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ロウソク

作者: 田芥子 みり

浴室の電気が付かない

そうだ 今日はロウソクを使ってみよう


青い硝子のグラス 赤い硝子のグラス


それに覆われた小さなロウソク

仄かな灯りでワタシを照らしてくれる

付かない電気が無くとも、とても安心する


青い硝子のグラス 赤い硝子のグラス



それに覆われた小さなロウソク

仄かな灯りでワタシを包んでくれる

昔の人は、みんなこの灯りの中にいたのかな?

いたんだね


静かに湯船からロウソクを見よう

ユラユラ ヒラヒラ ユラユラ

儚くも確かにある暉


見つめると何故か心が安らぐ

人工な目に痛い光りなんかよりも、優しくて


青い硝子のグラス 赤い硝子のグラス


それに覆われた小さなロウソク

仄かな灯りでワタシを見守ってくれる

そろそろ出なきゃ


体を吹いてタオルを巻いて

さあ ロウソクも出る時間

ふう ロウソクの灯を消そう


その時

小さい頃のお誕生を思い出した

真っ暗な部屋 仄かな灯りのロウソクと照らされるケーキ

家族に見守られ灯を吹き消した

その時に

立ち上るロウソクの芯の香り

好きだったなぁ いつからロウソクを吹き消してないかな?

好きだったなぁ あの香りと家族と迎える誕生日


気が付けば 誕生日なんてやらない年

当たり前なのに とても苦しくって悲しくて切ない……


昔に戻ってみたいなぁ と思う心をそっと閉まっておこう

ワタシに子供ができたら 姉の子供がロウソクを消せるようになったら

また この香りを嗅いでみよう

きっと また切なくなるかもね



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