表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの空を目指して  作者: 白波
壱章 犬の国編
7/12

2.歓迎会



 今日、皆に集まってもらったのは言うまでもない。


 異世界からのお客様が見えた。


 我らは、再び巡り会えたことに感謝し、彼女を歓迎する!


 御犬歴1822年 村長(当時)ポチのあいさつより






 磯貝博士と美空は、村人(村犬?)の歓迎会に出席していた。


「さて、みなさんに集まっていただいたのは、言うまでもありません。ふたたび、わが村に異世界より友人がやってまいりました! ふたたび巡ってきた出会いに感謝します!」


 村長さんがそう言った時、周りから歓声が上がった。

 どうやら、この世界の住民は、本当に美空たちのことを歓迎しているようだ。


「磯貝博士。一言頂戴してよろしいでしょうか?」

「わかった…。」


 磯貝博士が、先ほどまで村長さんが立っていたところに移動してマイクを握る。

 その様子を村民たちはかたずをのんで見守っていた。


「諸君。久方ぶりである…こっちの時間だと、確か8年くらいぶりか…さて、私は長々とした挨拶(あいさつ)は嫌いだから、さっそく私の助手を紹介させてもらおうと思う…海花美空君だ。」


 村民が一斉に私の方を向いて拍手をする。

 私は、おどろきつつも笑顔で手を振ってそれに答えた。


「美空君。こっちへ来ないか! 君も一言言いたまえ!」


 ちょっと…いきなりそれは…


 美空は、そう思っていたのだが、村民から期待のまなざしで見つめられている以上、拒むことも無理だと考えて壇上に上がる。


「初めまして…海花美空です。私は、異世界へいくと言う経験は初めてなので、何かとご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします。」


 とりあえずこんな感じで大丈夫なはず…


「あれ?」


 会場は、とんと静まり返っている。何がまずかったのかと美空が必死に思い返しているその時…


 パチパチと誰かが手をたたく音がした。それは、次第に大きくなっていき、盛大な拍手となる。


「ありがとうございます!」


 美空は、深々と頭を下げる。


「さぁ、磯貝博士と美空さんの訪問を記念して乾杯!」

「乾杯!」


 ずいぶんあっさりと終わったあいさつも終わり、村民たちの宴会が始まった。

 歓迎の踊りやおいしい料理も出てきたこともあり、楽しい夜だったと美空は感じていた。






 宴会の会場となっている村の広場から少し離れたところ…

 そこには、いつの間にか会場を抜け出した磯貝博士と村長さんがいた。


「村長さん、あの後どうなんですか?」

「あの後か? ハチからも聞いたと思うが、この村の村長だったポチが王国の宰相となった…あとは…皇太子さまが王位を継承なされたぐらいか…。」

「なるほどな…ところで、私の記憶に間違いがなければ、今年で王国独立から30年になると思うのだが、そのあたりのイベントは、あるのかね?」


 磯貝博士の問いに対する答えを考えているのか、村長さんは(あご)に手を当てて考えるポーズを取っている。


「そう言えば、1週間後に王都で王国独立30年記念式典が行われるはずです…そうだ! もしよかったら磯貝博士もご出席されますか?」

「式典にか? ポチの顔も見たいし、ちょうどいいかもしれんな…。」

「わかりました…それでは、国の方へ連絡を入れておきます…早馬を出しますので、明後日には、招待状が届くと思いますよ。」


 村長さんがそう言うと、磯貝博士は満足そうにうなづいた。

 それを見て彼は、ホッとしたような顔をする。


「こんなところに呼び出して悪かったな…私は、会場の方に戻らせてもらうよ。」


 磯貝博士は、そう言い残して会場の方へ歩いて行った。


「磯貝博士…あなたもお変わりないようで何よりです。」


 村長さんの声が聞こえていたのかいないのか、磯貝博士は、立ち止まることなく立ち去って行った。

 こうしてこの場には、村長さんだけがいるといった状況になった。


「さてと…王国に連絡を入れないと…。」


 村長は、手紙を出すために役場へと向かった。



 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ