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あの空を目指して  作者: 白波
壱章 犬の国編
9/12

4.村長さん宅の朝ごはん


 食べるという行為は、どのような生物でも必ず行っている行為である。


 食べると言うことは、すなわちその生物や植物の命をいただいているということだ。


 だから、その命やおいしく調理してくださった方に感謝の意味を込めてこう言おう。


 「いただきます」


 御犬歴1822年 村長(当時)ポチの発言より抜粋





 美空が起きると、机には朝食が並べてあり、村長さんや磯貝博士が席について待っていた。


「おぉ美空君か! ちょうどいいところだ! 君も席につきたまえ!」


 磯貝博士にうながされて、美空も席についた。

 今、磯貝博士と美空が泊めさせていただいている村長さんの家は、村で一番大きく、部屋数も多い方だという。

 その理由は、至極単純で村長さん一家が大家族だからである。


「おんやぁ…あなたが美空ちゃんかい? ごめんねぇ…昨日は調子が悪くて…。」


 美空に声をかけたのは、村長さんの母にして、村一番の長老であるチヨ。御年98歳ののおばあちゃんである。

 なお、この世界においては、"犬が人間同様に進化をした"世界なので、寿命や身体能力も含めて犬と人間は、近い存在になっているそうだ。


「わー美空お姉ちゃんおはよう!」

「美空さん、おはようございます。」


 次に私に声をかけたのは、村長さん一家の長男坊で、その次に声をかけたのは、その弟のハチだった。


「ハチって村長さんの息子だったんだ…。」


 美空の声が聞こえたのか、ハチは首をかしげながらこう言った。


「おかしいですね…磯貝博士から聞いていませんか?」

「…そう言えば、話すのを忘れていたな…。」

「磯貝博士…頼みますよ…。」


 美空が抗議するが、磯貝博士は、顔の前に片手を持ってきて「すまない」と言うだけだったのだが、これ以上何か言っても無駄だと判断した美空は、これ以上話を掘り下げないことにした。


「さぁさ、美空さんも遠慮することなく食べてください!」


 村長さんの奥さんが、トーストを持って部屋に入って来た。

 突然だったので、美空は少々驚いたが、すぐにトーストの方に…と言うか、一緒に膳に乗せてあるものに目が行ってしまった。


「おーわざわざ用意してくれたのか!」

「えぇ…結構探すの大変だったんですよ…えっと、豆板醤って言うんでしたっけ?」


 どうしてトーストに豆板醤!?


 美空は、大声で言いそうになったが、この場では好ましくないと考えて、ぐっとこらえる。

 前のポテチと言い、トーストと言い、どうしてこう豆板醤を乗せるのだろうか…

 美空の疑問をよそに、磯貝博士は、ためらうことなくトーストに豆板醤を乗せている。


「しかし、豆板醤なんてよく見つけたな…どこにあったんだ?」

「おととい来た東方からの行商団から買ったんですよ…それ以外にも面白いものを売っていましたよ…。」


 奥さんは、コーヒー片手に席についた。

 こうして村長一家の半分の人がそろうのである。

 村長さんには、他にも子供がいるそうで、村長の仕事の手伝いをする長男と次男のハチ以外は、もっと早い時間に起きて仕事に行くそうだ。


「そうそう…磯貝博士、昨日の件ですけど、返事は、今日の午後ぐらいになると思うのですが、そのあたりはどういたしましょうか?」

「…そうだな…だったら、このあたりを軽く散歩させてもらうよ…美空君も一緒にな。」

「そうですか…わかりました。」


 2人は、美空の意見を聞くことなく散歩に行く方向で同意していた。

 美空は、「勝手に決めないでください」と言おうとしたのだが、この流れでそれを言うのはさすがに気が引けたので、やめておくことにした。


「まぁそう言うことだ…せっかくだから、あの丘にでも行くか…。」


 そんな美空の心情をよそに、磯貝博士は、どこへ行くのか考えをまとめていた。



 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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