分岐〜天国か地獄
クリスマスも過ぎ、明日を大晦日に迎えた12月30日、私は競輪のグランプリという競輪の最大のレースに人生の全てを賭けることにした。
車も売ってしまった。
楓も居なくなってしまった。
仕事も辞めた。
私には何もない。
このレースに全てを賭けよう!
私の最後には相応しい。全くといってやったことがない競輪に今、持っている全ての財産を賭ける。
多分当たらないだろう。
自分でもそんな気がする。
今の私に運が残っているとはとても思えない。
それでも、このまま普通に生きていく気力もない。
「外れたら死のう。」
私は決意していた。
借金がない今が引き際だと。
私の35年と半年の人生、楓と出逢えたことが全てだった。
思えば気が小さい私は今まで生きてきて楽しいことなどなかったような気がする。
人の顔色ばかり気にして、自分の意見も言わず、人付き合いも出来なかった。
楓が全てだった。
楓が居てくれるのならそれだけで良かった。
今頃気づくなんて。
仕事なんか何だってよかった。
ギャンブルなんてしなくてもよかった。
ただアナタに側にいて欲しかったんだ。
いくら後悔しようと時間が戻ることはないんだ。
今という現実を受け止め今ある様々な人生の分岐点から1番の道を探さなくてはいけないんだ。
たとえ誤った分岐を選んでしまったとしても、次の分岐で正しい道を選んで生きていかなきゃいけないんだ。
私は人生の分岐を誤ってしまった。
きっとこれが最後の分岐になるだろう。
その最後の分岐がギャンブルというのが私らしいのかもしれない。
当たれば車を買い戻し、仕事を探し落ち着いたら楓に会いに行こうと思う。
たとえ楓が戻って来てくれなくとも会いに行こう。
外れれば私の人生に終止符を打とう。
なんて勝手で自分よりの意見だと思う。
それでもこれが私が侵した過ちであり答えなんだ。
明日は大晦日。
新年を私は迎えることが出来るのだろうか。
もうすぐレースが始まる。
待っているのは天国か地獄か。
数分後には全てが分かる。
そして・・・・・・。
レースは始まった。
・・・・・・私は・・・自分が選んだ・・・・・・分岐の・・・・・・・・・答えに向かって・・・・・・歩き出した。




