人だっ
キッチンからジュースを急ぎ持ってきた時には既に食べ終わっていた。
「あらぁ、ほんっとごめんねぇ、食べ難くなかったぁ?」
ぶんぶんと真横に顔を振って。
マヤ ぜんぜん、大丈夫ですっ!
食べ終わった食器を取り、再びキッチンへと歩いて行くのを眺めながらストローを口にするマヤ、見る見る内にコップの中身が減っていく、ズッズズッと音を立てて遂に無くなった。
マヤ これも、おいしかったぁ
っと、ガラスのコップをトンと置いたときに感激で口が開く!
大きく息を吐き出すくらいに。
倉崎三枝は既に食器皿を洗い終え棚に置いている時。
パーン!
《ん?何?今の音》
後ろで何かが割れる音がして後ろを振り返ると、一体何事かと見に行く。
「今何か、音が…」
テーブルの上に目がいく、粉々になったガラスが飛散していた……。
マヤ いけない!!、あの人に…
あんなに注意されてたのに……
「って!マヤちゃん大丈夫?怪我してない?」
コクコクと首を縦に動かし答える。
「危ないからちょっと退いててね」
飛散したガラスの破片を雑巾で集め、受け皿に回収しながら。
< けど…変ねぇ?……コップにヒビ入ってた?……
にしても、こんな粉々に割れるなんて……
まさか、コップを握って割った?……
あははは!ばかばかしい!あの子怪我してないし! >
ガラス片を取り終わると事の次第を有耶無耶のままその場をすーっと離れていった。
マヤ もっと気を付けないと…
迷惑掛けちゃう……それに…
悲しく辛そうなマヤの顔して見送っている。
立ち去る三枝の後姿はそれを見る事は無かった…。
内外とそれぞに事が進んでる、その外の方では遂に高瀬が口を開いていた。
そして全てを話し終え開いた口を閉じた。
「これが今私が知っている彼女の全てだ…が、まだ隠された物が間違いなくあるはずだ」
高瀬からの在り得ない話を聞いて、呆然となるが…。
「馬鹿な!そんな事が有る筈が……」
「いや、嘘ではない事実だよ、私は実際に何度も……」
---やべぇ!!、コウさん!
すぐに!下にきてくれぇ!!
連中が、ここをみつけちまった!----
装飾に似せた小型のスピーから声が流れた。
「くそっ!!」
椅子を跳ね飛ばし立ち上がる。
「私も…」
「どうぞ!一緒に、こちらです」
なかへと走り出す二人、後には飲みかけのコーヒーカップと倒れた椅子が転がっている。
読んでいただいた方、ありがとうございました。
感想を頂ければうれしいです、今後のはげみとします。