第8話 魔物暴走──戦場で光る探偵の目
王城の外――
城下町の北門付近は、すでに騒然としていた。
「魔物だ! 魔物が出たぞ!!」
「避難しろ! 子どもを連れて逃げろ!」
「勇者パーティはまだか!?」
人々の悲鳴が飛び交い、
騎士たちが必死に防衛線を張っている。
ユウマはエレナとガルド教官と共に駆けつけた。
「状況は!?」
ガルドが叫ぶと、騎士が答えた。
「突如、森から魔物が大量に出現!
しかも……様子がおかしいんです!」
「おかしい?」
「目が……赤く光っているんです!」
ユウマは息を呑んだ。
(赤い目……?
普通の魔物じゃない)
エレナが剣を抜きながら言う。
「勇者パーティは?」
「すでに前線で戦っています!」
ユウマは前線へ走った。
前線では、勇者パーティが必死に戦っていた。
「くそっ……数が多すぎる!」
レンが剣を振るい、
ユウトが魔物を斬り伏せ、
カナが水の槍を放ち、
ユイが矢を連射する。
だが――
魔物は倒れても倒れても立ち上がる。
「なんでだよ!?
こいつら、しぶとすぎる!」
ユイが叫ぶ。
ユウマは魔物の動きを観察した。
(……動きが不自然だ)
攻撃の軌道が単調。
痛みを感じていない。
そして――
(目が赤く光っている)
ユウマは叫んだ。
「レン! 魔物の目を狙え!」
レンが驚く。
「目!? なんでだよ!」
「いいから狙え!
そこが弱点だ!」
レンは半信半疑で剣を振るい、
魔物の目を斬りつけた。
すると――
「ぐあああああああ!!」
魔物は苦しみ、動きを止めた。
「……効いた!?」
ユウマは頷いた。
「この魔物たちは“操られてる”!
赤い目は……
支配魔法の印 だ!」
エレナが息を呑む。
「支配魔法……!?
そんな高度な魔法、使えるのは……」
ガルドが叫ぶ。
「宮廷魔術師ラザルドか!!」
ユウマは叫んだ。
「レン! ユウト!
目を狙って倒せ!
そこが唯一の弱点だ!」
レンは頷き、仲間に叫ぶ。
「みんな! 目だ!
目を狙え!!」
勇者パーティは一斉に攻撃を切り替えた。
ユウトの剣が魔物の目を貫き、
カナの水槍が赤い光を砕き、
ユイの矢が正確に目を射抜く。
次々と魔物が倒れていく。
「すごい……
ユウマくんの言った通り……!」
アリサが驚きの声を上げた。
ユウマは戦場を見渡した。
(……でも、まだ終わってない)
魔物の群れの奥――
一体だけ、異様に大きな影が動いた。
「……あれは……」
エレナが息を呑む。
「上位種……“オーガロード”!」
巨大な魔物が咆哮し、
地面が震えた。
レンが叫ぶ。
「くそっ……あんなの倒せるかよ!」
ユウマは冷静に観察した。
(動きは鈍い……
でも腕力は桁違い……
そして――)
オーガロードの胸に、
赤い魔法陣のような模様が浮かんでいた。
(……あれだ)
ユウマは叫んだ。
「レン! 胸の模様を狙え!
あれが“支配の核”だ!」
レンが驚く。
「胸!? なんでだよ!」
「目は囮だ!
上位種は核が別にある!
あれを壊せば倒せる!」
レンは歯を食いしばった。
「……分かった!」
ユウトが叫ぶ。
「レン! 援護する!」
カナが魔力を集中させる。
「《アクアランス・バースト》!」
ユイが矢をつがえる。
「レンくん、行って!」
レンは全力で駆け出した。
「うおおおおおおお!!」
オーガロードが拳を振り下ろす。
「レン!!」
アリサが叫ぶ。
だが――
レンはギリギリで回避し、
胸の魔法陣に剣を突き立てた。
「これで……終わりだ!!」
剣が魔法陣を砕いた瞬間――
オーガロードは絶叫し、
崩れ落ちた。
「……やった……!」
ユイが涙を浮かべる。
レンは息を切らしながら笑った。
「ユウマ……
お前の言った通りだった……!」
ユウマは頷いた。
「観察すれば、弱点は見える。
戦うのは……みんなの役目だよ」
エレナがユウマに近づき、
真剣な目で言った。
「あなた……
本当に“スキルなし”なの?」
ユウマは微笑んだ。
「スキルはないけど……
“見抜く力”なら、少しだけ自信があります」
ガルドが豪快に笑った。
「ははは!
ユウマ、お前は戦えなくても……
戦場で一番役に立ってるぞ!」
だが――
その時、ユウマは気づいた。
(……魔物の死体から、魔力が抜けていく)
そして、
赤い光が空へと昇っていく。
(……これは……誰かに“回収”されてる?)
ユウマは空を見上げた。
赤い光は、
王城の方向へ吸い込まれていった。
(……やっぱり、王国の内部に“黒幕”がいる)
ユウマは静かに呟いた。
「……この事件、まだ終わってない」
こうして――
ユウマは王国の闇に、さらに一歩踏み込んだ。




