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第26話 揺れる会議──ユウマを巡る思惑

ユウマが目を覚ましてから一時間後。

王城の上層部が緊急に招集され、

情報局の会議室には重い空気が漂っていた。


長い円卓の周りには、

ミレイユ局長、レイハルト団長、

宮廷魔術師ラザルド、

そして数名の高官たちが座っている。


ユウマはガルドとエレナに付き添われ、

会議室の中央に立っていた。


ミレイユが口を開く。


「では……封印庫で起きた出来事について、

 ユウマ本人から説明してもらいましょう」


ユウマは深呼吸し、

遺物に触れた瞬間のことを話し始めた。


・遺物に触れた瞬間、赤い光に包まれた

・意識の中で“女性”と会話した

・影はユウマを“鍵”と呼んでいる

・女性はユウマを守ると言った

・遺物はユウマに反応した


話し終えると、

会議室は静まり返った。


最初に口を開いたのは、

宮廷魔術師ラザルドだった。


「……遺物が“反応した”だと?

 そんな馬鹿な……!」


ラザルドは机を叩いた。


「円環文明の遺物は、

 王族ですら反応させられなかったのだぞ!?

 なぜ異世界の少年が……!」


ユウマは答えられなかった。


(俺にも分からない……

 でも、確かに遺物は俺を“呼んでいた”)


レイハルト団長が静かに言う。


「ラザルド。

 事実は事実だ。

 ユウマが触れた瞬間、封印庫全体が反応した」


ラザルドは苛立ちを隠せない。


「団長、あなたは冷静すぎる!

 これは王国の根幹を揺るがす問題だぞ!」


ミレイユが口を挟む。


「落ち着きなさい、ラザルド。

 ユウマを責めても意味はないわ」


ラザルドはユウマを睨んだ。


「……お前は何者だ?」


ユウマは静かに答えた。


「俺は……ただの学生です。

 特別な力なんてありません」


ラザルドは鼻で笑った。


「特別な力が“ない”者が、

 遺物を反応させるものか!」


エレナが怒りを抑えきれずに言う。


「ユウマを責めないでください!

 彼は……何も悪くない!」


ガルドも続けた。


「そうだ。

 ユウマは事件に巻き込まれてるだけだ」


ラザルドは二人を睨みつけたが、

ミレイユが手を上げて制した。


「ユウマ。

 あなたが見た“女性”について、

 もう少し詳しく教えてくれる?」


ユウマは頷いた。


「長い髪で……

 赤い瞳をしていました。

 俺のことを……“大切な人”と言っていました」


会議室がざわつく。


ラザルドが叫ぶ。


「赤い瞳……!?

 まさか……“魔王種”か!?」


エレナが驚く。


「魔王種……?」


ガルドが説明する。


「魔王種ってのは、

 古代から存在する強大な魔族の血筋だ。

 赤い瞳はその象徴だと言われてる」


ユウマは息を呑んだ。


(あの人が……魔族……?

 でも……俺を守ってくれた)


ミレイユは静かに言った。


「魔王種かどうかはまだ分からない。

 ただ……ユウマを守っているのは確かね」


ラザルドは机を叩いた。


「魔族が人間を守るなどありえん!!

 これは罠だ!

 ユウマは魔族に“利用されている”のだ!!」


ユウマは拳を握った。


「違います。

 あの人は……俺を守ってくれました」


ラザルドは怒鳴る。


「お前に何が分かる!!

 魔族は人間を欺くためなら何でもする!!」


レイハルト団長が低い声で言った。


「ラザルド。

 感情的になりすぎだ」


ミレイユも続ける。


「ユウマを疑うのは筋違いよ。

 彼は被害者であり、

 王国を救う鍵になる可能性もある」


ラザルドは悔しそうに黙り込んだ。


ミレイユはユウマに向き直った。


「ユウマ。

 あなたに新しい任務を与えます」


ユウマは姿勢を正した。


「任務……?」


ミレイユは地図を広げた。


「影が次に狙う場所は……

 “王城の北塔”よ」


ガルドが驚く。


「北塔だと!?

 あそこには……!」


エレナも息を呑む。


「“王家の記録庫”がある場所……!」


ユウマは地図を見つめた。


(王家の記録庫……

 そこに何が……?)


ミレイユは静かに言った。


「影は“遺物”だけでなく、

 “王家の記録”も狙っている。

 そこには……

 “円環文明の真実”が記されている可能性がある」


ユウマは息を呑んだ。


(円環文明……

 俺が“鍵”と呼ばれる理由……

 その答えが……?)


ミレイユは続けた。


「ユウマ。

 あなたには北塔へ行ってもらう。

 影より先に“記録”を確保するために」


エレナが叫ぶ。


「ユウマを危険な場所に行かせるなんて……!」


ミレイユは首を振った。


「ユウマにしかできないのよ。

 影はユウマを追う。

 なら……ユウマが動けば、影も動く」


ガルドが険しい顔で言う。


「囮にするつもりか……?」


ミレイユは静かに答えた。


「違うわ。

 ユウマは“鍵”。

 影が恐れる存在。

 だからこそ……

 ユウマが動けば、影の正体に近づける」


ユウマは深く息を吸った。


「……行きます」


エレナが驚く。


「ユウマ!?

 本気なの?」


ユウマは頷いた。


「俺は……逃げません。

 影が何者でも……

 俺を狙う理由が何であっても……

 真実を知りたい」


エレナは唇を噛んだ。


「……分かった。

 私も行く」


ガルドも笑った。


「当然だ。

 ユウマを一人で行かせるわけねぇだろ」


レイハルト団長が立ち上がる。


「私も同行する。

 影が現れたら……私が斬る」


ミレイユは頷いた。


「では――

 “北塔調査隊”を結成します」


ユウマは拳を握った。


(影……

 そして“彼女”……

 俺は必ず真実に辿り着く)


こうして――

ユウマたちは王城北塔へ向かうことになった。


そこには、

影が求める“記録”と、

ユウマの運命を左右する“真実”が眠っている。

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