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PCcontrol  作者: 枕木碧
第一章 旧東京→旧岐阜編
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第08話 初見

 あのロボットの大群には骨がおれた。僕は、少し休憩することにした。さすがに先の戦闘の疲労がきたのだ。木陰に座ると、心地よい風が僕の頬を撫でた。目を閉じて、まるで心の充電でもするかのように僕は大きく深呼吸した。

 そうしていると、森の奥のほうで何かが動く音がした。また、ロボットが来たのか。銃を瞬時に構える。

「おいおい、物騒なもの構えるなよ。俺は、人間だ。わかるか」

緊張を少し解いて、対象物を見ると間抜けな顔をした5、60歳くらいのおじさんがいた。間抜けとか言ったら怒られてしまうだろうが……。

「あなたは」

「俺か、この先の高山ってところに住んでいる者だ。生き残りだよ」

「あ、あなたが」

意外と簡単に会えてしまった。うれしいが、ここまでうまくいくとは。入口を探す必要がなくなった。

「あの、僕はcrawl旧東京本部所属カンジと申します」

「ああ、人工知能に対抗しているっていうあのcrawl。で、そんな人がこんな場所で何を。この辺に支部はないでしょう」

「ええ、しかしいろいろとトラブルが起きまして、今僕一人しかいないんです。それで、人類の生き残りがここに集まって住んでいると聞きまして」

「成る程……。俺の独断で決めることはできないから、とりあえず入り口付近まで来てもらえるかい」


 というわけで、僕たちは高山に向けて進み始めたのだが――

「この道って?」

「ハハハ、獣道みたいだろ。草がぼさぼさに生えていて」

「はい、どこも地面は土ですけど、ここまで草だらけなのは初めてです」

「森の中だからってこともあるが」

そう言いながらおじさんは、上から垂れている草をよけながら進んでいった。

「そういえば、あなたのお名前を聞いていませんでした。教えていただいてもよろしいですか」

「俺の名前か。いいぜ、別に。俺は、マカヌケだ。今さらだけどよろしく」

ええ、“カ”抜いたらマヌケじゃないか。思わず吹き出しそうになった。

「はい、よろしくお願いします」

ところで、この人はロボットに出くわしたとき何で戦うのだろうか。見る限りでは、弓があるからこれで戦うのか。鉄を貫くほどの力があるとは思えないけど……。

「ここから崖になっているから気を付けて」

「なんで、こんなに険しいところを通るんですか」

「なんでかって。簡単だよ。理由は二つ。一つ目は、とっちの道のほうがロボットに遭遇しにくいから。険しいところでは奴らは思うように動けないからな」

確かに、苔で滑るし。僕はあたりを見回して納得した。

「二つ目というのは」

「二つ目は、高山への近道になっているからなんだ」

「成る程です」


 それから、十数分ほど歩くと大木の根本でマカヌケさんは止まった。

「さぁ、ついた。ちょっとここで待っていてくれ」

そういうと彼は根本の穴へ入って行った。

なかなか出てこないな。何してんだろう。そう思って穴を除いても真っ暗で何もわからない。

 獣の唸り声が聞こえる。何だ、何が来た。思わず銃に手が伸びる。

 次の瞬間……。

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