151.ハックバール竜穴③協定と出発
礼竜が無事にこの地へ封印されたことを見届けたオレたちは、祠のあった上層階層へ戻った。そして祠がある野原からやや下って進んだ場所にある、位置的には森のさらに奥の遺跡で一夜を明かした。
ずっと洞窟内にいたから昼夜の区切りがイマイチ判断付きにくいけれど、ラヴィーアとカルクスが夜だと言うならばそうなのだろう。
古い遺跡の街並みは祠と森を中心とした城下町みたいな造りを思わせた。一般的な町とは構造が逆になっている。
街は圧倒的に古く、傷んでいたけれど陽や雨風に晒されてない分幾らかはマシといった具合だ。遺跡にあった家の幾つかは簡易的に修復されていた。カルクスが手入れを行ったに違いない。
その夜泊まったのは、多分昨日カルクスがオレたちをもてなす為に調理を行った家屋だろう。まだ匂いの断片が佇んでいたからだ。
カルクスに腕を刀で切断されて、供物として礼竜に捧げたガンク。
主がいなくなった神殿みたいな大広間で、最後の後片付けが終わる頃にはガンクの悲鳴は収束していた。顔中だけでなく全身に汗をびっしりかいて、未だに痛がり震えていたけれど。
ラヴィーアがそんな様子を見て、「峠は越えた」と告げたのだ。
え、峠って……。死んでたかもしれないのか?
そんな疑念が頭を掠めたけれど、何はともあれ大丈夫そうならそれでいいと思うことにした。オレにどうこう出来ることでも出来る相手でもないから。
夜半過ぎまで時折波のようにやってくる激烈な痛みに体を曲げて、油汗をダラダラ流していたガンクは文字通りの汗と血の水溜まりを作っていた。
だけど次第にその痛みが薄れ和らいでくると、静かな寝息を立て始めた。
流血が止まり、それどころか蒼白かったガンクの顔が赤みを増して急速に安らいだ表情へ変わっていったのだ。薬も魔法も使わずにこんな大怪我の状態で一体どういう治癒経過なのだと問いたい。上手く理解出来ないけれどラヴィーア曰く、そういうものだから放っておけ、ということだから仕方無い。
けれど、何よりラヴィーアの方が一番厄介だった。
カルクスがオレたちへ休む為の場所を案内してる最中も、赤い海の中に光るオニキスみたいな彼女の瞳はギラギラしっぱなしで、獰猛な素振りを見せていたのだ。
カルクスが、「ガンクさん方を案内したらラヴィーア様、すぐ致しますから堪えて」と何度も彼女に言い聞かせていた意味が理解できたのは、痛みに苦しみ暴れるガンクをやっとの思いで布団に寝かせ、全員で囲んでガンクの血と汗を拭いていた頃のことだ。
外から大音量で、「ピャッ!」とか「ピャン!」とか「ピャロォ~ン」といった聞き覚えある艶かしい鳥の甘い声が届いてきた。
ガンクがこんな状態なのに、何やってんだよ……。
止まない鳥の淫らな囀りにイルマがそわそわし始め、ナノが「淫乱鳥め」と舌打ちした。コルテは何故か楽しそうだった。
この階層は動物類も虫もいないみたいだから、たとえ離れていても遮る障壁が無いためにとんでもない大音声で聞こえてしまう。
断続的に届くラヴィーアの喘ぎ声でナノのイラつきが限界値を突破する前に、イルマが音を遮断する結界を張り巡らす道具を使用した。「高価なのだぞ。こんな使い道をするとは」と、ブツブツ漏らしていた。
そして翌朝。
「痛みは無いのか?
ちと理解に難い回復なのだが」
「ああ。痛みは引いた。不思議だけど礼竜のおっさんの力じゃねーかな。
それより痒いんだよ」
そんな声に目を覚ました。顔を持ち上げ見ると、動いているイルマとまだ寝たままで毛布を被ったガンクの二人が話していた。
ガンクは昨日のことが嘘のように血色の良い顔をしている。心配したイルマがどうやらまだ寝かせているようだけれど。イルマは朝食の準備に取り掛かっているらしい。
丸く拵えたオレの毛布の中でひとつ背伸びをして、ガンクの腹の向こう側まで跳躍したオレは彼の左手の方へと回ってみた。
気になってたからな。ガンクは一夜のうちにどう変化したのか、恐る恐る手で左腕を押してみる。するとそこには、無くなっている筈の左腕の感触があったのだ。
「おいランド、触んなよ。痒いんだってば」
〔ガンク、心配したんだからな、死ぬんじゃないかって。めちゃくちゃ痛がってたんだぞ。ホント良かったな〕
「んー、そうかそうか」
ガンクは言いながらひとしきりオレの身体を撫でつけてくれた。右手を使ってだ。
隠されているみたいで、毛布の下にあるであろう左腕が執拗に気になってくる。
「おい、ランド!触んなって。痒さ増すだろうが」
「痛みが治まったならそれはいい。しかし痒いとはな。治りかけなのか。いや、もしや拒否反応ではないか?
ちと見せろ」
「どうだかな。分かったってば。
なぁ何か薬ねーか?痒み止めとか」
ガンクがやっと毛布から左腕を出した。何も着けていないその剥き出しの腕は、白磁のような白さが目を引いた。
横でイルマが、「礼竜…白竜の腕か」と呟きを漏らす。
近付いてオレもつぶさに確認してみた。
まず際立つ白さは純白で新雪のようだ。それなのに、その肌の白さを感じても女の肌みたいに下に血管が透けて見えるような薄い肌じゃないってことが分かる。厚みがあり弾力もすごい。形は人間の腕なのに、人間の腕とはまるで違う。
それにガンクが爪でガリガリ引っ掻いても掻き傷が付く気配がまるで無いのだ。肌というより左腕自体が物凄い頑丈になっている証拠だ。
「なぁイルマ、薬出してくれよ頼む」
「ふぅむ、ラヴィーア様に尋ねてみぬとな。何もしてやれん。しばし我慢しろ」
「えーマジかよ」
「しばらくは左手を使うなよ。何がどうなるか解らん内はな。確りと試してからにしろ」
生臭い臭いもしないし、もちろん竜っぽい臭いもない腕だ。大きさも右腕と変わらないし、左腕だけ魔力が凄いことになってるとかもなさそうだ。
「……しかし、右腕と比べると不釣り合いだな」
「俺も思った。まぁ生えたてだし日焼けするだろそのうちに」
能天気にガンクは言って、右側と同じく左腕も小麦色の褐色具合を想像していそうだ。けれど、ちょっやそっとじゃ傷も色も染みも付かなそうなどえらい腕だとオレは思うぞ。
「あー寝不足。頭痛い」
「おうナノ。えれー顔だな大丈夫か」
二階から降りてきたナノはイルマに、「エロ鳥のせいで最悪よ。寝付けなかった」と溢し、乱れてボサボサの髪を梳かしながらガンクを見やるとすぐさまその左腕に注目した。
「キャー!
ちょっとガンク! 何よこの左腕めっちゃ肌白くてきれーじゃない」
「何だよ朝からうるせーな」
気怠さから一転してガンクの左腕に飛び付き、興味津々とばかりにぺちぺち触ったりつねったり色々と吟味し始めたナノだ。
「いいなー。何で礼竜様アタシじゃないかなー」
「ナノ、お前は呪いがあるとかそんな話だったろう?
コルテはどうした、まだ寝てるのか?」
尋ねながらイルマはコルテの分を含めた全員分の朝食を用意しているらしい。美味しい匂いが食道の方から漂ってくる。
「えー思うんだけどラヴィーア様なら呪いもなんとか出来たんじゃないのー。
コルテは起きたらいなかったよ。散歩でもしてるんじゃないの」
「阿呆。ラヴィーア様を何でも屋みたく頼れるような存在だと思うな。
チッ、ではいつ戻るか知れんな。冷める前に食うか。ナノもガンクも準備しろ。ランドもだ」
ちぇー。コルテが朝の散歩に出掛けてるって聞いたからオレも少し走りに行こうとしたのにな。残念だ。
よし。まずは腹拵えだな。
カルクスがドレス姿のラヴィーアを伴い、祠へ姿を見せたのは時間的には昼前頃のことだ。
オレたちは予めぶらぶらと遺跡の古い街並みを見てみたり、昔の集会所や商店街区域を適当に探索したり、だらだら過ごしながら礼竜の岩の祠へ集まった。
見上げると太陽の光に似た水面の煌めきが空にあった。そこには何匹か魔化コッコーの姿が影のように浮かび移動する仕草が見てとれた。
もしかしたらコルテは魔化コッコーの世話に上の湖面の階層へ行っているのかもな。そう思っていたらコルテはいつの間にか岩の祠に来ていたんだけれど。
「みなさん。昨夜はよく眠れましたか?
ガンクさんも無事腕が戻ったみたいで良かったですね」
「ああ。
ん?……今日はクソ鳥、服着てんのな」
オレたちが岩の祠で思い思いに過ごしていると、休日の仲睦まじいカップルのようにカルクスとラヴィーアはふらりと姿を見せた。
そう、ラヴィーアは昨日は素っ裸だったのに今日はドレスを着ているのだ。シンプルで装飾が弱めの落ち着いた色合いをした鳶色の細身のロングドレスだ。
「ピャロッ、どうだ童、似合うか?」
「え、あ、ああ」
「こらガンク! 『ああ』じゃないの。
似合ってるよ、ラヴィーア様。どうしたのそのドレス」
ガンクはもしかしたら何も身に付けてないラヴィーア様の方が良かったのかもしれないな。おっぱい隠れちゃったしな。
「ピャロロロロ。
明け方にコルテ嬢が来ての。我の為仕立ててくれたのじゃ」
ラヴィーアは、方々へドレス姿を見せて上機嫌になっていた。隣のカルクスは隠している様だけれどやや精気が薄い面構えをしている。夜の間に散々ラヴィーアに付き合わされ、色々と抜き取られたんじゃないかと少し心配になってしまった。
目の下にクマを作ったカルクスは、「コルテさんがフラりと立ち寄られまして」と話し始めた。
彼が言うには、ガンクが礼竜から力を貰った感謝と今後の為に、すぐ出来てしまうからと持ち合わせの生地でドレスを一着仕立てさせてほしいと進言してくれたそうだ。
「そーなんだ。コルテ気が利いてるね。
朝見当たらなかったから、てっきり散歩か鶏の世話にでも行ったとばっかり思ってたのよ」
「うふふ。大変だったのよ。おかげでちょっと眠たいわ。でも素敵よ、ラヴィーア様。似合ってますわ」
「ピャロロロロロ」
金の羽根をバタつかせて喜ぶ姿を見せているラヴィーア。その光景を観ているだけでも本当に神様級の化物なのかと疑わしくなってくる。けれど今は魔力を押さえているだけだとちゃんと分かる。試しに少しでも力を探れば止まらない震えに苛まれてしまうんだから。
恥ずかしそうに頬を掻き弁明するカルクス。曲がりなりにも男女の仲なのだから不甲斐なく感じているのかもしれない。
「姿をより鳥に変えることもできますし、私としたことがラヴィーア様に着衣して頂くという発想にまったく及びませんでした。女性の感性には驚かされます」
「ふふ。男はそんなものよ」
得意そうにお茶を啜るコルテ。カルクスが話してる間にガンクの左腕を掴み上げ検分していたラヴィーアは言う。
「ピャロロ。
して童、腕は無事生えた様じゃな。……確りしておる」
「腕は戻ったっつーか、白い腕になってるけどよ。めちゃくちゃ痒いのどーにかなんねぇか」
「為らぬ。竜の力秘めし神の腕じゃ。効く薬など有るか?」
ラヴィーアはガンクの腕を放り、鳥が枝から枝に移るような素早い動きで空いていた椅子の背に止まる。
イルマが、「有る筈無かろう」と馬鹿馬鹿しそうに答えた。考えてみても、神様にも効く痒み止めってどんな薬なんだろうか。
「融合に近い、いえそれ以上の結び付きですからね。もしかしたらしばらくはその痒み続くかもですね」
「冗談じゃねぇよ。掻いても掻いても治まんねーしクソ」
うーん、ガンクの右腕じゃ左腕にダメージを与えられないってことか。難しい身体になっちゃったな、ガンク。
カルクスが言う。
「バタバタしてて失念していましたがイルマさん、これ」
「む、協定か」
「ええ。ガンクさんも、皆さんも一応目を通しておいてくださいね」
カルクスが自身のアイテム袋から出した用紙は下の方にメールプマインの印章が捺された用紙だ。
先にカルクスが書き上げ、イルマが添削するように協議した結果の協定書が出来上がりを見せた。そのラヴィーアとガンク組で結んだ協定はこんな事柄が記載されていた。
『友好的相互支援協定書』
ラヴィーア及びカルクスと冒険者ガンク,イルマ,ナノ,ランドは今後発生する如何なる危難において相互協力の基本的合意を考慮し、下記の通り協定する。
第一条 ( 目的 )
この協定はラヴィーア及びカルクスと冒険者パーティーガンク組との友好的相互支援また信頼的協力関係を維持すると共に、恒久的関係性の構築を目的とする。
第二条 ( 定義 )
この協定において友好的相互支援とは、下記の各号のうち一つに該当するものをいう。
・ラヴィーアが召集命令を下した場合。
・カルクスが必要性を覚え、またそれをラヴィーアが認可した場合。
・ガンク及びガンク組メンバー何れかが必要性を覚え、ラヴィーア及びカルクスが認可した場合。
第三条 ( 期間 )
この協定において期間の定めは、締結日より無期限のものとする。但し、一方的にラヴィーアの要求により破棄出来るものとする。
第四条 ( 範囲 )
この協定が有効となる範囲はアーバイン王国に留まらず、世界全体及びあらゆる事象を対象とした行動可能領域を範囲とする。
第五条 ( 資金 )
相互的支援に関する経費において、カルクスが申し出る場合を除き、原則としてはガンク組が負担する。
第六条 ( 協議 )
この協定の実施に必要な追加を要する事項又は、この協定に定めのない事項においては、その都度ラヴィーア及びカルクスまたガンク組代表者が協議して定めるものとする。
……うーん、オレにはだいぶラヴィーアに都合がいい内容がずらずらと記載してあるように思うのだけど。どうなんだろうな。
同じことを思っているらしいイルマも仏頂面である。
「仕方有りませんよ。これ以上の譲歩は出来かねます。ラヴィーア様ほどの尊い方とこうやって協力体制をとれるんですよ。一体イルマさんはこれ以上何を望むんですか」
「むぅ……。
おい、ガンク。我がリーダー!これで良いか?」
「あ? ああ、いいんじゃねーのか」
ガンクは熱心に左腕を掻くことを諦め、何やら集中し始めた。その結果、魔力を腕に流すと痒みが治まる不思議な左腕になったようだ。
その様子を眺めながらラヴィーアが話し掛ける。
「童、旅の最中我に話が有る際は左腕の小指に話し掛けよ」
「小指? うわ、何だよこれ、この指だけ薄ら金色だ、気持ち悪ぃ」
イルマが、「ちゃんと見ろガンク! 大事な事だ」とガンクの肩を揺すった。当のガンクは、「気味悪いとは!」とむっとしたラヴィーアに左腕を足で掴まれギリギリと締め付けられている。さすがにこれは痛かったらしく、「痛ぇぞクソ鳥!」と叫び声を上げ、「痒かったならちょうどいいじゃん」とナノに笑われていた。
コルテはイルマに、「まぁこんなもんでしょ。神様相手なら」と肩を叩れた。
落ち着きを見計らってカルクスが口を開いた。
「では協定はこれでよろしくお願いします。今後も協力しあって参りましょう。
後は、コルテさん。ラウルトン氏でしたか? メールプマインに戻る機会はいずれ早々に来ると思いますので、その際には面会を申し入れる所存ですので」
「何故ラウルトン氏を。コルテ、……話したのか?」
「ええ。
既に彼は、いえ彼女らは優秀で超強力な貴方たちの支援者よ。ラウルトンもまさかこんな最高の有力者と支援体制を結べるなんてと喜ぶと思うわ」
「……まぁいいが。あまり勝手に暗躍してくれるなよ。事が変に大きくなりそうだ」
コルテは、じとりと睨むイルマを鼻で笑いながら、「うふふ。さてどうかしらね」と相変わらず楽しそうだ。
その後、オレたちはラヴィーアとカルクスも交えて昼食を取った。昨日の食材の残りが多くあった為、これからの旅の保存食に役立てられる分も賄えるほど十分な量があった。
そして今、オレたちは魔化コッコーに乗りハックバールの砂漠に立っていた。
最初に訪れた時には、クレーターのてっぺんから絶えず流砂が外側へと流れ落ちてきていた。それが今は止み、辺りは魔物の気配も無い静かで幻想的な夜の砂の海が広がっている。
砂がクレーター頂上から溢れていたのは礼竜の力が弱まっていたからで、封印された今では流砂はおろか人すら住みやすい土地へと急速に変化していっているという。
今、ラヴィーアはオレたちがこれから進むであろう進行方向に沿って魔物を蹴散らしてくれている。ドレスのお礼だそうだ。
その彼女が帰還する気配を察知したらしいカルクスは言う。
「終わったようです。
では皆さん、お元気で。気を付けて」
「ああ。カルクス殿もな」
イルマとカルクスが握手を交わす。オレたちは全員魔化コッコーに乗っているから、砂地に立ったカルクスを見下ろす位置にいる。
「ありがとな。色々と助かったぜ」
「いえ。でも本当にいいんですか?
暫くの間でしたら随伴しても全く構いませんよ」
「いや、気持ちだけもらっとくよ。これは俺たちの旅だし調査を任されてるからな。
それに、もし本当に危なくなったら呼べば来てくれるんだろ?」
「勿論」
ガンクは左手の小指をぴこぴこ動かした。その仕草を見て唇の端を吊り上げカルクスが笑い、互いに握手を交わしている。
ナノにもコルテにも、同様に握手を交わしていきそれぞれに、「真竜の巫女様、自らの道を突き進んで下さい」と、「ラヴィーア様に素敵なドレスをありがとうございました」と伝えていく。
ナノの前で同乗しているオレも手を伸ばしてカルクスさんと握手した。彼は、「黒毛の可愛いランドくんも、みんなを助けてあげてね」とオレの左手を掴んでくれた。
星の無い夜空に金色の翼が舞う。鳶色のドレスを纏ったラヴィーアは空で優雅に踊るダンサーのように華麗に旋回して、金色の翼を靡かせオレたちの前に舞い降りた。
「別れじゃ。カダストロフまで道は作った。
主らは細いが、大きゅうなるじゃろう。楽しみじゃ。
ピャロロ。世を広く見聞きせよ」
そう言うとラヴィーアとカルクスは掻き消えた。後にカルクスの言葉だけ残して。
「ガンクさん。新たに強力な強さを得たら、人はよく大切なものを損ないます。そうならぬよう気を付けて。力を御した分だけ他者を受け入れてください」